リハビリDX始動!
北欧への留学を終え、デジタル先進国の医療DX、リハビリ現場のDXをひと通り見ることができた経験は、私の中でその必要性を再認識できる貴重な機会となりました。
どちらかといえば、デジタル先進国のDXの技術が凄いわけではなく「人がやるべきこととDXで自動化するべきことをしっかりと選別できている」事が凄いわけで、日本の技術が劣っている訳ではありません。
これは価値観の問題で、「人の手で懇切丁寧に時間をかけて行ってあげることが、質の高さであり優しさだ」と考えがちな日本人の本質的な考え方によるものです。
とはいえ、「日本人の価値観はそう簡単に変わらない」と嘆いていても物事は前に進みません。2040年には医療技術職の人手不足は81万人にも上ると試算が出ています。早急に取り組まなければ、来年には2025年問題(団塊の世代すべてが75歳以上になる)がやって来るのです。
私が帰国後現場に戻ってからも、アナログな紙でのやりとりで、日常的にヒューマンエラーは起こり、スタッフは仕事量(多くは雑務)の多さに追われています。手作業が原因のミスが頻繁に起こるので、ミスのフォローのための仕事が増え、ストレスがたまり、人間関係の問題が発生します。
私はまず、ここに手を付けることにしました。
私の勤め先はクリニックで、入院設備はありません。100%外来ですから、予約を取ったり、キャンセルの連絡を受けたり、リスケジュールを受け付けたりするために電話対応業務が発生します。
本来、これはアシスタントの仕事なのですが、アシスタント業務が膨大で手が回らないために、実際にはセラピストもこの電話対応を行うことになります。受けた電話の内容はメモに取って受付に伝えますが、電話対応に関わる人が多くなればなるほど、伝達ミスや、そもそも必要な内容を聞き出せていなかったなどのミスが起こります。
このため、まずはこの電話対応業務を自動化することにしました。
電話対応業務の自動化に使うサービスは「オートコールシステム」と「オンライン予約システム」です。オンラインだけでは、高齢の患者さんは使えない人も出て来ますから、電話しか使えない人への対応のためにオートコールシステムも併用します。
ただ、これらのサービスには月額料金がかかります。もちろん当院独自のシステムを開発してもらうこともできるのですが、これには膨大な予算が必要ですし、万が一使用勝手が悪かった時に「やーめた」という訳にはいかなくなります。
まずは月額課金で導入してみて、よほどコストカット効果や利益率の向上効果が高ければ本格導入すれば良いだけです。
次回は、これらのシステムを導入してもらうために、どうやって周囲を巻き込んでいくか、上への提案書を作成したかをご紹介します。