ずっと、わすれない友人のはなし 『長島の死』 坂口安吾 1934 年 ( 昭和9年 )
『長島の死』
1934 年 ( 昭和9年 )
戦後直後から活躍した文学者、田中英光、太宰治、織田作之助などとともにアプレゲール時代を無頼派として生きた坂口安吾 ( さかぐち あんご ) が、20代に芥川龍之介の書斎 ( 青い絨毯の部屋 ) を編輯室として若い無名の仲間たちと集って同人誌をつくっていたころをふりかえったエピソードを書く時、何度も登場させる友人がいる。
一方的に、とても強力にライバル視され、固執されるが、
「オレには他にも友達が幾人かいるのに、なぜおまえはオレ一人にだけそんなにかまい、オレもおまえをずっと気にかけていなくてはいけないの?」
というような、すくなからず迷惑でありながらも、完全には目を離せないカマッテくん、というような存在だったのだろうか?
その彼の印象に残されたままになっている自分を何度も訪ねているように、その時どきを描写した謎のキョーレツ男をなつかしんでひっぱりあげる文章だと感じる。忘れないともだちについてのはなし。
長島萃 ( ながしま あつむ ) = 長島義雄 ( よしお ) 陰謀政治家 長島隆二の庶子 ?年?月?日 - 昭和 9 年 1 月 1 日 午前 0 時 05 分
坂口安吾 ( さかぐち あんご ) 1906年〈明治39年〉10月20日 - 1955年〈昭和30年〉2月17日
時代背景
芥川龍之介の死:1927年〈昭和2年〉7月24日
きくよむ文学
『長島の死』
1934 年 ( 昭和9年 ) 『紀元』2月号 ( 坂口安吾 28歳 時)
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資料:
この作品の中でのエピソードになっている 長島萃さん の該当する最期の作品を、貴重本から丁寧に文字起こしをされた方がいらっしゃいます。
『エスキス・スタンダール』 長島萃 ( ながしま あつむ )
→ リンク 『銀座出版社版・堕落論』を読む