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コンパニオン
コンパニオン
galaxy20,000yearslaterseries
第2弾
ミーターの大冒険
第六部
地球へ
第19話
エピソード 161
タイトル:コンパニオン
Date:ファウンデーション暦490年
Place:恒星アルファ・ケンタウリの惑星アルファ(海の惑星)
惑星アルファの降下船の窓越しに広がる光景は、青い海とちらほら浮かぶ小さな島々だった。ミーターはその美しさに息を呑む一方で、何か違和感を覚えた。島に降り立つと、目の前に現れたのは穏やかな笑顔の女性だった。彼女はこの地の住民、ツムギと名乗った。
「ツムギさん、この星はほとんど海のようですね」と、ミーターが口を開いた。「それに、わたしの航宙船が降りる間、島々を見渡しても男たちの姿が見えませんでしたが、彼らはどこにいるのですか?」
ツムギは柔らかく笑みを浮かべて答えた。「男たちは海に出て、漁船に乗って漁をしています。月に一度、満月の日に帰ってきて、釣った魚を下ろした後、このヤマブキ島に七日間滞在します。その間、カビレ山で祭りをして、また海へ戻るのです。」
「カビレの山ですって!」ミーターは驚きの声を上げた。「カビレというのは太陽系のことですか?」
ツムギは首を傾げた。「ごめんなさい、わたしは知りません。ただ、モノリー爺さんが教えてくれたことでは、カビレは島の中央にある一番高い山のことです。そこに住民全員が登ってお祭りをします。」
「太陽系をご存じないのですか?」
ツムギはゆっくり首を振った。「太陽系という言葉は初めて聞きます。でも、モノリー爺さんが祭りの時に語る長い話はすべて覚えています。皆が居眠りする中で、一人で聞いていたからです。でも、その中にも太陽系という言葉は出てこなかったと思います。」
ミーターは苦笑しながら質問を変えた。「では、この星はアルファと呼ばれているのはご存じですか?」
ツムギはうなずく。「はい、この星の名前はアルファです。別名では『新しい地球』とも呼ばれています。ずっと昔に地球から人々がやって来たそうです。」
「地球から?」ミーターの眉が動いた。「それなら、この星はプロクシマ・ケンタウリを回る惑星では?」
「ケンタウリというのは聞いたことがありますが、わたしたちはアルファ・ケンタウリと呼びます。プロクシマという言葉は初めて聞きます。」
ミーターは困惑しながらも話を続けた。「では、あの太陽の近くに見える二つの小さい太陽、あれは何と呼んでいますか?」
ツムギは笑みを浮かべた。「大きい方は『コンパニオン』、小さい方は『コドモ』と呼んでいます。」
「コンパニオンの意味は?」
「アルファ太陽の周りを80年で回るからです。80年に一度、コンパニオンが最も接近する年に、島中の人々がカビレ山の麓で大きな祭りを行います。」
「80年ですか!それでは、アルファ人の平均寿命は?」
「80年です。」
ミーターは思わず息を飲んだ。「それなら、まるでアルファ人が生まれて死ぬのをコンパニオンが見守っているようですね。」
ツムギは頷いた。「そうです。それで、わたしたちはコンパニオンを祝うのです。」
「その祭りで、あの二連恒星が重なり、アルファ太陽と融合する現象が地球から見えると三番目に明るい星に見えるんですよ。」
ツムギは困惑した表情を浮かべた。「それについては聞いたことがないので、同意することはできません。」
ミーターは軽く肩をすくめた。「まあ、いいでしょう。ところで、夜になるとω文字のようなジグザグの星座が見えますね。その一番下の暗い星の名前は?」
「カシオペアの星座です。一番下の星を『オメガ』と呼んでいます。また別名で『悪魔の星』とも呼ばれています。」
「悪魔の星!」ミーターは驚きの声を上げた。「地球もターミナスも、同じオメガの運命を背負っているということか...」
彼は独り言のように呟いた。「ターミナスがオメガで、悪魔星が悪魔星を解放するとは . . . イルミナが聞いたら笑うだろうな。」
ツムギは不思議そうに見つめたが、何も言わなかった。
次話に続く