Dxを論じる皆さん、Uxを忘れてないかい?
さて。最近こんな回に呼ばれたりしていました。
ここではDxについて語る、ということをしていたのですが、
そもそもDxというのは由来は北欧ですが、アメリカではあんまり浸透していない。シリコンバレー(これもほとんど和製英語感が漂ってますが)でもあまり聞かない言葉です。
Dxというのは、IT技術が人間社会の役に立つ、という極めて楽天的な考えに基づくものですが(つまり電磁波がどうこうとかAIの反乱とかそういう感じのことはまあおいといても、って感じの概念です。なのでそういうのが気になると話が進まなくなっちゃう、的に聞いておいていただけるといいかなと思います。ちなみに筆者もそういう話題にも大いに興味はあります。他のブログにもそんな感じのことは書いてます、長💦)、
じゃあそれには何が必要なのか、と言われた時に、最近とみに耳にするのが
「IT化すればいいだけじゃない、ただし戦略的に」みたいな話です。
よくコンサルファームとかが持ってくるのがそんな感じの話ですね。
もちろん企業とか業界的な方向性というのはとても大事なのでしょうが
私がDxを考える上で提案したい一つの概念はUxですね。
UxとはUser Experience、顧客体験です。どんなビジネスでも顧客体験を調査、あるいは想定してから組むものなのですが、
とにかくIT化、自動化をしよう、としてしまうと、このUxは非常に雑あるいは低クオリティなものになります。
わかりやすい例として、ワクチンの予約システムを例に取ってみましょう(ディベロッパーを敵に回してしまうかも。。汗)
1. ワクチンの予約システムは始まると同時にサーバーがダウンしてしまうほどの混乱を極めました。あれは、最終的にはサーバーの容量がダメであるという点で、顧客がまた電話をかけ直さないといけない、という点でUser experience的には×でした。
別の例を考えましょう。企業や医療の収支計算です。病院では医療事務、企業でも会計、どちらも特殊な技能や知識が必要です。
2. 現在日本の会社や医療はコロナウイルスによるパンデミックによって、経営の多角化を迫られており、業務が複雑化しています。かつ、コロナのため、という名目の時短勤務も迫られています。業務が複雑化しているのに、ゆっくり整理したり自動化する時間もないまま、経営が複雑化しているのです。人間の能力はそんなに急に多角化はできません。十分な休養がないとミスも多くなります。
ここで必要なのが自動化です。人間はオブザーバーに徹し、自動化を管理する役目に徹するのです。細かい仕事は機械に、大観をみるのは人間です。
このような場合、Userは雇用されている社員になります。残業の抑制・業務の円滑化のために行われます。自動化を取り入れたけど残業をしていては意味がありません。
なので、この場合のUserは雇用者になるのです。
さて、またUserを顧客にしてみましょう。
3. 金融サービスのプラットフォーム。最近サーバーの老朽化による不具合が取り上げられています。あれは、クラウドのセキュリティーリスクを過大視あるいは調査してこなかったつけかもしれません。
金融のプラットフォームは顧客の金銭を管理し、基本的にはその手数料を取ることで経営が成り立っています。手数料をIT化することでより取りやすくなります。いいですね。chatbotがあるので、24時間、わからないことを質問できたり、送金ができたりします。ポイントは24時間、それと、銀行に行かなくていい、これです。
これを経営者に置き換えてしまうと変なことになります。
1. ワクチンの管理が一覧になって楽だからいいやと放っておくと、いつも混んでいる回線から、新しく出てきた予約の取りやすい場所や電話で予約の取れる個人クリニックにお客さんは流れます。政府の場合は国民がお客ですが、純粋に不満が出るので次の選挙に響きます。そして感染者がいつまで経っても減りません。
2. 会計管理を経営者向けにするとしましょう。大まかな会計システムは可能でしょう。しかし、顧客から返金依頼や調査依頼があったとき、スタッフは中をみて調べたり変更できるものでないといけません。ルールの改訂、税率の変更、顧客の増減があった時が大変です。そういったkey numberやkey wordが手軽に設定できるもの、また基本中の基本ですが、基本操作の中のクリック数が少ないものが良いプラットフォームです。
3. 現在chatbotがあるからと、人間による業務を縮小しているところが多くなってはいないでしょうか。
現実に起こっているのは顧客へのサービスの拡大という見せかけの低下です。引き落とし、預入、多様なルールがありますが、ほとんどの説明はプラットフォームに書いてあります。今ある時間外対応のchatbotはその説明ページのガイドにすぎません。
顧客のトラブル対応はまだまだ人です。またシステムの不具合に対してもまだまだ人です。それなのに、顧客対応のためにかつてあった電話番号やメールの番号はページの奥に奥に隠されるようになりました。故に、重大な問題が顧客サイドに起こった際に対応が遅れるのです。
(私なんかは、楽天やyahooなどのお客サービスの番号を控えていますが、すぐ変わっちゃうんだろうなあ。。。)
また、ガイドがあるからとwebの案内ページが平気で複雑化され、見出しがわかりにくくなりました。これは、経営者あるいはwebデザイナーの怠慢ですね笑。
また金融の場合は、海外にいる場合、逆にインターネットは大きな強みになりますが、海外の銀行や外国送金サービスに比べ、日本は顧客から直接メールを送れる場所が少なく、上記のような顧客のトラブルに対応することができません。
クレジットカードを作ったり、新たな顧客にする時は、免許証と顔写真を送るくらいですぐできるのに(私の加入したクレカ会社は、IDカードを送る前に入会金の引き落としがありました)、銀行での送金で住所変更や契約口座番号の変更が必要な時は日中にわざわざ電話しないとできないので、結局朝まで待たないといけなくなる。
金融系はこのような"釣った魚に餌はやらない"式のところが多く、入ってからのサービス内容をよく調べてから加入した方が良いと思います。逆にこの考えを採用していないところは、比較的、良心的な業者だと言えるでしょう。
多数の顧客を抱えているからと、業務を縮小し、手数料だけ取っているようなサービスでは近々、国民に見放されてしまうでしょうね🥲。
暗い話ばかりでしたが、
実際Uxに焦点を当てると、結構みんなが幸せになります笑
ワクチンの予約システムも、アクセスできる時間帯を登録番号末尾偶数奇数、分けるだけでアクセス数が減り不公平感も少ないです。サーバーの容量をアクセスの増える時期に一時的に増やすのは当たり前です。
長期スパンで見ると経営的にも良い効果があるのではないでしょうか。これは論理ではなく、実際顧客のサービス体験が向上する企業は、やはりセールスが上がるのです、純粋に。
ITを使って騙し取るようなサービスは、ITへの不信を増加させ、そのような業者が多くなると、日本全体のIT活用がただのトレンドで終わってしまうでしょうね。
偉そうに書いてきましたが、海外で暮らした筆者が、思うところです。
IT活用がもっと顧客に寄り添ったものになるように、これが今の日本の課題だと思います。参考にカスタマージャーニーマップを貼っておきました。作って見るといいですよ?