【弁護士事務所での働き方】~『サイゼリ〇』『キ〇ノン』〇には何が入る?
私がパラリーガル(法律事務職員)になりたいと思ったのは、大学生の頃でした。
大学卒業時にも就職活動をしましたが、私の能力不足でまったく採用されなかったので、一旦、別の仕事をしながら、再チャレンジできる機会をうかがっていました。
無事、24才で最初のA法律事務所に採用され、以後、約20年間、計3つの事務所に勤めました。
その間、パラリーガル・法律事務職員として心がけていたことをご紹介します。
『サイゼリ〇』とあったら、〇には何が入ると思いますか?
そうです、あの某有名外食チェーン店の名前です。
サイゼリ……
「ア」と思った方!間違いです!
正確は、『サイゼリヤ』ですね。「ヤ」です。
同じく、『キ〇ノン』とあったらどうですか?
そうです、プリンターなどの機器メーカーのあの会社です。
『キャノン』と思った方、この記事に必ず “スキ” を押してください(笑)
正解は……
……
『キヤノン』です。「ヤ」は大文字なんです。意外と見落としがち。
こんなふうに、書面を作成する際に発音のイメージのまま入力してしまうこと、ありがちなのです。
これがもし、判決文で間違えていたらどう思いますか。
「1文字くらいいいんじゃないの。読めるし」
なんて思ったあなた!大間違いです!その1文字がとっても大事なのです!
勝訴した場合、判決文は後々、差押えなどの強制執行にも必要となるものです。
例えば、銀行口座の差押えをしようと申立をします。
被告側の差し押さえる銀行口座の名義が『サイゼリヤ』だとして、判決文に書かれている会社名が『サイゼリア』だったらどうでしょう。
そうです、名前が一致しないことになります。これでは差押えが不可になる可能性がありますね。
1文字を軽視した結果は、とても大きいのです。
では、判決文の記載に誤りがあった場合はどうするのでしょう。
↓
速やかに “更正決定申立” を行ってください。
ただし、裁判所の明らかな誤りである場合は職権で更正することもありますので、一度、書記官に電話して話をするとよいでしょう。
私の職場でも実際にありました。会社名に誤記があって書記官に電話して更正決定を出してもらったことが。ちょっと誤記しやすい会社名ではあるのです。しかも、別々の裁判所で3回あって(そんなに裁判してるんかい!というツッコミはさておき)、その都度、書記官に電話しました。
3回目のときは、その裁判所では初めてのこととはいえ、ちょっとキレ気味に話してしまいました。こっちは3回目なんだと。反省。
裁判所が誤記してしまうのには理由があるときもあります。
弁護士の作成する訴状や準備書面の記載がそもそも間違えている場合です。
裁判所が原告と被告の提出した書面に忠実に書こうとした結果、誤記が発生するのでは、裁判所を責められません。
パラリーガルは、書面の下書きを行う際や、弁護士が作成した書面を提出前に確認する際など、必ず誤字脱字などのファクトチェックをしっかりと行うようにしましょう。会社名だけでなく、住所でもなんでも。
そして、判決文や和解調書を受け取ったときも、速やかにチェックを行いましょう。
その1文字が、依頼者の不利益となる可能性があるのです。
注:サイゼリヤ様、キヤノン様が実際に裁判になっているとか、訴えられたという話を私が実際に見聞きしたわけではありません。くれぐれもお間違いのないようお願いします。