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市場平均に勝つのがどのくらい難しいか、「SPIVA」で確認しよう

「市場平均を上回るのは難しい」とか、「市場平均に長期的に勝てる投資家は全体の1割に満たない」などという発言が、いろんな場面で聞かれます。投資家ならどこかで耳や目にしたことがあるかと思います。

私も言ったことがあります。

本当にそうなのでしょうか。証拠を見たことはありますか。本当なら、どのくらい難しいのでしょう? 自分で調査するのは困難です。誰に聞けばいい?

調査の結果を簡単に知るには、SPIVAを見るのがおすすめです。

SPIVAとは

SPIVA | S&P Dow Jones Indices (spglobal.com)

SPIVAは、株価指数提供会社であるS&P Dow Jones Indicesが実施し公開している、アクティブファンドと市場平均のパフォーマンスの比較調査です。

リンク先に飛ぶと、このような結果が表示されると思います。英語のサイトですが、読み解くのは難しくありません。アメリカを見てみましょう。

  • ◯◯% funds of underperformed the S&P 500 = ◯◯%のファンドがS&P 500を下回った

  • ◯◯% funds of outperformed the S&P 500 = ◯◯%のファンドがS&P 500を上回った

と書いてあります。

「1 YEAR」から「10 YEARS」まで順番に切り替えてみてください。

1年間ではS&P 500に勝ったファンドと負けたファンドは半々に近いですが、10年間だと、勝ったファンドは17.49%にまで減少しています。

この結果が、「ほとんどのアクティブファンドが市場平均を上回れない」という発言の根拠である、と言って差し支えないでしょう。

15年、20年と、調べる期間を広げていけば、勝てるファンドはますます少なくなっていくことが予想されます。(現実もそうなります)

長期になればなるほど、市場平均に勝ち続けるのが難しいことがわかります。

また、国や地域に関係なく同じような結果になっています。政治体制・経済状況・人口・民族・文化・宗教・地政学などにかかわらず、この傾向が普遍的であることも想像できます。(実際そうです)

「自分には関係ない」

  • 私は個人投資家だ。アクティブファンドのファンドマネージャーではない

  • 私はアクティブファンドを使って投資をしていない

などという理由で、この結果を他人事たにんごとだと思っていたら、それはまったく誤りです。

アクティブファンドも私たち個人投資家も、同じものを売買しています。私たちが株を買うとき(売るとき)、取引の相手方はたいていプロのファンドマネージャーです。

アクティブファンドは、同じフィールドで同じルールのもと、同じゲームをしている相手プレイヤーですので、SPIVAの結果を個人投資家が無視していいことになはなりません。

株式市場は売買高・資産保有の8~9割をアクティブファンドが占めているため、アクティブファンドだけ調べれば、個人投資家を含めた全体の傾向を知るのにじゅうぶんです。だから調査対象がアクティブファンドだけなのです。

※ 個人投資家のパフォーマンスの総体を調べることが難しい(コストがかかる)という事情もあると思います。

株式投資のプロであるファンドマネージャーでさえ、平均に勝つのがこれだけ難しいのですから、本業の片手間で投資をやっているような我々凡人が彼らに勝てる可能性は、かなり低いと見るべきでしょう。

「短期なら勝てそうだ」

「短期であればあるほど、市場平均に勝てる確率が高いんだな。じゃあ短期投資をすればいいわけか」

と思う投資家もいるかもしれません。絶対にやめましょう。理由は2つあります。

短期投資では大して儲からない

短期間では複利の効果を十分に得ることができません。

短い期間(1年とか2年とか)で株価が何倍にもなる銘柄が無くはないですが、それを事前に予見し的中させられる能力は誰にもありません。

投資期間は長い

あなたが会社員で、引退まであと30年残っているとして、向こう30年分の給与を前払いで支給してくれる企業は存在しないでしょう。

フリーランサーも同じで、決まってもいない未来の仕事の対価を事前に支払ってくれるクライアントはいないでしょう。

ということは、投資期間全体で投入する総額の多くを、投資期間の初期(今)に投入できる人はごくまれであって、おそらくこの記事の読者のほとんど全員が、定期的に(不定期にでも)入ってくる収入の中から余剰分を切り出して投資に回し、資産形成をしていくはずです。

期間全体にわたって、うすーく伸ばして、ちょっとずつ。

というわけで、投資は短期では終わらないということになります。必然的に、長期的な目線で考えることが求められます。

「市場平均をトレースしよう」

それが、大多数の人の反応だと思います。

株式市場のプレイヤーが100人しか存在しないと仮定したら……? SPIVAの結果から、こんなことが考えられます。

  • 10年間、アクティブな投資をして、上位17人に入ることを狙うか(下位83人に入る可能性もある)

  • 市場平均をトレースする投資をし、間違いなく18位になる

どちらを選ぶかは、投資家の自由です。

後者は、インデックスファンドを使って市場平均にパッシブ運用することで、誰でもほぼ確実に実現できます。いわゆる「インデックス投資」がこれです。

そのためには、学歴も、投資のセンスも、知識も経験も、勉強も、手間も必要ありません。

私は、10年後に間違いなく18位になるために、インデックス投資をしています。20年後には7位くらい、30年後には3位くらいでしょう。たぶん。


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