「“ひかりごけ”の衝撃~現代の私たちの物語~」 (ダークサイドミステリー)
武田泰淳氏の「ひかりごけ」。読んだことはないが、人肉食を書いた話だということは知っていた。
その物語のモデルとなった実話や、海外で起きた同様の事件を絡めて、人肉を食べる罪についてレポートした番組。
生きるために他人を殺すこと。そらに、生きるためにその肉を食すこと。遭難した船での出来事ならば「なんと恐ろしいことだ」と身震いし、罪として裁かれる。しかし戦場下では、そんなことは茶飯事となる。
平常時、理性のもとでは異常な事が、戦場では平然と行われるのだ。人間は極限状態では本能として生きることを最優先させるから、理性もなくなる。理性のない、なんでもありな状態では全てのタブーが失われるのだ。
武田泰淳氏は、人肉食のタブーではなく、反戦表明として「ひかりごけ」を著したという解釈に納得した。