御法度落語 おなじはなし寄席 #3 (BS朝日)
3回目にして男女対決!と言っていいのかな?
所作が美しく花魁口調も色っぽくキメる古今亭菊之丞師匠 vs 勢いのある関西弁で勇ましい桂あやめ師匠。
なんだか複雑な組み合わせの「酢豆腐」vs 「ちりとてちん」は、これまでにない比較ができて面白かった。
女流落語家の存在を世に広く知らしめたNHK朝ドラのタイトルにもなった「ちりとてちん」。
落語の内容を簡単にまとめると「腐った豆腐を嫌いなヤツに食べさせる」という、なんとなくイジメみたいな、後味があまりよろしくないお話である。
お腹を壊しそうだし、ヘタして食中毒で命落としたらどうすんねん!と思うので、私はこのネタはあまり好きではない。
しかし、無茶苦茶なモノをどうやって相手に食べさせるのか。
相手の性格を考慮しての心理戦のようなやりとりと、不味いものを口にした時の強烈な描写は、この話の見どころである。そこは素直に面白い!
菊之丞師匠の「こんつぁ〜」は、皆の嫌われ者ながら憎みきれない愛嬌も感じさせる。
どうでもいい自慢話の中にも笑いを誘う言い回しが愉快で、師匠の流れるような語り口の成せる技であろう。
あやめ師匠のアレンジ = 女性にヤバいものを食べさせる展開は、彼女ならではの工夫が活きている。
そして最後のドンデン返し、これは気持ちいい!
トークコーナーでふれていた、あんな風に話を変えてもいいのか?という点。
さすが上方、懐が深い。
笑えるなら何でもアリの精神、これが上方なのだろう。
そういう点でいえば、初回に登場した笑福亭たまさんの師匠・笑福亭福笑師匠の落語にはそういうネタが揃っている。
(特に「千早ふる」、これは出だしから爆笑必至の絶品でイチオシ)
来週は桃月庵白酒師匠 vs 桂南天師匠の「だくだく対決」。期待しています!