映像の世紀バタフライエフェクト「ふたつの敗戦国 日本 660万人の孤独」(ドキュメンタリー NHK)
11/18(月) 午後10:00-午後10:45
公式サイト
敗戦後、海外にいた660万の日本人は、一斉に日本への帰還を目指した。彼らはその時どこにいたかで命運が分かれた。満州にいた人々は、侵攻してきたソ連軍の暴力に無防備でさらされた。その後も中国に取り残された人々は、国交がないため、長い間帰還への道が閉ざされた。日本に帰還できても故郷に居場所がなく、辺境の地での開拓に乗り出す人々もいた。「ふたつの敗戦国」後編は、流転の運命を背負った日本人の記録である。
(以上公式サイトより)
ポケモンGOはやった事ないが、その生みの親・野村達雄氏が中国残留孤児のお孫さんだったとは。
初っ端からビックリ。
明るい始まりにも関わらず、今回の番組は戦争による理不尽というか、戦争に起因する厄災全ての苦い事実をさらけ出す、胸の苦しくなる内容だった。
国策によって満州にわたり、関東軍に守られることなく見捨てられ、ロシアに蹂躙され、シベリア抑留され。命からがら引き揚げてきても、家も土地もなく、定住できずブラジルへ移住したものもいる。
これまで本やドラマなどで語られてきた、敗戦国としての悲痛な様がドキュメンタリー映像でまとまって綴られていると、より一層現実感が増す。
戦争を起こすのは国家だが、その影響を受けるのは国民であり、そのなかでも女子供老人という最も弱い者の生命を奪う。
そんな解りきった事実を歴史から知っているはずなのに、何故人は戦争をやめないのか。
今回最も憤りを感じたのは、引き揚げ者達が耕してきた土地を空港や原発用地として取り上げる、国の汚いやり方だ。
筑波研究学園都市(茨城)、六ヶ所村石油備蓄基地(青森)、福島第一原発、東通原発(青森)、成田空港(千葉)など、セコいにも程がある。
これはもう、甘く誘って見捨てた満蒙開拓団と同じ扱いではないか。
番組の終盤、満蒙開拓団から引き揚げ、九州からブラジルへ再度渡った、10年後の久保田さん一家が映る。
アマゾンの密林を切り拓き、胡椒畑で財を成し、暖かい土地で孫たちに囲まれて幸せそうに笑うおばあちゃんの様子にはホッとした。
シベリア抑留から生還した56歳の大黒柱のバイタリティは、10年後に息子さんが引き継いでいた。
しかし、これはほんの一握りの成功例である。
戦争は悲劇しか生まない事を、私たちは忘れてはいけないのだ。