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クラウドストライクとセンチネルワン:サイバーセキュリティ業界の巨人たち(後編)
サイバーセキュリティ市場を牽引する2社の投資価値を数字で比較
こんにちは、きらくです。本記事では、サイバーセキュリティ業界の主要企業であるクラウドストライクとセンチネルワンの財務比較分析を通じて、投資家に価値ある洞察を提供します。
前編では以下の内容を確認しました。
1. 事業モデルの比較
クラウドストライク:
主力製品:Falconプラットフォーム
特徴:27種類のセキュリティサービスを提供
アプローチ:統合されたプラットフォームで幅広いセキュリティニーズに対応
センチネルワン:
主力製品:Singularityプラットフォーム
特徴:複数のAIシステムを組み合わせた高度なソリューション
アプローチ:AIを中心とした自動化と高度な脅威検知に注力
両社ともにAI技術を活用していますが、クラウドストライクがより広範なサービス提供に、センチネルワンがAI特化型のソリューションに重点を置いている点が特徴的です。
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2. 最新の業績(2025年第2四半期)
クラウドストライク:
売上高:20.8億ドル(前年同期比32%増)
営業利益:2.1億ドル(初の黒字化達成)
営業利益率:10.1%
センチネルワン:
売上高:5.9億ドル(前年同期比33%増)
調整後営業利益:0.5億ドル(初の黒字化、一時的な費用を除く)
調整後営業利益率:8.5%
両社ともに力強い成長を示していますが、クラウドストライクの規模の大きさと利益率の高さが際立っています。
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3. 株価動向
クラウドストライク:
過去2年間:約4倍に上昇(100ドルから400ドル台へ)
現在:350ドル前後で推移、調整局面だが長期的な上昇トレンドを維持
センチネルワン:
過去2年間:大きな変動(10ドルから40ドル、その後20ドル台まで下落)
現在:25ドル前後で回復基調、高いボラティリティを示す
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4. 財務指標の評価
割安性
クラウドストライク:
PSR(株価売上高倍率):15倍(過去平均の20倍から低下)
PBR(株価純資産倍率):30倍(過去平均の40倍から低下)
評価:「優秀」(成長性を考慮すると割安な水準)
センチネルワン:
PSR:8倍(業界平均並み)
PBR:5倍(業界平均並み)
評価:「平凡」(絶対的な数値は低いが、過去との比較で大きな変化なし)
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効率性
クラウドストライク:
売上総利益率:75%(前年比3ポイント改善)
営業利益率:10%(前年比7ポイント改善)
評価:「優秀」(全ての利益率指標で著しい改善)
センチネルワン:
売上総利益率:70%(前年比2ポイント改善)
営業利益率:-5%(前年比10ポイント改善、赤字幅縮小)
評価:「要改善」(改善傾向にあるが依然として赤字が続く)
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5. 前編のまとめと後編の内容
両社ともに高成長を遂げているが、財務面での成熟度に差がある
クラウドストライクは規模と収益性で優位、センチネルワンは成長速度で追い上げ
後編では、以下の点についてさらに詳細な分析を行います
財務安定性:自己資本比率、固定長期適合率の比較
キャッシュ生成能力:営業CF、フリーCFの推移分析
将来の成長性:市場予測と両社の成長戦略の評価
これらの分析を通じて、両社の投資価値を多角的に評価していきます。サイバーセキュリティ市場の拡大が続く中、両社の今後の展開から目が離せません。
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最新!AIセキュリティ企業の財務力比較2024年版、2つの指標で読み解く、勝者の条件
自己資本比率と固定長期適合率という2つの重要指標を用いて、両社の財務体質を詳細に分析しました。これらの指標は企業の長期的な存続能力と成長潜在力を示す重要な尺度です。
1.財務体質の 分析結果
クラウドストライク:「優秀」と評価
センチネルワン:「平凡」と評価
2. 自己資本比率の比較
自己資本比率は企業の財務健全性を示す指標で、高いほど財務の安全性が高いとされます。
クラウドストライク
2022年1月期:28.35%
2024年1月期:34.66%
傾向:着実に上昇
評価:一般的な健全基準(30%)を上回り、財務基盤の強化を示す
センチネルワン
2022年1月期:80.83%
2024年1月期:68.67%
傾向:低下傾向
評価:依然として高い水準を維持
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3. 固定長期適合率の比較
固定長期適合率は企業の長期的な安定性を示す指標で、100%未満が望ましいとされます。
クラウドストライク
2022年1月期:47.29%
2024年1月期:47.83%
傾向:わずかに上昇するも、一貫して50%未満
評価:財務的に非常に安定した状態
センチネルワン
2022年1月期:12.74%
2024年1月期:59.06%
傾向:大幅な上昇(主に固定資産の増加による)
評価:100%未満で長期的な安定性は保持
4. 総合評価
クラウドストライク:「優秀」
自己資本比率の着実な上昇
固定長期適合率が50%未満を維持
より成熟した段階にあり、安定した財務構造を示す
センチネルワン:「平凡」
高い自己資本比率を維持するも低下傾向
固定長期適合率の急上昇
急成長段階にあり、財務構造の変化が大きい
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5. 注目ポイント
自己資本比率の推移:
両社とも健全な水準を維持
クラウドストライクは上昇傾向、センチネルワンは低下傾向
固定長期適合率の変化:
両社とも100%未満で良好な状態
クラウドストライクがより低い水準を維持し、強固な財務基盤を示す
センチネルワンの急上昇傾向は注視が必要
成長段階の違い:
クラウドストライク:より成熟した段階、安定した財務構造
センチネルワン:急成長段階、財務構造の変化が大きい
まとめ
クラウドストライクは着実な財務基盤の強化を示しており、特に固定長期適合率の低さは堅固な財務状況を表しています。一方、センチネルワンは高い自己資本比率を維持しつつも、その低下傾向と固定長期適合率の急上昇は今後の動向に注意が必要です。
両社の財務安定性の違いは、それぞれの成長段階の違いを反映していると言えるでしょう。クラウドストライクは安定性と成長のバランスが取れており、より堅固な財務基盤を示しています。
センチネルワンは高い成長率を維持しているものの、財務構造の変化が大きいため、今後の動向に注目する必要があります。
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AIセキュリティ企業のキャッシュ力、2つの指標で完全理解する成長力の秘密
クラウドストライクとセンチネルワンのキャッシュ生成能力を分析した結果、クラウドストライクは「優秀」、センチネルワンは「要改善」と評価されます。
クラウドストライク:「優秀」
持続的な営業キャッシュフロー(CF)の増加:
クラウドストライクの営業CFは、2022年1月期の574.78百万ドルから2024年1月期には1,166.20百万ドルへと、2年間で約2倍に成長しています。この持続的な増加は、同社のサブスクリプションベースのビジネスモデルの強さを示しています。フリーキャッシュフロー(FCF)の急激な成長:
FCFは2022年1月期の10.27百万ドルから2024年1月期には825.56百万ドルへと劇的に増加しています。FCFマージン(FCF/売上高)も2022年1月期の0.71%から2024年1月期には27.02%まで上昇しており、クラウドストライクの事業が成熟し、高い投資効率を達成していることを示しています。高い営業CFマージン:
営業CFマージンは2022年1月期の39.60%から2024年1月期には38.17%と、高水準を維持しています。これは、クラウドストライクの製品やサービスが高い付加価値を持ち、効率的な運転資本管理が行われていることを示唆しています。
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センチネルワン:「要改善」
営業CFの改善傾向:
センチネルワンの営業CFは依然としてマイナスですが、2022年1月期の-95.59百万ドルから2024年1月期には-68.37百万ドルまで改善しています。営業CFマージンも2022年1月期の-46.67%から2024年1月期には-11.00%まで改善しており、事業モデルが徐々に軌道に乗り始めていることを示唆しています。FCFの大幅な変動:
FCFは2023年1月期に-1,505.95百万ドルまで悪化しましたが、2024年1月期には72.22百万ドルのプラスに転じています。この大きな変動は、2023年1月期の大規模な投資活動(-1,312.67百万ドル)が主な要因と考えられます。FCFがプラスに転じたことは良い兆候ですが、この改善の持続可能性については注意深く見守る必要があります。収益構造の改善:
営業CFマージンの改善は、センチネルワンの収益構造が徐々に改善されていることを示唆しています。しかし、依然としてマイナスであることは、スケールメリットの実現や運転資本の管理にまだ課題があることを示しています。
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総合評価:
クラウドストライクは安定した高成長と効率的なキャッシュ生成能力を示しており、「優秀」と評価されます。高いCFマージンとFCFの急成長は、同社の競争優位性と将来の成長投資や株主還元の可能性を示唆しています。
一方、センチネルワンは改善の兆しを見せているものの、依然として課題が多く「要改善」と評価されます。営業CFのマイナスとFCFの大幅な変動は、事業モデルがまだ完全には確立されていないことを示しています。2023年1月期の大規模投資が将来的にどのようなリターンをもたらすかが、今後の成長と収益性を左右する重要な要因となるでしょう。
両社の違いは、事業モデルの成熟度や市場での地位の違いを反映していると考えられます。クラウドストライクが成熟段階に入り、安定したキャッシュ生成を実現しているのに対し、センチネルワンはまだ成長段階にあり、収益性の向上とキャッシュ生成能力の安定化が今後の課題となります。
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2025-2027年版:AIが予測するサイバーセキュリティ2強の3年後、500円で手に入る「10兆円市場」の勝者予想
サイバーセキュリティ業界の2大巨頭、クラウドストライクとセンチネルワンの詳細な財務分析と今後3年間の業績予測を公開しています。
本レポートでは、最新のAI技術であるClaude 3.5 Sonnetを活用した高度な予測モデルと、アナリスト予想を組み合わせ、両社の成長戦略を徹底的に分析しました。
Claude 3.5 Sonnetについて
Claude 3.5 Sonnetは、Anthropic社が開発した最新のAIモデルです。以下の特徴により、本分析に大きく貢献しています:
膨大な量の最新データを学習し、業界トレンドを的確に把握
複雑な財務データを高速で処理し、精度の高い予測を実現
多角的な視点から分析を行い、人間が見落としがちな洞察を提供
Claude 3.5 Sonnetの高度な分析能力と、人間ならではの洞察を組み合わせることで、より信頼性の高い予測と分析を目指しています。
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有料会員の皆様には、以下の独占コンテンツをご提供します:
Claude 3.5 Sonnetが分析した両社の詳細な財務指標の比較
AI予測モデルによる2025年度から2027年度までの売上高、利益率の具体的な数値予測
市場シェア、収益性、成長持続性、投資リスクの多角的分析
クラウドセキュリティ、AI、機械学習など新技術が与える影響の考察
両社の主要製品・サービスの詳細比較と競争力分析
顧客基盤と地理的展開の違いが今後の成長に与える影響分析
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予測モデルについて
この予測モデルは、過去3年間の財務諸表、アナリストの業績予想、業界トレンド、両社の戦略的施策を総合的に分析し、Claude 3.5 Sonnetの高度な機械学習アルゴリズムを用いて作成しています。
さらに、人間がAIの分析結果を検証し、人間ならではの洞察を加えることで、より信頼性の高い予測を実現しています。
サイバーセキュリティ市場の急成長を背景に、両社がどのように競争し、成長していくのかを、AIと人間の洞察を融合させて詳細に解説しています。
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市場動向と予測の前提
サイバーセキュリティ市場の成長:
IDCの予測によると、世界のサイバーセキュリティ市場は2022年から2027年にかけて年平均成長率(CAGR)11.7%で成長すると見込まれています。クラウド採用の加速:
パンデミック後のデジタル化加速により、クラウドセキュリティの需要が高まっています。AI/MLの進化:
両社ともAIを活用したセキュリティソリューションを提供しており、この分野での競争力が重要です。製品ポートフォリオの拡大:
クラウドセキュリティやAI/ML技術を活用した新製品の開発が売上に貢献し始めると予想されます。大企業顧客の獲得ペース:
CrowdStrikeは既に多くの大企業顧客を抱えていますが、SentinelOneは大企業市場での浸透をこれから本格化させる段階です。競合状況:
Microsoft、Palo Alto Networks、Ciscoなど大手企業との競争が激化しており、価格圧力が予想されます。経済的不確実性:
インフレや金利上昇などの経済的要因が企業のIT支出に影響を与える可能性がありますが、サイバーセキュリティの重要性から影響は限定的と予想されます。
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