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時をかけるテレビ 池上彰×さだまさし “天国への引っ越し”手伝います (ドキュメンタリー NHK)

9/20(金) 午後10:45-午後11:30
公式サイト

孤独死・孤立死した人の部屋に残る遺品の数々、使い込んだ茶わん、家族写真、疎遠になっていた娘に出せなかった手紙…。これは遺品整理会社に密着したドキュメンタリー。遺品の引き取りを拒否する遺族も少なくない中、スタッフたちは処分の前に供養をしたり、思い出が詰まった品々について遺族に手紙を書いたりなど、1つ1つ丁寧に取り扱っていく。ゲストは、この番組をみて小説を執筆したという、さだまさしさん。

★ドキュメントにっぽんの現場「“天国への引っ越し”手伝います 東京大田 遺品整理会社」 (初回放送2007年11月22日)より
(以上公式サイトより)

17年前のこの番組が全く古く感じられなかった。
むしろ今の時代そのままで、ということは番組放映当時から世相は変わっていない、ということなのだろうか?
番組内で取り上げられた当時は日本初だった遺品整理会社。17年の時を経た今、全国へ支店を広げた。類似の業者も増えている。
日本における家族形態の変化が孤立死を増やし、孤立死の前に生前見積を依頼する人も増えているようだ。

この番組のなかの珠玉のエピソードは、整理を担当した社員が遺品を遺族へ送り届けるものだった。
家族を捨てて逃げた男の遺品の中には、幼い頃に娘が描いた絵画や家族写真があった。それらのものを遺品引き取りを拒否する娘に、手書きの手紙とともに送る。
断絶していた娘と父の間の止まった時間は、それらの遺品によってまた流れ始め、それまで無関心だった父の供養を行うと娘からの返信が届くのだ。
そういう事にやりがいを見出しながら、親身になって仕事を続けていく様子に涙腺が緩みまくった。
遺族ではなく、亡くなった故人の気持ちになって天国への引越しを行う。何という尊いお仕事だろうと、本まで執筆されたさだまさし氏同様の気持ち。

人は死ぬのも生きるのも1回ずつ。
善人ばかりいる天国よりも、地獄の方が面白い。
たとえ明日死ぬとしても、今日りんごの苗を植える。
死をめぐる様々な名言を知る事もできた。

最後にさださんが語った事が特に心に響いた。
「昔あったものは 全ていらないものじゃないはずなんだけども、全部いらないものというツケガが来てるのかなということも感じます」
これは過干渉になりがちな地方を逃れて、人と話さなくても生活できる"都会の暮らし"を選ぶ昨今について。
何でも今風、新しいものが良い、コンプライアンスとかやたらカタカナを使う昨今の風潮にも当てはまるだろう。
「温故知新」こそ持続可能な社会を作る王道ではないだろうか。

とにかく、今回もとても良い番組だった。
流石NHK、良いお仕事でした。


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