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時をかけるテレビ〜ピース5歳・日本初 ホッキョクグマ哺育物語〜 (ドキュメンタリー NHK)

9/27(金) 午後10:30-午後11:30

池上彰がNHKの過去の番組から時代を超えたメッセージを読み解く。日本で初めて人工哺育に成功したしろくまピースとその親代わりになった飼育員の愛情あふれる日々の記録

ピースは1999年生まれ。一体どう育てたらいいのか?親代わりの飼育員・高市さんの24時間休みのない愛情「子育て」が始まった。夜は自宅に連れ帰り、一緒に布団に入ってミルクをあげ、便のチェックを欠かさない。真冬でも窓を開けて眠り、夏の暑さをしのぐため水泳も体当たりで教えてきた。ピースの成長と幸せを考え続け、心を通わせてきた5年の日々の記録。24歳をむかえたピースの最新映像も紹介。※アンコール放送
「にんげんドキュメント ピース5歳~日本初 ホッキョクグマ哺育物語~」(初回放送2005年1月28日)より
(以上 公式サイトより)


とりたてて動物好きでもない私だが、この番組を見て5箇所ほど涙してしまった。

とにかくホッキョクグマのピースがメチャクチャ可愛い!白い犬を散歩させてるのかと思うくらい、ぬいぐるみみたいな彼女。
しかし可愛いだけじゃ務まらないのが子育て。双子で生まれたが、片方は母グマに傷つけられて数時間後に死亡。動物園での出産は母グマの不安が大きいとの事だが、にしても可哀想に。
ピースは出産直後母グマに頭をくわえられており、そのまま噛まれたら死ぬよね?な状態。頼む、早く下ろしてやってくれ〜と祈るように見てしまった。
結局、母グマはその場にピースを残してオリから退出。のっけから子育てに関心を示さない母グマがいる事に驚きつつ、その日から飼育係の高市敦広さんが付きっきりでピース育てることになる。

「ホッキョクグマの母親だったら一番何をしてやるだろうと言うことを考えながら。それぞれの親にとってやっぱり子どもっていうのは宝物ですからね。子どものためだったら何でもしてやろうと思うのが親だと思うんですよ。その感覚と同じなんですね」
人間の子どもでも大変なのに、前例のない動物をそんな風に思いながら育てる、凄い覚悟だと思う。
"その日一日にできる事だけを考えて飼育すること"がモットー。大きくなった頃を想像するとダメになりそうなくらい、先の事は考えられなかったから、と高市さんは語るが、これは今の私にも響く言葉だった。

「飼育係は、動物を守る最後の砦」が信念の高市さん。担当するアシカの餌=アジの品質が落ちていた際はアシカの身になって意見する。
品質の落ちたアジを食べさせるなんて、食べる事を楽しみにしている動物たちにとってそれは可哀想だから新鮮なものに変えてくれ、と。
こんな飼育員さんに世話をしてもらえる動物たちは、本当に幸せだろう。

104日間自宅で世話をした後、高市さんはピースを動物園に残して帰宅する。
残されたピースは一晩中泣き続けて声を枯らしたそうで、ここは私も泣いてしまった。
高市さんにとっても親離れ子離れに近いものがあったと思うが。
番組の終盤、この頃をふりかえる高市さんの言葉がまた泣かせるの。
「ビースと104日間自宅にいたんですけどね。私とピースふたりきりで。その記憶だけは私の頭の中にあるでしょう。消えない宝物」
これはそのまま、私と赤ちゃんだった頃の息子にも当てはまる。記憶がフィードバックして、重なって泣きまくり。

さはさておき、現在24歳になったピースと今も寄り添う高市さん。
「今、目の前にピースがいる事が当たり前とは思っていない。明日も明後日もと考えると気も抜けない」と語る。
「あと何年一緒にいられるのかなーって。俺にやれることはもう無い、っていうくらいのお世話をして終わりたいなって思います」
あー、これは親の介護にかさなって、また号泣。


余談たが、番組の最後MCの池上彰氏が「人間も動物も、目を見て信頼関係を構築することが大切」とまとめていた。
それはもうその通り、当たり前だと私も思うが、池上さんは「最近の親はスマホに子育てを任せて、わが子の目さえ見ていない」とも言及していた。あんなんじゃ難ありな子どもが増える一方だと、私も同感である。

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