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【事例紹介】施設での金融教育②

こんにちは!
「福祉×お金の教育」のテーマで活動をしている、Ocalea+です🌼
児童養護施設や里親家庭など「社会的養護」の分野での、お金のトラブルを防ぐための活動をしています。 お金の準備をできるだけ簡単に整え、安心して出発できる社会を作ることを目指しています。


この記事では、施設職員さんからヒアリングさせていただいた、施設内での金融教育の事例を紹介します!

施設概要:東京都、大舎制
ヒアリング対象者:自立支援員         


お金のリービングケアの内容

■収支計画は、特に進学者は月レベルで自立支援コーディネーターが作って、担当職員と児童に対して説明をしている。フォーマットは他の施設からもらえた。コーディネーターの繋がりがあるので。それを見て、足りないよね、バイト増やす?家賃さげる?というのを話していく。貯蓄額は伝えるようにしている。

■アセスメント評価シートがあり、生活全般について「出来ているか、知っているか」のチェックリストがある。これを持って、児童と担当職員が話し合いながらチェックリストを付けて点数化して弱い部分・強い部分を出す。そして、それをもとにどのようにしていくかを考えるようにしている。(高校3年の始め) 

■ブリッジフォースマイルの冊子を全員分購入して渡している。

日常で実施しているお金の教育

■施設職員が様々なお金のトラブルについて日々伝えている。そのため、子どもたちはカード、課金、自己破産、リボ払い…という言葉は知っているように思われる。一方で、課題はそれを自分ごととしてとらえ、実感すること。

■そのため、外部講師にお金の教育講座を依頼する時は「体験型」でやっている。言葉で教えてもやっぱり覚えていない。ゲームで自己破産してみる、リスクを十分知る、こんなことになるとは思わなかったと感じる。全国銀行協会のマネープランゲームをやってみて面白かった。選択肢のかかれたカードをえらぶ形式で、例えば保険はいるか、どういう車を選ぶか、保険に入ってなくて入っておくべきだったなどを体験的に学べる。

■今は、子どもによるが、キャッシュカードを渡してバイト代を自分で管理して児童もいる。


良かったこと、難しいこと

  • 分からないことは悪じゃないので、一緒に調べようでいい。それで一緒にネットで探したり、調べたり、職員も知識を深め、調べ方も子どもたちが分かるようになる。
  • お金を使う行為には、ストレス発散になる、興奮するなどの心理的な問題が伴っているから難しい。ゲームの課金やガチャを我慢できない、高級ホテルに泊まってインスタにアップしている子なども。同時に、見えないお金(メルカリの後払い、クレカの問題など)の問題で、ある以上に使ってしまう。お金の講座をやること自体はいいが、それだけでないところが難しい。
  • バイト代は2万円までは使ってもいいとするルールにしているが、人によって収入金額が違うので一律にしてしまうことは良いのか考え中。もう少し児童に持たせてやらせてみるかと検討している。施設が貯めてあげるという行為と、使わせるというバランスが難しい。相談に応じてお金を渡すが使い方を教えてあげないとと考えている。


今後に向けて

  • 在所中にお金を自分で使わせるというのを高2くらいから出来ればと考えている。退所後に口座を施設が握るのは本人の同意がないとできず、それを望むのは比較的しっかりしてる子。施設の中でなら失敗できる。ホームレスにならない。後の処理の方が大変で、出てからだと取り返し付かない。
  • 取組みとして性教育委員会があるが、それを「生教育委員会」に変更している。年3回(うち1回は合宿)の取組みを行い、その中でお金関連、コミュニケーション講座を入れるなどを考えている。性教育を実施していたら、やはり自立の話も入れたいという声が他の職員から出てきた。


Ocalea+からのコメント

まず、施設職員さんが日々お金のトラブルなどについて伝えていて、子どもたちが知識だけでも知っているというのが素晴らしいです。「意識・知識・行動」のうち、知識は幅広いので、そこが日常で出来ているだけでも次のステップにいきやすいのではないでしょうか😊