時代に翻弄された歌 「イムジン河」 (アナザーストーリーズ)
望郷の念を思い起こさせるメロディーが印象的な曲「イムジン河」に、発売禁止の措置がなされた背景。その曲にまつわる逸話も、曲以上に泣かせるものがあった。
♬オラは死んじまっただぁ〜(帰って来たヨッパライ) で有名なグループに、こんなエピソードがあったことに驚いた。人生悲喜こもごもというが、まさにそれだ。
まずこの曲が、世に出たきっかけも凄い。いがみ合う地元の中学校と朝鮮中級学校が、交流を深めるためにサッカーの試合を計画する。その話をしに行った先で耳にしたのが「イムジン河」。良い歌だと思うだけなら誰でもできるが、そこから日本語詞をつけ、バンドで演奏したからこそ、今まで歌われる名曲となったのだ。
そうなる前の様々な経緯にも、思うところはいろいろある。しかし良いと思ったその歌が、民族も時間も超えて人々の心をうち、歌い継がれ、広く知られるには、その歌が持つ奇跡的な力と、それに魅せられた人々の情熱が不可欠なのだ。
古今東西、この世界にはまだまだ素晴らしいものがあるに違いない。