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【特集ドラマ】昔はおれと同い年だった田中さんとの友情 (NHK)


8/15(木) 午後10:00-午後11:15
公式サイト

椰月美智子作の児童文学「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」のドラマ化。小学校6年生のスケボー好きの男の子、拓人が神社の管理人をしているおじいさん、田中さんと出会う。田中さんは70年、神社の敷地内で一人ぼっちで暮らしてきた。拓人は田中さんと交流を深めていく中で、田中さんの戦時中の体験を聞く。拓人は田中さんのことをみんなに知ってもらいたいと思い、田中さんの講演会を開くことを提案する。
(以上 公式サイトより)

かつて終戦の日前後には、アニメ映画「火垂るの墓」が日テレで放映されていた。
何故だろう?いつの頃からかそれが無くなり、代わりのようにNHKが特集ドラマを制作放映するようになった気がする。
岸恵子や三浦春馬など、毎年有名なキャストと凄惨な戦場の描写が印象的で、NHKの本気を感じる秀逸なドラマである。

今年は戦場の描写はなかったが、その分現在の若者と老人の交流に重きを置いた分、より身近に「戦争への問題意識」を感じさせる秀作だったと思う。

岸部一徳演じる、神社の管理人田中さんの抑えた描写がとても効いていた。
臆する事なく核心をつく小学生の質問に対して、70年間心に閉じ込めてきた哀しみをやっと言葉にできた講演会のシーン。ドラマだと解っていても真実味があり、胸を打つ。

町内会のお祭りの場面も、優しいチョコバナナのシーンと実際にあり得そうな下世話シーンの対比が、ドラマに深みを与えていた。

子役たちの演技も素晴らしかったが、このドラマの成功は岸部一徳の名演が全てだったと思う。
大声で叫ぶ事もなく、怒りや呪いの言葉を口にしなくても、軍国少年だった自分を悔いながら独りきりで暮らしてきた田中さん。
ドクターXの神原晶役と同一とは思えない、声も良くて凄い役者だと改めて思った。

話が逸れたが、戦争の実体験を持つ方々も高齢化し、語り部活動もこの先益々難しくなる事が予想される。
だからこそ、私のように"戦争を知らない子どもたち"世代が、襷を受けて次世代に伝え続けなくてはならないと、深く考えさせられたドラマだった。

自分を知り、相手を知る。
死傷者の数は、ただの数字ではない。
この先の未来を守るために、意識して行動しなくてはならないのだ。

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