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インデックス投資をする人が増えすぎるとどうなる?

インデックス投資(市場平均へのパッシブ運用)を活用して資産形成する人が、国内外ともに増えてきています。

現在では、株式のうち4割から5割がパッシブファンドの保有であると言われています。

2020年でパッシブ運用比率は約40%

このままのペースでインデックス投資の需要が増え、もし市場のほとんどの株式をパッシブファンドが保有するようになったら、何が起こるのでしょうか。

考えたことはありませんか?

そもそもパッシブ運用は、市場平均をトレースします。市場平均とは時価総額です。時価総額は株価×発行株数です。株価は、アクティブな投資家が売買した結果です。

ということは、アクティブな投資家がいなくなったら、株価はどのように決まるのでしょう。市場平均はどう動くのでしょう。インデックス投資家はどんな影響を受けるのでしょう。

バンガード社の見解

小淵は金融理論のプロではありませんので、答えを持っていません。すみません。かわりに、バンガード社の見解を紹介します。

2014年のバンガード社のレポートを引いてみます。(ちょっと古いですが問題ないでしょう)

(略)「リサーチに基づいて投資判断をし、市場の非効率性を見つけてそれを利用しようとするアクティブ運用に比べて、インデックス運用は個別銘柄の売買に無関心なアプローチであるため、市場の非効率性を生じさせる可能性がある」というものです。 この考え方に従えば、より多くの資産がインデックス運用に流れるほど、市場の効率性を阻害する力が増していきます。

Vanguard『インデックス運用は大きくなりすぎたか?』2014.7

言い換えると、インデックス運用が大きくなりすぎた時点とは、インデックス運用の増大によって市場の効率性が損なわれた時点です。 市場の非効率性は、アクティブ運用の投資家が利益を上げる機会を創出するため、インデックス運用の人気が高まることは、個別銘柄選別戦略すなわちアクティブ運用に有利な環境につながる、という考えです。

Vanguard『インデックス運用は大きくなりすぎたか?』2014.7

インデックス投資が増えればその分市場が非効率的になり、アクティブ運用が有利になる、と言っています。

たとえアクティブ運用投資家が投資金額ベースで市場の少数派になったとしても、利益を追求するという動機が存在する限り、アクティブ運用投資家は互いを出し抜いて利益を上げようと画策し合うでしょう。

Vanguard『インデックス運用は大きくなりすぎたか?』2014.7

理論的には、市場全てがインデックス運用になると、証券の市場価格を継続的に決定するメカニズムが存在しないため、極めて非効率なものとなるでしょう。 しかし、そうするとその非効率性が機会を生み、その時にはアクティブ運用投資家が市場に戻ってきて、その機会を利用することになります。

Vanguard『インデックス運用は大きくなりすぎたか?』2014.7

市場が非効率になっても、人間から欲望がなくならない限り、どこからともなくアクティブ運用投資家がやってきて、その非効率性をついて儲けようとする。振り子が振れるように、パッシブが増えたあとはアクティブが増え、それが反転し繰り返す、ということのようです。

以上、とてもざっくりとした要約でした。

とても気になるテーマですが、非常に難しく、これ以上掘り下げることは正直私の手に負えません。Googleなどで検索すると他にもレポートや研究結果がヒットしますが、深い沼にはまっていきそうなのでこの辺で終わりにします。

というわけで、インデックス投資家は、パッシブ運用が増え過ぎることに対して特に心配する必要はなく、これまで通りの運用を継続していけばいいと思います。

私もそうします。

※「市場の効率性」という用語を説明せずにここまで書いて来ましたが、これも長くなりそうなので、この話はまた今度……。

『インデックス運用は大きくなりすぎたか?』全文

2021年8月に米バンガード社が日本支社を撤退させて以降、今ではこのレポートを日本語で読むことができません。当時私が保存したPDFがありますので画像で貼り付けておきます。

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