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「上意討ち」 (BS-TBS)
BS-TBSの開局20周年を記念して制作された、スペシャルな時代劇。永山絢斗と尾上松也、若手2人の魅力を存分に活かした若々しく華やかな仕上がりだった。
何年か前から連続もののテレビ時代劇の制作が減り、というか民放ではスペシャル版くらいしか見られなくなった気がする。NHKやBSでは辛うじて時々見られるが、かつて仕事人や水戸黄門のようなお約束マンネリものは姿を消してしまった。
代わりに増えたのがいわゆるバラエティ番組で、どの局でも同じような芸人が、同じような安い笑いを提供している。
おそらく時代劇はお金がかかるのだろう。衣装、かつら、そしてチャンバラシーンでの殺陣の演出など、一朝一夕では身につかないような手間のかかる仕事なのだ。しかしそれを受け継がなければ、時代劇は絶滅してしまうかもしれない。
そんな危惧をもちながら、今回のようなちゃんとした時代劇を見ると、やはり素晴らしいと思う。20周年記念で予算に余裕もあったのかもしれないが、セットも風景も見応えはあったと思う。
永山絢斗は実直な青年ぶりがよく出ていたし、視聴者が同化して応援したくなるキャラクターを好演していた。対して尾上松也は歌舞伎役者らしく、和装も剣を振る姿も堂に入っていた。魅せ場は松也の方が多かったかと思うが、それは仕方ないか。
ストーリーは現代に置き換えても成立するような、普遍的なものだった。しかし時代劇ならではの見せ方だからこそ、より悲劇性が増すというか特別感があるのだ。
これまで積み重ねてきた時代劇の伝統は、絶やしてはいけないと改めて思った。大正ブームや和風ブームに乗れる若者も多い今、時代劇にもブームが来て復活してほしいと切に祈っている。