思い出が帰るとき 〜石巻 タイムトラベル写真展〜(Dearにっぽん NHK)
初回放送日:2024年11月3日
宮城県石巻市でこの夏開かれた、一風変わった写真展。展示されたのは、15年以上前に子どもたちが撮ったもの。過去へのタイムトラベル。人々の心に浮かんだものとは。 自分が気になった被写体に「グッと寄ってパチッと写す」。1996年から14年間、子どもたち向けの写真教室を開いてきた石巻出身の写真家・橋本照嵩さん(84)。この夏、ずっと保存してきた1100枚余を展示し、撮影した本人に返すことにした。写るのは東日本大震災前の町並みや人…。忘れかけていた記憶、薄れつつあった思い出と向き合った時、人々の心にはどんな思いが去来したのか。写真をめぐるタイムトラベルの物語。
(以上公式サイトより)
写真って、やっぱり良いものだと改めて思った。
今はスマホで、いつでも何処でも手軽に撮影はできるし、撮ったものも画面で直ぐに見られる。
たいていそのまま写真はデータとして保存され、私などはスマホのデータ容量がパンパンになっているのだが…。
本当に良い写真や好きな写真は、なるべく早く印刷して残しておかなくては。
今回のテーマは、震災前の風景や人が写っている写真の展示会。30年近く前から開催されていた写真教室の写真がズラリと並ぶ様は、手作り感と思い出がひしめき合って優しい雰囲気。
当時の子ども達が写ルンですを手に、思い思いの写真を撮る。海、砂浜、親戚やお友達など、特別なドラマ感のない日常の風景を見ていると、そういうシーンにこそ幸せがあるような気がする。
石巻なので、おそらく震災に関わる写真も存在するだろうと思っていたが、やはりいらっしゃった。
震災で亡くなった娘さんが撮った海の写真を、展示会で見つけたお母さん。さらに、亡くなる2年前の娘さんをお友達が撮影した写真も受け取る。
笑顔で嬉しいですと話すお母さんを見て、何ともいえない気持ちになった。娘さんの思い出と再会する嬉しさと同時に、寂しい喪失感を改めて感じるのではないかと。私ならその場で泣き崩れるだろう。
写真教室を主催し、展示会を企画した石巻出身の写真家・橋本照嵩さんの言葉で番組は締めくくられる。
「記憶っていうのも、すごい世界だなって思いましたね。つまり、だからよみがえったりするんでしょ。記憶っていうのは、自分でやっぱり生きることのいろんな意味での力になるんじゃないのかな。幸せへの力になれば良い」
実は私も先日久しぶりに実家へ帰省し、昔の写真を見て思い出し泣きをしてきた。
若い父と母の結婚式の写真、それを祝福する親戚一同の集合写真。
父をはじめ、既に鬼籍に入った人たちの在りし日の姿を見ていると、今はいなくても確かにその時その笑顔でそこに生きていたのだなと実感できた。
その人たちの縁でこの世に生まれてきた私は、幸せに生きる事で彼らに恩返しができると思うのだ。