大久保洋一 編集者
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まるで”本の診療所”。3世代に渡って世界中のレア本に特化してきた、職人の審美眼と偏愛/Vancouver書店レポvol.11
1冊100万円を超える本も。世界中の激レア本がズラリその一連の動作は、ジュエリーショップで良く見るワンシーンのようだった。店主のRichardは、ガラス張りのショーケースの中から重厚な本をそっと取り出して見せてくれた。 1897年初版、Dracura/Stoker,Bram、(USD)$15,750,00(日本円で約150万円) 1855年第二版、MOBY-DICK(or the WHALE) Melville, Herman (USD) $12,500,00 コレクタ
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41年間、毎週1回1度も休むことなく発行。 伝説の新聞『バンクーバー新報』を立ち上げた ひとりの日本人女性のストーリー【番外編②】
1978年12月。バンクーバーの旧日本人街で、ひとりの日本人女性が新聞社を立ち上げた。新聞の名前は『バンクーバー新報』。 それから41年間、毎週1回のペースで1度も休むことなく発行され、多くの地元の人々に愛された。惜しまれながら2020年4月をもって廃刊となるも、2021年、その偉業に日本からも旭日小綬章が送られる。 その新聞社を立ち上げた女性の名前は、津田佐江子さん。 自分がこの新聞を知ったのは、廃刊後も継続するバンクーバー新報のwebメディアがきっかけだった。津田さん
Vancouverではカンナビス(大麻)はエッセンシャル。カンナビス業界の”Apple Store”取材レポ【番外編①】
バンクーバーの書店インタビューを続けてきた中で、書店員さんたちの言葉にいくつか共通点があった。そこで、”番外編”として、書店から少し離れてその共通点を掘り下げていきたい。今回のテーマは”カンナビス(大麻の英名)”について。 例えば朝、犬の散歩をしている女性とすれ違ったとき、あの匂いがフワッと香ってきたりする。歩きタバコならぬ歩き”大麻”。カナダは2018年6月に嗜好品としてカンナビス(大麻)が合法化された(医療大麻は2001年にすでに合法化)。世界で2番目の速さでの決断(1
Vancouver書店レポvol.9/ オープン2日前にカナダ全土がロックダウン。お店のデザインもテーブルもインテリアも家族で作りあげた、リビングルームのような書店
スコットランド出身のZoeとオーストラリア出身のIanがバンクーバーに新書店をオープン 初めてその書店を知ったのは、Massy Books の取材中だった。「Granvile Island(マーケットやレストラン、ギャラリーが集まる、バンクーバーの代表的な観光地のひとつ)に新しい書店がオープンしたらしいよ」とスタッフのマイケルが言うと、隣にいたエミリーが「私も噂で聞いたわ」と。マイケル曰く、「店名はシェークスピアにちなんで、えーっと何だったっけな・・・」このコロナ禍にオープン
”先住民”と”ローカル”への愛。「お金は無いけど元気はある。それがバンクーバー人さ」Vancouver書店レポvol.8
書店には同じ香りのする人たちが引き寄せられるレジにいるマイケルを初めて見たとき、只者ではないと思った。伸びに伸びた白いあご髭が、黒のロックTシャツを背景に映える。インディペンデント系書店は、書店員の個性=店の個性。彼がレジに陣取っている『Massy Books』は、きっとひと癖もふた癖もある書店に違いない。 お客さんたちからも、それは感じ取ることができた。バンクーバーではあまり見ることのない、上下黒のシックな装いの男がぶらぶらしてたり、鮮やかな緑に髪を染めた女性が勢いよくお
Vancouverの書店レポ vol.2/この店にボスはいない。40年以上ボランティアと寄付で運営する”アンチ”精神溢れるお店
この店にはボスはいない。全員が平等なんだよ 指定された取材日は、祝日の真っ昼間だった。3連休の最終日、普通じゃない。他の書店の取材は開店前、もしくは平日早めの時間が多かった。なぜなら仕事に支障をきたす可能性があるから。だけど、この独特のセンスを持った書店だったらまああり得るか、と思う。1976年以来、45年近くボランティアと寄付によって運営されてきた書店『SPARTACUS BOOKS』だ。 振り返れば、実際その日話をしてくれたIvanhoeから、buisinessという言葉