オブさんエッセイ プチ障がい者営業中①
約一年ぶりのnoteへの投稿になります。生来の怠惰な性格が災いし、さらに興味が全く別の方向に飛んでいたため、いろいろ書きたいことはあったのですが、投稿するまでには至りませんでした。これからは、自分のペースでゆるゆると、徒然なるままに書いていこうと思っています。お付き合いいただければ幸いです。
微妙な動作ができなくなってイライラするのです
手足の関節が何の触りもなくスムーズに動いて、身体のどこも全く痛くなかったころのことを、半分思い出せなくなりつつあります。
私は中途障がい者なので、28歳まではいわゆる「健常者」でした。そのころは、まさか自分が「障がい者」になろうとは想像もしていませんでした。
手指が曲がる。手首が動かなくなる。肘が曲がったまま伸びなくなる。肩が上がらなくなる。どの関節も少し動かしただけできつい痛みが走る。地面に足をつくだけで足首に強烈な痛みが襲う。顎関節が痛んで十分に口を開けることができない。頚椎が痛くて首が回らなくなる。原因は関節リウマチ。女性が多く発症する自己免疫疾患で、難病の部類に入る病気です。そのような病気に、よもや自分が罹るとは、全く思いもよらないことでした。
やがて、入院・手術を余儀なくされ、立派(?)な障がい者と相成りました。肩の人工関節置換が決め手となり、1999年にはめでたく(?)身体障害者手帳の交付を受けました。障がい名は上下肢不自由、障害等級は2級。そして今日に至ります。
主治医の先生方の治療のおかげもあってか、外見的には〝障がい〟があるようには見えないらしいのですが、実際のところ、日常生活ではできないことやうまくいかないことが多々あります。
何しろ手足の関節がイカレる病気による障がいなので、そもそも基本的にあちこち痛いうえ、重たいものが持てないとか細かい作業ができないとか早く歩くことができないとか正座ができないとか胡座がかけないとか一度地面に尻をついたら自力では立ち上がれないとかいろいろあるわけですが、そういうのはまだしも分かりやすく、周囲から理解してもらえることも多いので良いのです。むしろ日常で困るのは、微妙な動作が意外なほどできない、ということです。
ペットボトルの蓋が開けられない。コップの類を、大きさや形によってはうまくつかめず、両手を使わないと落下させる恐れがある。地面に落としたコインを拾えない。前開きのシャツの第一ボタンを止められない。靴下をうまく履き脱ぎできない。紐の靴をうまく履けない。ネクタイなどもちろん締められない。ハンバーガーなどを上手に食べられない。その他もろもろ。どうです、なかなか不便でしょう。
変な話、日常生活では、メインの大きな不自由さより、むしろこうした細々とした微妙な不便さのほうにイライラするというか不愉快さを感じます。また、そういう不便さは、当然ながら他人にはなかなかわかってもらえない、ということにもなります。
とはいえ、「障がい者」としての時間が「健常者」だった時間より長くなり、今となっては、障がいのある状態が私にとっての〝当たり前〟となりました。もちろん、私よりも厳しい困難を抱えている重い「障がい者」の方から見れば、私なんぞは「プチ障がい者」に過ぎないわけですが、そんな「プチ障がい者」の日常やグチなど、しばらくの間、のんびり書き綴っていこうと思います。(つづく)
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