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非常にクレイジーな、投資スタイルの決め方

説教臭いタイトルにもかかわらず、本記事を開いて頂きありがとうございます。

私は約2年間、Twitterでいろんな投資家を見てきました。

Twitterで見る投資家の中には、非常に危険な考え方で自分の投資スタイル・投資先を決定している人が多いように私は感じています。

クレイジーな順序

例えば、このような思考の順序です。

  1. 目標の資産額と時期を設定する 例「20年後に1億円に到達したい!」

  2. 投資に回せる金額を推定する 例「毎月5万円」

  3. これらより、目標達成に"必要なリターン"を計算する 例「年利20%が必要!」

  4. そのリターンが達成できそうな投資先・投資スタイルを決定する 例「現金0%、個別株投資50%、3倍レバレッジETF投資50%を基本とし、市場タイミングを見計らって柔軟に売買しよう」

「何が悪い?」「これ以外にどう考えるんだ?」と思いましたか? そう思ったなら、投資ブロガーやTwitterのインフルエンサーの誰かに毒されている可能性があります。

こんなふうに考えるの、普通ではありません。極めてクレイジーです。

望ましい順序

思考の順序がまったく逆であるべきだと私は考えます。こんなふうに。

  1. 自分のリスク許容度を考える 例「資産全体が3割減っても許容できる(うろたえずに静観できる)」

  2. リスク資産部分が最大どのくらい下落しそうか考える 例「標準偏差の3倍を想定し、-50%の下落を最悪のケースと仮定しよう」

  3. これらより、資産配分を決める 例「現金40%、リスク資産60%にしよう」

  4. 投資に回せる金額を推定する 例「あと20年間、毎月5万円」

  5. どのくらい増えそうか想像する 例:「リスク資産部分の期待リターンが平均年利5%で推移すれば、20年後には1,600万円くらいになっているかな」

  6. 起こりうる悪いケースに備えておく 例:「とはいえ、リスク資産部分が20年間で確実に年利5%が達成しているのは、あくまで高い確率で起こりうるケースの一つというだけであって、リスク(標準偏差)が18%もあるし、元金割れする可能性もゼロではないな。その場合は、あきらめて働き続けるしかない」

※ この「望ましい順序」のポイントは以下のとおり。

  • リスク許容度に合った資産配分が再優先

  • リスク資産を何にするかは問題ではない。より広い市場の市場平均に連動し、低コストなものを考えれば、必然的にeMAXIS Slim全世界株式(オルカン)やVTIあたりに絞られる

  • 投資のリターンは、資産配分から結果的に算出されるもの。目標に置くべきものではない

「また小淵が退屈なことを言っている」

そんな陰口かげぐちが聞こえてきそうです。お気持ちはわかります。

しかし、この「望ましい順序」は、小淵が考えた、画期的で誰にも知られてないアイディアというわけではありません。誰もが納得できる次の2つの事実から自然と導き出されるものです。

  • 市場平均以上のリターンを求めても、ほとんどの場合結局下回ってしまう

  • リスク許容度を超えた投資スタイルは、損切りや狼狽売り、退場など破局的結末をまねく

市場平均以上のリターンは求めないのだから、リスク資産部分はインデックスファンドのみ。リスク許容度は現金とリスク資産の比率で調整する。この2点が何より最優先。私の個人的見解が割り込むすきはありません。

リターンは資産配分を維持した結果ついてくるもの。「◯年後に◯億円」とか「平均リターン◯%」といった目標を置いて、そこから逆算して投資スタイル・投資先を決めるのはおかしい。クレイジーなのです。

「じゃあ40代でFIREできないじゃないか」「夢が無いじゃないか」

そうです。お気づきになりましたか。

FIREできないとか、買いたいものが買えないといったことは、あなたの現実です。投資スタイルや投資先を見直すのではなく、自分の稼ぎの少なさをうらむべきなんです。

FIREできなきゃ、働き続けるんです。買いたいものが買えなければ、あきらめるんです。それが普通です。投資は、人生を劇的に変えるものではありません。人生を逆転させられるのは、地道な労働と細やかな家計収支管理です。

この記事を読んでがっかりしたりイライラしたりした人は、射幸心しゃこうしんが強いか、身の丈に合わない将来像を描いている可能性があります。

きっとこのnoteは伸びない

うん、たぶん伸びないでしょう。SNSは楽しい情報だけを集める場であって、ド正論なんか誰だって聞きたくない。わかります。

  • 「◯◯に投資すれば年利30%が確実!」

などというインフルエンサーのツイートを見て、あたたかい気分にひたっていたい。人とはそういうものです。

  • 「インデックス投資なんて辛気臭しんきくさい。銘柄選択をうまくやればインデックス投資の何倍も儲かる」

  • 「爆益を目指さないなんて男じゃない」

と言われたら、何か胸にみなぎるものを感じる。闘争心が湧き、自信があふれる。

しかし、試験勉強やビジネスと違って、投資は、努力を積み重ねたり目標を高く置いたりすることがいい結果にならない世界です。高望みをすることがかえって逆効果になる世界です。

それが現実です。

私がSNSを通じていちばん発信したいのがこのテーマです

別に難しい話ではないので、理解できる人がほとんどだと思います。でもTwitterでは、正論から逃げて自分を正当化するような発言が多い。

  • 投資スタイルは投資家の数だけあっていい

  • 人それぞれ生き方や考え方は違うのだから、どんな投資スタイルも認められるべきだ

  • 人の投資スタイルや投資先を批判するな

この手のつぶやきを、見ない日は無いほどです。

ある意味正しいと思いますし、ある意味正しくないと思います。

信念があって投資スタイルを選びそれを貫いている人は、お好きにすればいいと思います。私はそういった方を否定するつもりはありません。「クレイジー」という語を使ったのは、いい意味もあるからです。クレイジーさで世界を良くしてきた人は歴史的にたくさんいますから。

しかし、なんとなーく投資を始めてみたいと思って、なんとなーく手にとった本やなんとなーく目に入った大手Twitterアカウントの言うことを参考にして、いいのか悪いのかわからないけどなんとなーく今の投資スタイルをやっている、という人は、今一度立ち止まってほしいです。

やっぱり誰かが、それは危ないよ、間違ってるよ、と言ってあげないとだめだと思います。私は老婆心を発散せずにいられない、ダニング=クルーガー曲線のピークにいる人間なので、その役を買って出ています。

ここまで読んでくれた方は本当に少ないことでしょう。読んでくださった方は本当にありがとうございます。このnoteが少しでも多くの「なんとなく投資家」に届くことを願ってやみません。

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