大久保洋一 編集者

出版社で雑誌&webの編集者として20年勤務。2019年12月から2年休職し、家族(妻&3歳の息子)でカナダのバンクーバーに移住。BOOKS&PRINTS期間限定バンクーバー特派員。

大久保洋一 編集者

出版社で雑誌&webの編集者として20年勤務。2019年12月から2年休職し、家族(妻&3歳の息子)でカナダのバンクーバーに移住。BOOKS&PRINTS期間限定バンクーバー特派員。

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  • BOOKS AND PRINTS JOURNAL

    • 18本

    写真家 若木信吾が故郷浜松に開いた写真関連の本を主に扱う書店BOOK AND PRINTSが発信するマガジンです。国内外の本に関する様々な情報を特派員がレポートします。 最初のレポートはBOOKS AND PRINTS期間限定バンクーバー特派員の大久保洋一さんからです。

最近の記事

バンクーバーの書店13店鋪のインタビュー記事を、地元のデザイナーと1冊の本にしてみた【英訳付き】

With the help of a local designer, I combined interview articles about thirteen independent bookstores in Vancouver into a book. 昨年の冬、カナダが誇るスキーリゾート地・ウィスラーに行った時、ふと入ったPatagoniaでレジ横に置いてあった雑誌に目が止まった。『MOUNTAIN LIFE』という名前で、店員さんに値段をたずねると「無料だよ」と。「マ

    • 日系カナダ人の歴史にフォーカスした書店。Canadianizedされた日本文化の魅力/バンクーバー書店レポvol.13

      今日の取材はNikkei NATIONAL MUSEUM&CULTURE CENTREにて。少し早く着いたので、2Fに上がりぶらぶらと歩く。何度か訪れた事のあるそのフロアには、日本人が初めてカナダに移った1877年から現在に至るまでの、日系カナダ人の歴史が展示されている。 「魚はものすごいほど大量にいる。実際に船の中に飛び込んでくるんだ。こっちに来てくれ、そして一緒に漁をやろう。」 -久野ギ〜イが故郷の見尾村の村民の仲間に1888年に言った言葉 「指紋を取られ、写真を

      • まるで教会。バンクーバー島が世界に誇る、書店員たちが家族のように働く美しい書店/Vancouver書店レポvol.12

        教会のような荘厳な雰囲気。流れている音楽はクラシック。長い時間の積み重ねを感じさせる外観も目を見張るものがあったけど、店内に入ると、その天井の高さと壁にかかっているタペストリーの美しさに息をのんだ。 「これは創業者Jim Munroの二番目の妻で、ビクトリアでアーティストとして活動していたCarole Sabistonの作品です。タペストリーは四季を表していて、この歴史的建造物内で営業を始めた1984年以来、ずっと飾られています」 ”バンクーバー”は、カナダのブリティッシ

        • まるで”本の診療所”。3世代に渡って世界中のレア本に特化してきた、職人の審美眼と偏愛/Vancouver書店レポvol.11

          1冊100万円を超える本も。世界中の激レア本がズラリその一連の動作は、ジュエリーショップで良く見るワンシーンのようだった。店主のRichardは、ガラス張りのショーケースの中から重厚な本をそっと取り出して見せてくれた。 1897年初版、Dracura/Stoker,Bram、(USD)$15,750,00(日本円で約150万円) 1855年第二版、MOBY-DICK(or the WHALE) Melville, Herman (USD) $12,500,00 コレクタ

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        記事

          41年間、毎週1回1度も休むことなく発行。 伝説の新聞『バンクーバー新報』を立ち上げた ひとりの日本人女性のストーリー【番外編②】

          1978年12月。バンクーバーの旧日本人街で、ひとりの日本人女性が新聞社を立ち上げた。新聞の名前は『バンクーバー新報』。 それから41年間、毎週1回のペースで1度も休むことなく発行され、多くの地元の人々に愛された。惜しまれながら2020年4月をもって廃刊となるも、2021年、その偉業に日本からも旭日小綬章が送られる。 その新聞社を立ち上げた女性の名前は、津田佐江子さん。 自分がこの新聞を知ったのは、廃刊後も継続するバンクーバー新報のwebメディアがきっかけだった。津田さん

          41年間、毎週1回1度も休むことなく発行。 伝説の新聞『バンクーバー新報』を立ち上げた ひとりの日本人女性のストーリー【番外編②】

          LGBTQ関連に特化した書店。表現の自由のために法廷で闘い続けたオーナーの魂/Vancouver書店レポvol.10

          「私たちにたどり着いてくれてありがとう」。LGBTQ関連の本に特化した書店『Little Sister’s』 のオーナーから、取材OKのメールが届いた。 この書店が並ぶDavie Streetは、通称”ゲイビーストリート”と呼ばれ、レインボーカラーが交差点の道路上を駆け巡り、カラフルなフラッグが道の両脇に高々と掲げられている。 もともとバンクーバーはカナダの中でもゲイフレンドリーな街として知られ、2005年に同性愛の結婚が合法化、毎年行われているゲイパレードは2018年で

          LGBTQ関連に特化した書店。表現の自由のために法廷で闘い続けたオーナーの魂/Vancouver書店レポvol.10

          Vancouverではカンナビス(大麻)はエッセンシャル。カンナビス業界の”Apple Store”取材レポ【番外編①】

          バンクーバーの書店インタビューを続けてきた中で、書店員さんたちの言葉にいくつか共通点があった。そこで、”番外編”として、書店から少し離れてその共通点を掘り下げていきたい。今回のテーマは”カンナビス(大麻の英名)”について。 例えば朝、犬の散歩をしている女性とすれ違ったとき、あの匂いがフワッと香ってきたりする。歩きタバコならぬ歩き”大麻”。カナダは2018年6月に嗜好品としてカンナビス(大麻)が合法化された(医療大麻は2001年にすでに合法化)。世界で2番目の速さでの決断(1

          Vancouverではカンナビス(大麻)はエッセンシャル。カンナビス業界の”Apple Store”取材レポ【番外編①】

          Vancouver書店レポvol.9/ オープン2日前にカナダ全土がロックダウン。お店のデザインもテーブルもインテリアも家族で作りあげた、リビングルームのような書店

          スコットランド出身のZoeとオーストラリア出身のIanがバンクーバーに新書店をオープン 初めてその書店を知ったのは、Massy Books の取材中だった。「Granvile Island(マーケットやレストラン、ギャラリーが集まる、バンクーバーの代表的な観光地のひとつ)に新しい書店がオープンしたらしいよ」とスタッフのマイケルが言うと、隣にいたエミリーが「私も噂で聞いたわ」と。マイケル曰く、「店名はシェークスピアにちなんで、えーっと何だったっけな・・・」このコロナ禍にオープン

          Vancouver書店レポvol.9/ オープン2日前にカナダ全土がロックダウン。お店のデザインもテーブルもインテリアも家族で作りあげた、リビングルームのような書店

          ”先住民”と”ローカル”への愛。「お金は無いけど元気はある。それがバンクーバー人さ」Vancouver書店レポvol.8

          書店には同じ香りのする人たちが引き寄せられるレジにいるマイケルを初めて見たとき、只者ではないと思った。伸びに伸びた白いあご髭が、黒のロックTシャツを背景に映える。インディペンデント系書店は、書店員の個性=店の個性。彼がレジに陣取っている『Massy Books』は、きっとひと癖もふた癖もある書店に違いない。 お客さんたちからも、それは感じ取ることができた。バンクーバーではあまり見ることのない、上下黒のシックな装いの男がぶらぶらしてたり、鮮やかな緑に髪を染めた女性が勢いよくお

          ”先住民”と”ローカル”への愛。「お金は無いけど元気はある。それがバンクーバー人さ」Vancouver書店レポvol.8

          Vancouverの書店レポvol.7/子どもが親になって戻って来る”絵本の魔法”

          2020年3月。COVID-19でカナダがロックダウンになったとき、バンクーバーにある我が家の近所は書店と花屋が開いていた(もちろん制限付きではあったけど)。日々の暮らしの中で、本と花の優先順位が高い街。よくよく見渡すと、バンクーバーにはユニークなインディペンデント系書店がたくさんある。そんな書店の紹介インタビューシリーズ、のつもりが、書店員たちが語ってくれたのは、本への愛、そしてこれからの暮らしに活きる”幸福論”のようなものだった。 ”絵本の読み聞かせ”という特別な時間

          Vancouverの書店レポvol.7/子どもが親になって戻って来る”絵本の魔法”

          Vancouverの書店レポvol.6/本のカオス&ラビリンス。すべての独立系書店はこの生きる伝説に通ず

           2020年3月。COVID-19でカナダがロックダウンになったとき、バンクーバーにある我が家の近所は書店と花屋が開いていました(もちろん制限付きではあったけど)。日々の暮らしの中で、本と花の優先順位が高い街。よくよく見渡すと、バンクーバーにはユニークなインディペンデント系書店がたくさんあります。そんな書店の紹介インタビューシリーズ、のつもりが、書店員たちが語ってくれたのは、本への愛、そしてこれからの暮らしに活きる”幸福論”のようなものでした。 1973年に、自分の貯金と父

          Vancouverの書店レポvol.6/本のカオス&ラビリンス。すべての独立系書店はこの生きる伝説に通ず

          Vancouverの書店レポvol.5/写真集に特化した書店が語る写真の魅力

          水上バスで15分。運営はドネーション バンクーバーのダウンタウンと対岸のノース・バンクーバーをつなぐ水上バスの窓からは、高層マンションと小さな島々、という景色が広がる。片道約15分程だが、最前列に座る子どもたちと同じように、ついボーッとその風景を眺めてしまう。  水上バスを降り、ちょっとした路面店が並ぶアーケードを抜けると、ひときわ目立つ不思議な形の建物が見えてくる。それが「THE POLYGON GALLERY」だ。  ギャラリーにしては想像以上に大きく、すべてドネーシ

          Vancouverの書店レポvol.5/写真集に特化した書店が語る写真の魅力

          Vancouverの書店レポvol.4/”ブックトラック”と”店舗”で最高の接客を味わえる下町の本屋さん

          他の本屋と違うものを目指そうとも思ってないわ ひと目惚れをした。ホームページで見た赤いBOOK TRUCK。こんなトラックを世界中あてもなく走らせながら、自分が好きにセレクトした本を売り歩けたらーー。と、妄想は膨らむばかり。 「いらっしゃい、何かあればいつでも言ってね」 オーナーのHiralyは笑顔で老若男女のお客さんに必ずそう声をかけていた。遠いところからもよく通る、大きな声で。 「いやいや、こんなたくさんの素晴らしい本に囲まれて、言うことなんて何もないよ」 初老の男

          Vancouverの書店レポvol.4/”ブックトラック”と”店舗”で最高の接客を味わえる下町の本屋さん

          Vancouverの書店レポvol.3/元カウンセラーからヒーラーまで。店員が強者揃いのスピリチュアル系書店

          レストランの一角で、ダンボール5箱分の本からスタート「うちはユニークな書店なので、他のお店にはない本を目当てにお客さんが訪れます。すると『あれ、また会いましたね』って、お客さん同士に出会いが生まれることがある。同じ本棚の前で何度か会うのはお互い趣味嗜好が一緒なわけだから、当然会話も弾みますよね。そんなふうにして付き合うようになったカップルがいて、ある日、その男性が出会いのきっかけとなった本棚の前で彼女にサプライズでプロポーズしたんです。もちろん答えはYES。お店全体でふた

          Vancouverの書店レポvol.3/元カウンセラーからヒーラーまで。店員が強者揃いのスピリチュアル系書店

          Vancouverの書店レポ vol.2/この店にボスはいない。40年以上ボランティアと寄付で運営する”アンチ”精神溢れるお店

          この店にはボスはいない。全員が平等なんだよ 指定された取材日は、祝日の真っ昼間だった。3連休の最終日、普通じゃない。他の書店の取材は開店前、もしくは平日早めの時間が多かった。なぜなら仕事に支障をきたす可能性があるから。だけど、この独特のセンスを持った書店だったらまああり得るか、と思う。1976年以来、45年近くボランティアと寄付によって運営されてきた書店『SPARTACUS BOOKS』だ。 振り返れば、実際その日話をしてくれたIvanhoeから、buisinessという言葉

          Vancouverの書店レポ vol.2/この店にボスはいない。40年以上ボランティアと寄付で運営する”アンチ”精神溢れるお店

          Vancouverの書店レポvol.1/家族写真のコレクションと詩の自販機と発禁本

           COVID-19でカナダがロックダウンになったとき、バンクーバーにある我が家の近所は書店と花屋が開いていました(もちろん制限付きではあったけど)。日々の暮らしの中で、本と花の優先順位が高い街。よくよく見渡すと、バンクーバーにはユニークなインディペンデント系書店がたくさんあります。そんなお店約10軒の紹介シリーズ、のつもりが、書店員たちがインタビューで語ってくれたのは、本への愛、そしてこれからの暮らしに活きる”幸福論”のようなものでした。 バンクーバーで”本のしおり”として

          Vancouverの書店レポvol.1/家族写真のコレクションと詩の自販機と発禁本