どりぃむりてらしぃ


僕は毎日、夢の中へ、君に会いに行く

今日の出来事を詩ったり、明日の天気を描いてみたり、
制限に隠れて、自由を膨らまして遊んでいる

日常の切り取り方が素敵な君のつくる詩や絵を見て、
その素晴らしさに僕は何度も何度も心を揺らし、言葉を失い、呼吸を忘れた

そんな自分を少し軽蔑していたのかもしれない
確実な劣等感がそこにいた

君のくれる褒め言葉でさえ、鮮やかすぎて、眩しすぎて、まともに受け取れなくて
君はやっぱり雲の上の存在なんだと、神格化して、分離を図って、誤魔化して笑った

それでも、君のようになりたくて
視点の角度や明度を変えてみたり
想像の世界に視点を沈めてみたり
憧れを必死に追いかけていた


届かなかった


いつだって君は、世界を真正面から捉えていたんだから

とても敵わないなと思った
君のようになりたいという願いは
叶わないまま手の中から落ちていった

それ以来、君に会うのが恐ろしくなって、僕は夢から距離を置いたんだ

会わなくて幾月か経って、君のことも朧みをおび出した頃
僕は、わずかな油断から夢の中で君に会ってしまった

立ち込めたのは懐かしさを孕んだ日常感
昨日ぶりかのような声の高さで君は僕の名前を呼んだ

思考の助言は耳に入ってこない
静止した世界で、僕は未来にも過去にも今にも居なかった

君の声が一段と光って聞こえる
すぐさま、僕はつらいを演じようとする
そんな僕を他所に、君は言葉を次々と生み出していく

何の準備もなく突飛に再会したからなのか
逃げ出して距離を置いていたからなのか


響く
そして靡く


君の言葉に肩を震わす
こんなひねくれた僕でさえ、君は真正面から見てくれていたんだ

試行錯誤の産物たちを、君はおもしろかったと言った
負けたくないと、自分も必死だったと、君が言った

疑いが口を挟む隙がないくらいに、君の顔が滲んでいく
それでも少し困りながらも笑っているという事だけはわかった

ありふれて埋もれてしまい、飽きられておざなりにされてた言葉が、不意にこぼれる


「世界って、素晴らしいとこだね、、、」


あの時の僕に足りなかったのは、きっと、足元で転がしていた、ほんの少しの自信


ありがとう。

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