俺たちの街には◯◯がある。
正解は「アビスパがある」なんですが、
今日はサッカーの話ではなくて、
サッカークラブと街のアイデンティティについて書き散らしてみたいと思います。
10年前。
2014年にFIFAワールドカップを観戦しにいった流れで8ヶ月の世界一周旅をしていました。
旅の中、ブラジルをはじめ南米やヨーロッパの各地で地元のサッカークラブに出会います。
それぞれの街にはユニフォームを着てる人を当たり前に見かけるわけです。
特にブラジル・サンパウロは、
サンパウロFC
コリンチャンス
パルメイラス
と世界的にも有名なクラブがひしめきあう都市。
では、サンパウロ市民が3クラブを応援しているかと言えば、否。
労働者階級が応援するクラブ、富裕層が応援するクラブ、などその街に住むエリアや己の属性で応援対象のクラブが変わります。
(はっきりした貧富の差による分断など、これが今の時代適切か否かの話はここではしない。現実起きているし、存在しているし、居住地は分かれている。)
それぞれのクラブが自己を投影する存在として、生活に溶けこみ、なんなら生活として成り立っているわけです。
そして、他の都市のチームとの対戦は街と街の誇りのぶつかり合いである、当時感じました。
2014年までの私はウイイレにのめり込み、その流れで海外サッカーや代表戦は見るものの、Jリーグにはほぼ見向きもしませんでした。
むしろ、福岡という都市圏にありながら、弱く経営危機で無くなりかけたアビスパというチームを蔑んでいたくらいでした。
そして絶対王者ソフトバンクホークスを愛する典型的な福岡市民でした。
だが、世界でのサッカー文化に触れ、
「なぜ愛する我が街にサッカークラブがあるのに応援していないのだ、自分は。」
と思いなおし、アビスパをサポートすることを決意。
今でもプロ野球は観るのですが、エンタメとしてであり、フランチャイズが広域であり、今や「九州のチーム」です。
しかし、サッカーは都市都市にあります。
例えば福岡県内でも、アビスパ福岡・ギラヴァンツ北九州・サガン鳥栖*の3つ存在している。
(*鳥栖は佐賀県だがフレンドリータウンやファンも福岡県内にあるため)
誰がどのチームを応援しようと自由だが、福岡市として隣県の佐賀県のチームに負けるわけにはいかないと、勝ち負けは市民としてのアイデンティティに関わる由々しき問題なのです。
福岡と北九州もそう。
福岡が好きだから、アビスパを応援する。
単純なことです。
単純なんですが、アイデンティティをサッカーチームに投影する文化がまだ日本(特に九州)には薄いですかね。
実際、昨年ルヴァンカップで優勝してJリーグ初タイトルを得たアビスパですが、街のアイデンティティとして市民一人ひとりが自分として投影するまでの定着はほど遠いかと感じます。
個人的には、歴史含め鹿島アントラーズが最もそれを表しているなと思います。
福岡はまだなれないが、きっとなれると信じていますし、ホークスとアビスパの両立は絶対可能である。
↓一周の時に出会った同学年で同郷のスポーツ報知岡島記者の記事が福岡のこれまでをうまく表現してくれています。
閑話休題。
俺たちの街にはアビスパがある。
俺たちの街には山笠がある。
俺たちの街には美味い飯がある。
などなど、愛する福岡に◯◯があると挙げていこうとすればいくらでも出せるのですが、
私は「美味い魚」と挙げたい。
もちろん自分が美味い魚が好きではある。
そうであるが『美味い魚のある福岡を好きになって欲しい。』
そんな気持ちも大いにある。
もし福岡から美味い魚が無くなったら…
それは、街のアイデンティティがひとつ失われるのではないか。
一行政区分としての福岡は消えない。
ただ、魚の不味い福岡は果たして福岡か。
私はやはり思えないし、そんな福岡は見たくない。
磯焼けという海の環境問題、美味い魚が無くなる危機に出会った2年前。
思い返せば、10年前からの積み重なった街への愛や自己のアイデンティティの投影が、社会課題を解決するために動き出したのだなと、振り返って思います。
よく「なぜ起業したか」と問われ
「アイデアありきで、なりゆきで起業しました。」と軽い感じで答えてきましたが、
背景を理解してもらうのに時間がかかるのですっ飛ばしてきました。
こんなバックボーンがあり、
起業してまで問題に取り組んでみようと思ったきっかけであります。
だからこそ今回、福岡市のソーシャルスタートアップ成長支援事業の認定10社の1に選ばれたことは想いを形にして、見える姿になったのだと、積み上げてきたコンセプトと自分の想いが認められたと心の底から飛び上がるほど嬉しいものでした。
まだ、クラウチングスタートの2歩目くらいの弊社ですが、「俺たちの街にはオーシャンリペアがある」と皆さんの心の中にいつも生きている会社でありたいと思っています。
これはリアルに自己実現とか儲けたいとかそ?な自分の中を満たす価値の話ではなくて、この街のアイデンティティを確立して、一人ひとりが街をクラブを好きになるチャレンジなのです。
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