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「読書感想文」死なないための暴力論

https://www.amazon.co.jp/死なないための暴力論-インターナショナル新書-森-元斎/dp/4797681365 国家、社会、家族、学校、等。我々を取り囲む様々な共同体ー言い換えるのであれば「牢獄」ーの中で、終ぞ救われることなく潰えて行った人々を、知っている。見てきたし、聞いてもきたし、読んでもきた。その数は、枚挙に暇がないし、今後も増えていくだろう。そして、いずれはきっと、私もそうした人々の葬列の中へ名を連ねることになるのだろう。 「ならば、より多くの

    • 書評「生活保護特区を出よ」

      生活保護特区を出よ。 1 (トーチコミックス) | まどめクレテック |本 | 通販 | Amazon ※本書評は某所に投稿したレビュー文を加筆・修正したものとなります。 あらすじ 「個人でなく、集団の利益を大切にすること。それが、徳とされました」と。「生活保護特区を出よ」の物語は、とある学校の授業、教師が生徒へ訓示を授ける一場面から始まります。一見真っ当に聞こえる一言ですが、それでは、能力不振や身体障害、精神疾患等で、集団の要請する利益に応えられない人々は、一体どうすれ

      • 読書感想文「SLOW WAVES issue 3」

        頁から仄かに潮の香りがした。文字を視る、頁を捲る、即ちは視覚と触覚の二つの身体的営為に結する営みが読書である。筈、なのだが。 眼前に広がる無限の蒼、鼻孔を擽る磯と潮の香り。耳に轟く海鳴り、身体に叩きつける凍えた海風。砂浜を踏みしめる脚、海水を掬う手。読み進めていくと、かつて海と相対した時の記憶が、自然と呼び起こされる。大きい、煩い、寒い。十年以上も前に、仲間と海に通っていたあの頃の思い出が。十数年経ても、五感で思い起こすことが出来る過去。記憶が身体に彫刻されている、というこ

        • 読書感想文「忘れられない日本人」

          忘れられない日本人 民話を語る人たち / 小野和子 ON READING Online Shop (ocnk.net) 忘れられない何かがあるとするならば、それは、その対象が今まさに忘れ去られようとする時に初めて、陽炎のように立ち上がってくるものなのかもしれない。と、思えてならないのである。 5年前、福島県浪江町の原発避難解除区域で見た光景がそれだった。もう長いこと人が住んでいない、壁がひび割れたアパートの、開きっぱなしの錆びた扉。中を覗く、1枚の絵葉書が目に入る。黴と土埃

          読書感想文「布団の中から蜂起せよ」

          布団の中から蜂起せよ: アナーカ・フェミニズムのための断章 | 高島 鈴 |本 | 通販 | Amazon 疲れてはいないだろうか。飽きてはいないだろうか。憎んではいないだろうか。 「学び続ける人が成功する!勉強しないと人生ハードモード!」等という、「成長」という美辞麗句をちらつかせることで、個々人へ無限の努力を要請する言説に。「勉強しない人は企業の中で落ちこぼれる!未来はない!」と、人間存在の価値はただ一つであり、それは即ち労働の場での市場価値的単位に還元可能なものであ

          読書感想文「布団の中から蜂起せよ」

          Hello, Poolo!

          はじめにはじめまして。ひらめっち改めておーしゃんと申します。初Noteに何を書くべきか、語るべきかを長いこと悩んでいたら3月末となってしまった……。大遅刻もいいところですが、考えていることをつらつらと書かせて頂きます。 自己紹介 4月から社会人5年目の東京都在住者です。趣味は読書、音楽鑑賞、お茶、そして旅行。もっと色々なところに関心を広げられないかなぁ。と思いながらまったりと日々を過ごしています。 好きな旅行先 国外ではサブサハラアフリカを中心に生活していた時期があ