あたおか散文2020/11月分まとめ

Twitterでつぶやいたものをまとめたものです


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でしゃばった隙間風が、洗練された虚無の前を横切っていく

あざ笑うように、手招くように、ひらりと揺れる赤いスカートで瞳だけを残して流れるように

スローモーションの残響と、はや回る思考の中、カチンコで始まったぶっつけのワンシーン

自分を演じるのか、自分で演じるのか

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日暮らしそそのかしいとおかし

曇り曇った断りの電話

聞く耳持たずの押し売り問屋

良くも悪くも世間体

苦楽ら悩んで金儲け

よかれと思っていらぬを買って

よかれと思っていらぬを売って

手の甲が青白くくすんで、人の幸は赤黒く屠くれました

恩の取り立て屋にご注意を

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ポジティブは良いことだというポジティブな思考と、ネガティブはいけないことだというネガティブな思考

迂愚な部分に鍵を差し込むと、トーラス状に動き回る感情に出逢えることだろう

一度振り回されてしまえば、物事の起因がどの部分から信号を送っているのかが、わかるかもしれない

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人間味を一切たち落として、量産型の宇宙のひずみに身を隠した

月の中途半端に欠けている部分には、誰も目を向けてはいない

零か百の世界で、白は一を求めて彷徨ううちに、いつしか黒に染まり、やがて零と出会うだろう

そこはかとない風の階段を一段づつ登ってゆく

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堂々とした白昼夢に、あわや意識を持っていかれそうになりながらも、陽炎のような現実を受け入れてゆく

狭む道路を駆け抜ける車にさえ、何とも思わなくなった

ゆっくりと流れていた時間を見失い、新しい秒針を買う

吐き気をおぼえるほどに規則正しい建売看板は、蝶をうたう

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沸騰したお湯、粉のコーンスープをスプーンでかき混ぜながら溶かしていく

そのときだけは、無心になれるんだ

無心になれるのは、そのときだけ、そのときだけだから

思考は私との謁見を求め、一晩でも二晩でも玄関の前で待ち続ける

私は忙しいを演出して、のらりくらる

いつまでも

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透き通った海の中を浅い呼吸で游ぎ進む

咄嗟に逃げ跳ねる何かによって、底の砂が光を反射させて静かに舞った

同時に、鼓動に共鳴した波が、幾重にも円を広げて空を目指してゆく

雲から伸びた手を丁寧に断って、不規則な笑い声に耳を塞いで

夕陽がつくる白い道の上で、昨日を渡した

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街の幻は朝には消える

透明な水晶に手をかざして、未来を見せる烏は、この世を捨てた羽根達の憩いの存在

人の夢も、朝には消える

様々な現実に手を伸ばして、自分を重ねる雛は、この世から捨てられた無念と遺恨に乾杯

朝日が全て照らし、全てを消し去ってしまう前に、隠した四つ葉

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肋骨がころころと鳴る

駄馬の行く末を見守った花々も、いつしか枯れて種を飛ばし始めた

不恰好な情景を背負った街に、何年ぶりかの冷たい雨が降る

思い出に住み着いた王様は、次の頁をめくることはないだろう

そう考えた人々は、ただ静かに、冷たい雨を、ともに流した

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人生なんてただの帰り道なんだから、おなかいっぱい道草食って、好奇心のままに寄り道して、たのしんでかえったらいいんだよ

小学校のころ、授業中に、窓の外、少し遠いような、焦点を合わせるわけでもなく、ぼぉっと見つめながら、あの子は言った

今、すこしだけ、わかるきがした

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成層圏で暮らした日々を百科事典で探して、整合性の落とし所をさがす

頑なに否定する、一方的な側面の野放図

遠心力に任せて吐き捨てた言葉たちが、視界を傷つけながら返ってくる

荷台で固定してある制限標識は、いつのだれのためのものなのだろうか

自由度の高い戸惑いで遊ぶ

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集合意識体を崇めて、それ以外を否定する事で、それ以外の存在自体は肯定している

割れない風船はどごまでも高く、いつまでも幻を植え付ける

現像しないと見えない細やかな産声が響きわたる夜

数字を組み立てて、無造作に並べて、不恰好に纏うことで、連続する光は成り立っていく

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現実を創り出すのがうまい人

現実を動かし遊ぶのがうまい人

現実を整え育てるのがうまい人

現実を壊すのがうまい人

起承転結を担った役者たちは、他者の台詞を奪うことはないが

得意を知るために、好きを知るために、自分を知るために

視点をかりて見ることはあるのかもしれない

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考えないようにすればするほど、その存在はおおきくなってきて
見ないようにすればするほど、その輪郭ははっきりしてきて
おもちゃとごみが散らかった部屋で、ひかるものだけを拾いかさねる
底から水面を通して、こんどは揺れる想いだけを手のひらですくう
羽根のかわりとしては上々

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夕陽が沈むあの街も、お月が照らすこの街も、わたしの夢の中で朝陽を浴び始めている

未来の予告を流す擬似星座たちが、鉄琴を紡ぎながら催促をする

選ぶ選ばないの選択肢

振り返りくり返さないようにと予言師

充電が切れかかっている人差し指で受け取ったのは、ほがらかな蝋燭と風

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ものにしたのは第六宇宙速度

すべてが一周して止まっているようにもみえる

視覚と思考が分離して、心が丸裸にされる気分で、追懐に浸る

手から離れたのは第六宇宙速度

すべてが一周して動きだしたようにもみえる

秩序と感情が飽和して、心が色褪せていく気分で、崩壊に浸る

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浅い眠り、無くした切符、環状線

主観の朗読、起き抜けの狂気

押し問答に花が咲く

雨にうたれた田んぼ、腐った蛙のにおい

錆びついた懐刀、鋭利な魅力

賭した稲妻に実りが垂れる

指をくわえた三文芝居に、白い鯨は弧を描いた

潜水士が探していたのは貝の涙

累々と並ぶ雑本誌

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かたどられた視線の結び目

ほこりをかぶった感情基盤、からまる配線、錆びた電源

長年置き去りにした自分は、自分を諦めてくれただろうか

開かずの踏み切り、かたまった右足、今日こそはとつま先に力が入る

これ以上進めないと、何度目かの号外が告げた夜に限って、満天に染まる

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隠したい自分を隠し通し切るために、嘘を学んで、鍛えて、塗り重ねてきた

のに、その嘘がバレてないと思っているのが自分だけだという滑稽さを見たとき、虚しさと恥ずかしさと、どこか安堵感を感じたんだ

月ですらも隠したい自分を、自分の意思に関係なく暴き照らされてしまうのだと

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耕した畑にきれいに植えた罪悪感

償いと水やり、後悔が育てたそれを嫌がるように求めてしまう

不思議なものだねなんて達観したふりをしながら、かたかたと震える手で珈琲を一杯、そしてもう一杯

酔えない朝陽を幾度も浴びて、たどり着いた別れのきっかけ

全部自分次第なんて笑える

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雲の絨毯の切れ目から、おりた梯子に付箋をつける

風に吹かれた付箋らが羽根のようにゆれ、羽根のように舞い落ちてゆく

光を振りまきながら、想いを溶かしながら、諦めを孕みながら

与えられたもの、勝ち取ったもの、それぞれの違いをさがしながら

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幸福への復讐か、不幸への服従か、どちらにせよ笑顔から遠く離れた場所にいることには違いない

それ相応の枠を掲げて、共感優先の言葉で色づけした

涙ぐましい努力と、もっともらしい挫折を武器に、お山の大将は何を問う

遥かを比べて焦りを喰らい、永久の暗闇に現実を見るや否や

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地球が見てる夢を、僕らはほんの少しだけ共有している

肉体の領域内で、出鱈目だけど正確に変換して、強引な辻褄合わせで楽しんでいる

愛はまやかしなのか、きっと、まやかしすらも愛なのだろう

僥倖的な確変が続けば、終わってしまうことに恐怖する

こんな私を笑ってくれるかい?

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光で洗った眼鏡で、あらためて世界を見渡した

焦点の合わないものほど、きになって目を凝らしてしまう

はっきり見えるものほど、さらりと流して見てしまう

魂が望む景色を明確にしないまま、描いた写真で埋め尽くされた本棚は、もう必要ないかもしれない

少しだけ冷たい風が通った

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気配の分散、力尽きるまで淀みにすがる

まっとうに向き合って、背景と同化した鯱の咆哮、天蓋を揺らして、恵を降らした

利のあるうちは手を合わせ、害の匂いに石を投げる

飽きない言い訳、盗人の美学

不快な砂塵を産み出している張本人が誰なのか

他人事の中で、知らんぷり

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