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【投稿その1 昔のエッセイを放出します  オブさん文芸部エッセイ⑪ もてない人になる方法(下)】

 (承前)このような人間になれば、もう確実に「もてない人」への道をまっしぐらですが、まだまだ足りません。さらにもう一押し、

③常に自分中心に考え、行動する
 ということが重要になります。
 「もてない人」であるためには、とにかく自分が一番でなければ気が済まない、という態度を貫かなければなりません。例えば、友人同士が何か共通の話題について楽しく語らっているときに唐突に割り込んで、全く関係のない自分の話に強引に持っていってしまう、などという行為を「もてない人」は平気でできなければいけないのです。いつでも自分が話題の中心でなければ気が済まず、もし話題が自分と関係のない中身で終始し、自分が置き去りにされたと感じれば、たちまち不機嫌になって場の空気を壊し、それでもだれも自分を相手にしてくれないと、いじけて家に帰ってしまったり、場合によっては大暴れしたり。これこそが「もてない人」の行動の真骨頂です。早い話が「自分を中心にオレの話を聞けと叫ぶ」わけですね。
 そこで大事なのは、「もてない人」本人は、周りの人たちから自分が嫌われ、ウザがられているなどとは夢にも思ってはいけない、ということです。いつでもどこでも、自分こそが王様なのであり、世界の中心なのであり、従って自分のあらゆる行動を周りの人間はすべて許容しなければならず、自分のことを周りはもっと気を使ってくれて当然だ、とまあこのように思わなければなりません。もちろん、他人の話なんかいちいち聞いてはいけません。ここまで来れば、「孤独ライフ」を満喫できるようになるまであとほんのちょっとですが、さらにダメ押しするならば、

④相手の話を常に否定し、揚げ足を取る
 という態度を常にとるのもいいでしょう。友人と会話をしていても、いちいち「それは違うんじゃない」「それって意味分かんないよ」「バッカじゃないの」などと言い続ければ、確実に嫌われること請け合いです。

⑤「もてない人」のでき上がり
 てなわけで、以上のことを実践すれば、そのうち、仲間からの遊びや宴会にも誘われなくなり、もちろん電話やメール、手紙も来なくなります。これで、立派な「もてない君」のでき上がりです。

 そんな「もてないくん」だったわたしですが、高校を出て大学生や社会人になり、シャバを渡っていく中で、いろいろと生きにくさを感じることも多くなったので、とりあえず「もてないくん」の振る舞いをやめてみました。すると、いつの間にか友人も増え、何と数年前には結婚までしてしまいました。
 もちろん、友人との人間関係には面倒くささも伴いますし、連れ合いからはしょっちゅう生活態度について叱られたりもするのですが、昔と今と、どっちが楽しい? と尋ねられれば、「そりゃあ今の方がずーっと楽しいねえ」と答えてしまう、わたしなのでした。

【新潟東高校文芸部誌「簓」第4集(2007年3月6日発行)顧問エッセイより】

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