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『ある遊郭での出来事 ー公娼存廃論者への参考資料としての実例ー 1 大泥棒の客』 若杉鳥子 ( わかすぎ とりこ )

タイトルになっている公娼存廃論とは、人身売買契約によって、例えば、親に売られる、親がいない子を預かり者がゼゲンに売るなど、売春宿に身体・生活を拘束される芸娼妓契約 ( げいしょうぎけいやく )で運営される 年季奉公の 売春ビジネス遊郭についての撤廃、存続についての論争のことを指すのだろう。

100年前のアナキスト、または「青踏 ( せいとう ) 」のメンバーたちの活動のなかで頻繁にもちだされる議論だったようで、それがさらにケンケンガクガクに世論で語られたんではないだろうか、その浮わついた議論に対してのこのタイトル『公娼存廃論者への参考資料としての実例ということを解釈できる、ピシャリと、「こんなハカナイやるせないところですよ、ご存じでしょう ? だって、そんなもんでしょうってみんな解ってますでしょう ? 」とでも投げつけているようなサッドストーリー。

若杉 鳥子(わかすぎ とりこ、1892年 ( 明治25年 ) 12月25日 - 1937年 ( 昭和12年 ) 12月18日

背景としては鳥子さんが芸者置家に養子にだされ育っているというところに、このテーマへのモチベーションがあったのではないかと思わせられる。

さくらん』という安野モヨコの漫画を同時に思い起こさせます。

資料 :

那須敦志 ( なすあつし ) さんのブログ
旭川のアナキスト・大正編
◆ 鎖断社と小熊秀雄 ( おぐま ひでお )
大正13年9月2日・旭川新聞

尾竹紅吉 Wikipedia「吉原登楼事件


近代公娼制 Wikipedia

時系列で整理したい場合に、牛馬きりほどき令など、制度を並べてもどうやら市井では実行してない状況、それが大正、昭和と漫然とあるというのがうかがわれる。

さらに遡って、江戸から明治の状況というのを資料を載せた薄い本というので読んでみたい本。実際の当時 ( 明治 ) の生活者の陳情書など記載しているらしい。

江戸東京の明治維新 (岩波新書) 新書 – 2018/8/22
横山 百合子 (著)


きくよむ文学

ある遊郭での出来事 ー公娼存廃論者への参考資料としての実例ー 1 大泥棒の客』
「婦人公論 第十年八号」中央公論社、1925 年 大正14  8 月 1 日

若杉鳥子 ( わかすぎ とりこ )
  
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