あたおか散文2020/9月分まとめ

こちらTwitterでつぶやいたものをまとめたものです


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予備の発電機、時の往来

旋風が運んでくる右向け右

設定温度は氷点下を指す

我を飼わじ、ほわれを価値にしろ

軒先の看板、達筆行脚、銀幕のオブジェ

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指先でそっとなぞる靴底の街

雑多な看板はしずかに夜を待つ

窓硝子が重なって、寝台列車が客でうまる頃、雲が流れ落ちて、掛け違えたボタンに視線が集まる

豪華な夜食を平らげた動物園

開きっぱなしの錆びついた檻

目を閉じてようやく見える、明日の面影を、昨日の欠片を、今日を

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間違った注文、誓約の行列

綱を引く古地図の住人たち

報われた彼方、砂の檻

秘密主義にうごめく律儀な商人

開いた口に水鉄砲

落ち着かない方位磁針で眠れない夜をゆく

たまった雨水に暁がゆれる

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化石の中に降りそそぐ花の雨

一字違いの名前を叫ぶ孤独の賢者は、とうとう自らを見放した

他国を夢見た偽りの乙女は、仕方なく愛を手放した

強さを求めて彷徨う狼、弱さに目をつむり逃げ回る羊

飼い慣らされた心臓は、鼓動を打つこと以外の魅力を放棄する

夜、そして開けられた箱

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蜃気楼に隠した君への想いを、未練たらしく眺めて見ては、辛辣な言葉の柄をにぎる

君が幸せと出会って結ばれてしまえば、僕は、僕に、とどめを刺せるのに

涙で薄まった血が、生きた心地を奪う

よがりをまとって無様に丸まる背中

水際の曼珠沙華と一匹の蟻が、妙に爽やかに手を振る

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夢と命の交換を、片棒を担いでけんけんぱ

涙が枯れればおかわりを、血潮の水割りで一息ついたら、白いカーテンをくぐりなさい

裁きの刃に役満を、目まぐるしい祈り達は、やがて糸を紡ぐでしょう

手繰り寄せた運命に祝福を

敬意を

    叫びと

          沈黙を

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放射線を描いて舞い上がる鶴の羽

水面を撫でながら離水する梅の花びら

光の差す方へ首をかしげる野良の感嘆

訳ありのスニーカーが両手を結びながら雨に溺れるような、透明で凛とした仕草で雲を取り込むような

合図を待っているような

杜撰で単調、それでいて愛おしい、朝露の鼓動

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起き抜けの怠みに、妄想が余生を全うする

気遅れした憎しみを海に返したら、近くの喫茶店で一息つこう

予測不可能を謳う評論家はあみだくじとにらめっこをつづけている

未来と再会を果たす前に、虫取りかごいっぱいの宝物を質屋に押し付けた

即興が芽生える強気の開拓

刹那の琴線

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底無しの釣り堀で、ありってけの無秩序に餌を垂らす

逃した獲物は大きいという通説は、背中側のゴミ箱に贈っておいた

雲だけが泳ぐ波紋の群れの中、不思議の国からの招待状はまだ届いてはいない

徐行と遠雷、お腹が鳴る

冷めたおむすびが円周率を呟いている

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悪意の矛先、散らす微睡、傘間の沈黙

食物連鎖の錆びに忍ばせた円周率

積み上げた三次元立方体、倒立する鎧兜が歪んだ祭りを誘致する

灰色の花が咲き乱れる奈落の底で、山ほどある諦めた夢を煮炊きする

槍の櫓、交わした杯、溢れた水屑

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入れ食いの摩天楼

強者だけの楽園

手に握るのは他人の足

見上げる恐怖と見下す優越

来世への手土産は紙の免罪符

肥えた屍

盲目の鳥頭

約束された明日にせがんでひれ伏す

昨日に拘束されながら常闇を喰らう

色即是空

珠揺らの煌神殿

瞳が創り出す新庭界

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偽った座標で君と落ち合う

くすねた花束とまがい物の指輪

誰かの言葉をなぞる、嘘の涙で色付けしながら

堂々としたまやかし、くたびれた真摯

君に正常な判断を奪われて以来、思考の迷路の出口を、探し彷徨えっていた

ここから救われる方法は、君を、忘れること、だけなのだろうか

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鮮麗されし拙さを耽美し者に奇怪が触れる

窶れた愛の愚直な唄は叶わぬ昨日に蔓延る禁厭

瞼を重ねて透け入る憂いの情景を切り取る饒舌な輪

指切り失くした空白に積もり綴ける灰色の今日

泡沫に巻き込まれ湾曲誘う数多の雷光

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画面をはさんでこちらとあちら、パンにはさんだお芋のカステラ、繋がりなど微塵も感じないのにどことない鼻歌ららら

非日常の意味すら知らず、ここではないどこかという響きに急かされ、ドラム缶に穴を開けて星空を模す

紳士淑女のお手並み拝見、出会いは必然

やぁーやぁー我こそは

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街ゆく靴の群れ、転々と挿す効果音

脳が構築したまばらの白帯

抑揚を染め上げた微細な三角巾

仮縫いの疲労、魂魄の邂逅

天気雨に乗る有意義な楽隊が昼休みを運んでくる

明日、虹のたもとであの人を見た

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無闇の矢鱈場、恐々の舞

咎のしきたりにて、瞬き

煙に混ぜた夢うつつ

反転せし金魚鉢、雨、底、縄

浮世の雫、隔離世の涙

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光の独往、懇々と流れる

すばしっこい未知をたずなで繋いで、顕微鏡で覗く日々

架空の論壇、透明な論者、ご都合な論文

耳を傾けたくなる他者の声を探し歩く

道が傾く野次の惰性、唐突の響きと揺らぎ

白く塗りつぶした鏡に映り込む人影を、わたしと名付けた

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