NHKスペシャル 海獣のいる海〜あるトド撃ちの生涯〜(ドキュメンタリー NHK)
12/8(日) 午後9:00-午後9:49
公式サイト
北の海に生息する大型の肉食獣・トド。国によっては絶滅危惧種に指定されているが、北海道周辺では、深刻な漁業被害を理由に特別に“駆除”が認められてきた。人間が生きるために、トドの命を奪う―。その業(ごう)に向き合い続けてきた老漁師がいる。トドが来遊する礼文島で“伝説のトド撃ち”と呼ばれる俵静夫、88歳だ。あらゆる命に対して真摯に向き合う俵の姿を静謐で美しい映像に記録。現代人が失ったものを照射する。
(以上公式サイトより)
以前「Dearにっぼん 海獣のいる海 北海道・礼文等(6/23)」で視聴した際、ものすごく心に迫るものがあったので録画を保存しておいた。
https://note.com/oborogo4141/n/ndb09c4ad6b6e?sub_rt=share_b
久しぶりにそれを見ようかと思ったら、NHKスペシャルで取り上げられており、迷わず録画。
途中まで内容はほぼ同じながら今回は幼馴染や友人、医師らのコメントも補足されていた。
しかし、嫌な予感は的中してしまった。
俵静夫さんは職人のような海の男である。
調査のためのトド撃ちとして、弾丸は3発のみ持参。苦しませないように脳天一発で仕留め、腹に胎児がいた場合は剝製にして供養する。
12歳から学校にも行かず漁師として生きてきた。
80年以上海と共にあった俵さんが肺癌の手術を固辞し、最期まで海の男として生涯を全うされた事に再度深く胸を打たれた。
番組中、「俵さん宅にトド撃ちについての苦情電話が来る」という仲間漁師の言及があった。
「殺したくて殺しているわけじゃない、生活や商売の為だ。そういうあなた方は自分たちの生活を守ってくれるのか」と反論されたそうだが、至極真っ当である。
各地で熊の被害があり、命懸けで駆除している猟師に対しても同様なクレームがあるというが、そういう馬鹿どもは自分達だけで生活できていると思っているのだろうか?
海にしろ山にしろ、自然と共存するためにはそれなりの厳しさや非情さと隣り合わせなのだ。正論を振りかざす無知の恐ろしさを、心底撲滅してやりたい。
俵さんが深く大きく海を愛して生きてきた事を、この番組は冷静に見せてくれた。
トドを撃つときの厳しい顔と、ウニを獲るときの優しい顔。どちらも俵静夫さんなのである。
御本人に会う事はもうできないが、これからも海獣と共に生き続ける人がいる事を知ることができて本当に良かったと思っている。
このNHKスペシャルも保存版として残して、この先何回も見るつもりである。