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ETV特集 戦艦大和 封印された写真 (ドキュメンタリー NHK)

8/3(土) 午後11:00-午後11:59

公式サイト

世界最大・最強と呼ばれた戦艦大和。「門外不出」とされた1枚の写真があった。艦内で若い水兵が13人、笑顔を浮かべる者もいる。彼らは誰か?何のために撮影されたのか?99歳の元乗組員が明かす大和の生活、浮かび上がる13人の素顔、もう1人の特別な水兵の存在・・・沖縄へ、大和は海上特攻に出撃する。そして、写真は封印された。新たなカラー映像も発見された巨大戦艦・大和。写真の謎から、大和の真の姿と運命に迫る。
(以上 公式サイトより)

戦艦大和の名前は、たいていの大人なら知っているかと思う。その悲劇的な最期についても、これまで様々なところで取り上げられてきた。
しかしこの番組は、戦艦大和の中で撮影された貴重な一枚の写真について考察する事を振り出しにして、反戦への思いを改めて心に植え付ける。
非常に秀逸なドキュメンタリーだった。

携帯電話からスマホの普及で、写真は時と場所を選ばず気軽に撮れるものになった。データとして保存可能になったせいか、わざわざプリントアウトする事も減ったと思う。
しかしかつては写真館が存在し、お祝いの記念写真や晴れの家族写真を撮影して、豪華な印画紙に現像するのは一大イベントのようだった。

この番組で取り上げられた一枚の集合写真は、むしろ現代の感覚に近い"気軽なスナップ"として撮られた。にも関わらず封印されてきたのは、そこに映る13人の運命のせいである。

ただ1人生き残った水兵と、大和と共に沈んでいった仲間たち。
戦後はカメラマンを夢見ていたかもしれない塩谷恭三氏が、最後に撮った大和乗組員の写真には諦観と覚悟が映っているように思えた。
「大和ホテル」とまで言われた立派な軍艦が、最後は特攻として大きな墓標となるなんて。しかもそのような思想を他人事のように語って長生きした扇一登という人物には、憤りしかない。彼以外にも若者を消耗品のように使い、長生きした戦争関係者が多く存在するなんて理不尽でしかない。

戦争は狂人が賢人を殺す悪魔の所業だ。
原爆忌・敗戦記念日が続く8月、改めて生命や戦争について考えなければならない。

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