いろんな単独ライブに行った夏
今年の夏は、いろんな芸人さんの単独ライブに行った。
これまでも地方在住のオタクにしては結構な頻度でお笑いライブに足を運んでいたけれど、何組かの芸人さんが出る寄席やコーナーライブに行くことが多かった。
しかし、今年の夏は気付いたらいろんな単独に行っていた。意図せず。
一口に『単独ライブ』と言っても、その内容は芸人さん毎に結構違う。
ネタだけなのかコーナーもあるのか、幕間の繋ぎ方等々……
普段は漫才もコントも両方やるけれど単独ライブではコントだけ…という芸人さんもいる。
お笑いにハマる前は全く知らなかったが、ネタだけでなく公演の内容、ライブタイトル、フライヤー、グッズ……
単独ライブに関わる全てから、その人たちの個性が溢れまくっている。
それが、単独ライブなのだ。
私が思う単独ライブの魅力は、大きく分けて2つある。
1つは、その芸人さんが思う「面白い」が詰まっているところ。
万人ウケとか賞レースで勝ち上がるとか、そんなことは気にせず「これが面白い!」「これを見せたい!」というものが見られるところが好きだ。
もちろん、そこで披露されたネタで賞レースを勝ち上がることも少なくないので、決勝で再びそのネタを見られた時には感慨深さもあったりする。
2つ目は、会場みんなが同じことを面白がれるところ。
来ている人たちがみんなその芸人さんのことが、その芸人さんのネタが好きで、面白いと感じることが似ているので、会場全体が同じタイミングで一緒に笑う。
こんなに楽しい空間はないと思う。
せっかくなので、それぞれの単独ライブを振り返り、感想を書き残したいと思う。
滝音全国ツアー「実印スタンプラリー」
(2023/5/21 沼津ラクーンよしもと劇場)
今までは配信でしか見たことがなかった滝音の単独ライブ。
今回は全国ツアー開催ということで、静岡公演に行ってきた。
滝音の単独ライブは、漫才とコント両方見られる。
幕間VTRもいつも凝っていて面白い。
(まだ公演が残っているので、詳細な内容には触れないでおきます。)
滝音の漫才の最大の特徴であり強みは、さすけさんが繰り出す独特なツッコミ、いわゆるベイビーワード。
今回の単独ライブでもそれを存分に味わうことができて最高だった。
個人的にはお二人が話している雰囲気が大好きなので、漫才を生で見られて嬉しい。
しかも、沼津ラクーンよしもと劇場は広すぎず、いつも一体感が感じられる劇場。
単独ライブともなれば、より一体感が増してとても楽しかった。
漫才だけでなくコントもめちゃめちゃ面白い。さすがKOCファイナリスト。
滝音のコントは設定から面白いことが多い。
そして、その種明かしをされた瞬間に面白さが爆発し、加速して止まらなくなるかんじがすごく好きだ。
常に一番情熱的に追いかけられているわけではないけれど、今後も単独ライブがあれば絶対に見たいと思うコンビの一組である。
なんばグランド花月での公演は配信があるので、気になった方はぜひチェック!
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黒帯なんばグランド花月初単独「黒帯って何がおもろいの?」
(2023/6/30 なんばグランド花月)
シンプルにめちゃめちゃ楽しかった。
吉本興業の劇場の中でも最高峰である、なんばグランド花月での初単独ライブということもあり、公演が発表された日からずっとワクワクした雰囲気が漂っていた。
当日は全国から“黒帯の女”が大阪に集結。
NGK下にあるたこ焼き屋さん「吉たこ」とのコラボ、グッズ販売、ロビーに並んだ沢山のスタンドフラワー……
なんかもう、始まる前からお祭りムード満載で終始楽しかった。
公演内容は、漫才はもちろん、普段は見られないコントや黒帯と関係が深いメンバーが出演するゲームコーナーなど“黒帯”が凝縮されたライブだった。
ずっと楽しくて、何度も手を叩いて爆笑した。
冒頭にも書いたが、単独ライブはその人のことを面白い!と思うお客さんが集まっているので、下ネタも周りを気にせず大爆笑できるのが良い。
お隣のお姉さんも、前に座っていたおじさまおばさまも、黒帯が繰り広げる下ネタや少し意地悪なネタで笑っていて、とても良い空間だった。
黒帯が登場した時に満員の客席から降り注いだ、想いの詰まった惜しみない拍手。「万雷の拍手」とは、まさにこのこと。
そんな客席を見て驚きつつ、笑顔を見せる黒帯のお二人。
全てがあまりにも幸せで、今も忘れられない。
キャパ800超の会場を満席にした黒帯は、数年前まで「仕事がない」なんて嘆いていた人たちとは思えない。
私自身、黒帯ファン歴は短いけれど、彼らのYouTubeチャンネル『黒帯会議』を見ていれば、これまでの苦労や試行錯誤の過程はある程度分かる。
NGKの舞台でキラキラ輝くお二人を見ながら、「続けること」と「変わらないこと」と「変えること」は大切だなとしみじみ思った。
面白さはもちろん、そんな感動もたっぷりで、これまで見に行った中でもかなり上位にランクインするほど思い出に残るお笑いライブだった。
ニューヨーク単独ライブ 「虫の息」
(2023/7/12 名古屋市芸術創造センター)
「やっぱりニューヨークが好き!!」の一言に尽きる。
ニューヨークの単独公演は何度か配信で見ていたが、昨年開催された単独ライブ「Last Message」を初めて現地で見て、ニューヨーク濃度の濃さに衝撃を受けた。
それは、配信の画面越しに見るのとは比べものにならないほど楽しくて、私の中の単独ライブというものに対する印象を大きく変えてくれた出来事だった。
なので、今年も単独ライブがあれば、何が何でも現地で見たいと思っており、無事にツアー初日の名古屋公演のチケットをゲットすることが出来た。
内容は例年と同様、漫才とコントをほぼ交互に。
幕間のVTRもめちゃめちゃ面白い。最後に少しだけトークもしてくれた。
(こちらもまだ配信販売期間中なので、あまり内容には触れません。)
ニューヨークは、生活の中に何となくある違和感をネタとして具現化する天才だ。
テレビやYouTubeで見るお二人の親しみやすさから勝手に身近な存在に感じてしまうけれど、いざ単独ライブを見ると天才的に面白くて、やはり私のような凡人とは全く違うすごい方々なんだと思い知らされる。
ニューヨークのネタでしか感じることの出来ない面白さとか摂取できない栄養が確実にあって、私はそれが大好きだとこの単独ライブを通して改めて認識することが出来た。
こちらの公演も配信チケットがあるので、気になった方はぜひ。
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シシガシラ単独ライブ「一張羅」
(2023/7/30 ヨシモト∞ホール)
ハゲ漫才を作らせたら、シシガシラの右に出る者はいない。
私は本気でそう思っている。
シシガシラの単独ライブを見るのは初めてだったが、幕間VTRやオープニングVTRに絡めたコントはあったものの、それ以外は全部漫才。全部ハゲネタ。
しかも、どれも違った角度のネタで、見ていて全く飽きなかったしもっと見たかった。
シシガシラのハゲネタはこれまでのハゲネタとは違う、全く新しい視点のものが多い。
“ハゲから見た世界”と“世界から見たハゲ”という表現をされているのを聞いたことがあるけれど、確かに様々な角度からハゲと向き合っているなと思わせられるネタばかりで本当にすごい。
そろそろハゲネタのレパートリーが尽きるんじゃないか……なんて勝手な心配をしてしまうのだが、毎回杞憂に終わるのであった。
本当にM-1の決勝に行ってほしい。
シシガシラが生み出す新時代のハゲネタをぶちかましてほしい。
そんな気持ちがより大きくなった単独ライブだった。
ファンからの差し入れでシャンプー(詰め替え用)が届いてたのほんと笑った。
これだけ面白い人たちともなるとファンまで面白いのかよ。
いろんな人の単独ライブへ行くと、それぞれ面白いと思うことや見せたいと思うものが全く違っていることがよく分かって、とても楽しかった。
それらをカタチにして私たちに提示し続けてくれるお笑い芸人さんにはリスペクトしかない。いつも笑いをありがとうございます。
やっぱり単独ライブは、現地で見るのが最高だ。
もしも大好きな芸人さんがいるけれど「単独ライブは配信で見ればいいや」と思っている人がいたら、ぜひ一度現地に足を運んでほしい。
きっと、その人たちのことがもっと大好きになれるはずだから。
これからも大好きな人たちが届けてくれる面白いライブを沢山見て、豊かな毎日を送ろうと思います。