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スマホ、メールetc.の使い方を高齢者(=両親)に教えてみた。

まず、最初にごめんと言っておこう。ネタにしてごめん、うちの両親、いやありがとうか。

さて、70代にしてシルバー人材センターでコロナ禍も仕事をするうちの父と、トロイながらもまだまだ新しい料理にチャレンジなどするうちの母である。

この二人に数年にわたってスマホの使い方を教えてきた歴史を振り返ろうと思う。もしかしたらみなさんのお近くの高齢者の方がだいぶスムーズかもしれないが、こんな症例(w)もある、ということでお読みいただきたい(今日は医者っぽい書き方です)。

始まりは、2017年、私の米国留学でした。

まあそんなに用事はないだろうと思いつつも、万が一どちらかが寂しくなったり、面倒な用事ができてしまったりした時に備えて、LINEとSkypeのやり方を教えました。二つ同時には無理だったので父にSkype, 母にLINEのアカウントを作ってもらった。

これが割と大変な作業で、留学準備中にプリンターのセッティングやらMicrosoftのアカウント認証やら、結構な時間を割かなければいけないという、辛い作業であった。

結局。。。この二つを使うことはほぼゼロで、やり取りはほとんどemailで(汗)。こんなに苦労したのに水の泡とはこのこと。さて、とはいえ留学中の2年間で進歩はあった。まず、母が私に届いた郵便物の写真を送ってくれるようになった。これに関連して、まず手紙の文面を読むことが必要だったり、資格書類のコピーが必要だったりした。このため、母に何度か写真を撮影してもらう必要があり、少しずつ高い要求をしていくにつれ、写真がうまく取れるようになった。そしてなんと、二人は協力して家庭用プリンターでスキャンして、書類を送ることができるようにもなった。

二人はIT化される前のFAX時代の公務員で、もろ紙ベース時代の人たち。印鑑の欠けは見逃さないが、おそらくプリントしたサインと自筆サインの見分けはつかないだろう人種である。

なので2017-2019までの2年間で、メールの使い方と写真の撮影とスキャンに関しては相当できるようになった(コピーはもともとできた)。この間に、どうやら母にはLINE友達が数人できたようで、叔父なんかがリストに入るようになっていた。

2019年に帰国し、たびたび一緒に住むようになるが、最初はスマホに苦労してる様子はなく、特にそれについて話すこともなかった。しかし、帰国して半年くらいしてから、なんと母は自宅にWifiがあるにもかかわらず、自宅Wifiに繋いだことがないということが判明した。

早速繋いであげて、あなたはこんなにも必要のないWifiを使ってるんだよ、と知らしめたところ、なんだかリスペクトが生まれたらしく、やたら色々なアプリの通知がきてうるさいからなんとかしてほしい、とか、この画面がいらないのにしょっちゅう出てくるから消して欲しい、電話の音量が小さい、など色々不満があることもわかった。それも消してあげて、少々お節介だが過剰な契約をしている予感があったので、携帯のWifiの容量などを測るアプリを入れてあげたりした。さらに、携帯会社のPontaポイントがやたら溜まっていたので、それを有効活用できるようにセッティングした。

最初は恐々とポイントアプリを使っていたみたいだが、最近Paypayを使って支払う私の様子をじーっとみていたり、Eテレでやっているスマホの使い方講座をみていたり、料理のレシピを検索するようになった(本屋に行かないからかもしれないけど)。

父はいまだにスマホは高いからとガラケーだが、かとすると母のスマホを使って株の情報をみていたりする。その父は先日、キーボード画面が剥がれそうなボロボロのWindows PCを買い替えたばかりである。父はMicrosoft Exelで人材センターの勤務シフトを作っている。officeは最近サブスク化されたが、ExcelだけにOffice 365を使うのはもったいないので、その父に先日Google sheetの使い方を教えてみた。今はそのsheetで年賀状の名簿管理もしているようである。しかし早くスマホに変えて欲しいところではある。。。

教えてみて感じたのは、親と子という関係性のためなのかもしれないが、高齢者というのは、(自分より目下の)人にわからないことを聞くことに対して、とてもとても抵抗があるらしいということである。それと、自分が間違ったボタンを押して、機械を壊してしまうんじゃないか、と思うらしい。

そのためか、○○は××だからこうした方がいいよ!と言っても、よっぽど困らないとこちらに耳を貸さない。何か大きなインパクトのある問題を解決して(魔法がかかったような感じで演出して)、初めてこちらに耳を貸すようになる、という感じである。むしろ私に何なにさせてよ。。。的な言い方の方がいいのかもしれない。

コロナ禍でのワクチンと似たようなところが多々あるが、あたらしいものごとを身につけてもらうというのは、本当に難しいなあと思うのだった。

また、LINEのようなソーシャルツールに関しては、同世代が使い始めて初めて興味が出る、という感じらしい。私相手では全く気の乗らなかったLINEのメッセージやスタンプ、写真の送信も、友達相手ならできるようになっていた。どちらかというと横の繋がりの方が、新しい物事を学ぶには良いのかもしれない。

以前、イスラエルなどのIT先進国が、いかにして国民全体のIT化を進めているのかということを調べたところ、やはり若年層へのプログラミング教育から始まり、下の世代へのIT化の促進が老年世代へ伝わって、電子投票などが実現しているという話であった。中国も私が最後に訪れた2017年ですでにWeChat Payが屋台でも使えるようになっており、上海の知り合いの先生のWeChatにはどこで貯めたのか知らないが5桁のWeChat貯金?があったのがとても印象的であった。

高齢者に教える、となると時間がかかるのが想定されるところだが、確かにできる高齢者の人でも、若者のできない人と同じくらいの時間はかかりそうな感じである。しかしながら興味が出てくると、若者と同じで自分で勝手にやり始めたりする。高齢者にスマホによってこんなに世界が変わることを教えるのが、一番の近道だ。

今はまだ、IT化は始まったばかり。レジでまごついていても恥ずかしくない。今はまだ勉強するチャンスでもあるし、教えられるチャンスでもあると思う。行政はそれ自身がITを勉強する必要がありそうなので、今のところ個人がIT機器と小さな失敗をしながらセキュリティーを学んでいくしかない。

私自身も先日初めて外付けSSDを自分で組み立てるという経験をしたし、小さいながらもハッキングをされたりして、HDDやクラウドについても勉強した。笑

最近はターミナルなども使うようになってきた。

もちろんリカバリーが効く範囲ではあるが、全世代で今後はもっとトライアンドエラーの経験が必要になってくるのではないかと思う。


P.S. この二人に先日VRカメラを装着して二人で話してもらうという実験をしたのだが、それは割と上手くいったことを付け加えておく。


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