【事例紹介】施設での金融教育①
こんにちは!
「福祉×お金の教育」のテーマで活動をしている、Ocalea+です🌼
児童養護施設や里親家庭など「社会的養護」の分野での、お金のトラブルを防ぐための活動をしています。 お金の準備をできるだけ簡単に整え、安心して出発できる社会を作ることを目指しています。
この記事では、施設職員さんからヒアリングさせていただいた、施設内での金融教育の事例を紹介します!
お金のリービングケアの内容
リービングケア委員会があり、その議題として出てきたテーマについて都度対応をしている。設立約10年の施設のため、近年退所者のお金のトラブルなどが近年現れてくるようになった。
①リービングケアの最初は将来像を見据えるところから
まずは「3年、10年後に何をしているか」から話す。その中で、結婚して2人子どもいて…と具体的に話す児童もいる。特に女子生徒は職員とそのような話で盛り上がる様子が見られる。
次に、1か月どれくらいお金がかかるかの話をする。水光熱費がいくらかかるかなどネット上に情報はいくらでもあるが資料を見せても「自分ごと」として見られないため、職員自身の領収書を持ってきて見せるなどして、出来るだけ面白く自分ごととして捉えられるようにする。
②クレジットカード・デビットカード、保険などの知識面の講座
職員が調べながら資料を作り、リービングケアにて話をしている。コロナ禍だったため外部からの講師が呼べなかったことと、職員自身が勉強・情報収集するために自立支援員が資料を作成した。
カードについて児童が理解するには難しく、講座後には「自分は使わない」と考える児童がほとんどだったが、理解しないままに手を出すよりはいいかもしれない。
③外部の機関の活用
現在、アフターケアについて連携している団体に、リービングケアの段階から連携してもらうことを検討している。
日常で実施しているお金の教育
①アルバイト給与の自主管理
高1の夏からアルバイトできるとしているため、児童によってはキャッシュカードを持たせて、自己管理させている。その場合は、18歳までにこれくらい貯めようという話を2段階でユニット職員から話す。
1.貯めてまずは自分の欲しいものを買うという目標を通して、貯めることの達成感を味わう。
2.高2くらいからは進路や将来に向けて貯める計画をしていく。
②自主管理が難しい場合は、貯めることの同意から
逸脱行動やトラブルがある児童は、上記のようにキャッシュカードを持たせるまではできず、アルバイト代を半分は貯めて半分使えるなどしている。ただし職員が勝手に貯めるということはせず「こういう目的、こういう理由で」と伝えて同意を取ってからにしている。当施設では若い世代の職員が多いため勝手に貯められたら自分だったら反発してしまう気持ちも分かるため、そのような方針になっている。
良かったこと、難しいこと
基本的には、自立支援委員が主導するよりも、ユニット担当から「この子に対して自立支援をしていきたい」という相談を受け、希望を聞きながら、アドバイスなどをしていく進め方になっている。現場の職員がメインとなるようにしたい。主担・副担にそれぞれに想いもあるため、したいことを聞きながら考えている。
「失敗しおいてほしい」というのがあるが、落ちつかない子ほど、そういう星まわりなのか何かしらトラブルを避けることができてしまい「職員に言われたようには問題にならなかった。何とかなった」という悪い成功経験を身に付けてしまう。
傾向としては、女子は率先してリービングケアに取り組んでくれる。自立して自由になりたいという気持ちが大きく、理想の暮らしはどんなかという話を職員と盛り上がっている様子も聞く。一方で男子はお金のイメージ持てず、自立時までのんびりしている感がある。実際に退所してみないと理解してもらえない。
今後に向けて
一番大切なのは「貯蓄の大切さ」と考えているが、これはすぐには実感してもらうのは難しいので、多方面から伝える必要性を感じている。10年一緒にいる親がわりの施設職員から言っても聞く耳がないことはあるので、外部から言ってもらうのも効果がありそう。ただ、退所者の収入を見ていると、生活を回すので精一杯で、一概に貯めろというのは酷な部分もある。でもよくよく聞くと、アプリにお金を使いすぎたという話もあり、どうやって支出を削減するかという面もある。
自立に向けて市・国からある程度まとまった額の自立支度金が出るが、いつこれを児童に伝えるかが課題。私の考えとしては高2から話したい。その時点で進学、家具、生活費などの話をして、ワークシートを使って計画を立てていきたい。子どもにまずは何にお金を使うか書いてもらって、具体的に考えて金額をイメージしてもらえたらと思っている。
Ocalea+からのコメント
確かに、退所して一人暮らしをしてみないとイメージがつきづらい子もいますので、そのために職員さん自身の家計を見せるのはとても有効ですね! また、お金のことは知識として知っておけば、自立後に現実が分かって取り組みたいと思った時に教えてもらったことが活きるので、伝わっていないように思えてもそれでも伝え続けることも重要です😊