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わたしが推したい一曲 第2回timelesz「Rock this Party」~時間と色彩と物語~

人生は変えられるのか?

 2025年2月15日の午前10時。
 ネットフリックスで配信されていた「timelesz project AUDITION」の最終回が更新されました。
 この回の終盤でtimeleszの菊池風磨さんは、こんな言葉を残しています。

このメンバーと人生が変わった今日
応援してくれてる人たちの人生を変えます。

timelesz project AUDITION epsode16「最終審査&新メンバー決定!」より引用

 「応援してくれてる人たちの人生を変える」とはどういうことでしょうか?
 それはいきなり、生活がガラッと変わるような変化ではなく、日常の中にtimeleszの曲や彼らの姿があることで、ちょっとだけ前向きになれるような変化なのかも知れません。
 いやいや、「既に人生変えてもらってるよ」という方もいらっしゃいますよね。僕も何気なく観た「タイプロ」から、一気にtimeleszにハマりましてね。SKE48のファンの僕は、男性アイドルにハマることはなかったのですが、「タイプロ」を通して本気でぶつかり合う熱さに夢中になりました。そこから、timeleszのライブBlu-rayを買い、出演したラジオ番組ではtimeleszの「Anthem」をリクエストするぐらいになりました。
 はい、確実に人生が変わりました。
 これまで、残業だの休日出勤だので、夜も遅くに帰り道を走っている時に、今までだとSKE48の曲でしたが、最近は、「ぎゅっと」や「becaus」や「RUN」の歌詞に励まされています。
 そして、佐藤勝利さんや松島聰さん、菊池風磨さんのオーディション中のプロ意識の高さに「いきなり、ここまではいけないけれど、真似出来るところは真似してみよう」と背筋が伸びました。忙しさの中で油断して、日々の自分の生活が雑になりそうですが、ちょっとだけ背筋を伸ばすような時間が増えました。「眠いけど、あと1時間だけ粘って書こう」とか「しんどいけど、この資料を読まずに書いたら、絶対に心の中のNOSUKE先生に怒られる!」とかいいながら。深夜にパソコンに向かっている僕の姿なんて誰も観てません。言い換えるならば、自分に対して、ちょっとだけカッコつけてるんだと思います。
 人生ってガラッと変わることもあれば、長い時間を通してゆっくり変わることもあるんですね。

時間と色彩

 
 「タイプロ」を観た48ファンの僕が新鮮に感じたのは、「仲間探し」というコンセプトで、菊池さん、佐藤さん、松島さん主導でメンバーを決めて行ったところです。ファンの投票とかSNSの空気が一切入りこまないところが、とても良くて、「メンバーが選んだ選択ならば信じよう」というファンの方々との信頼関係があるからこそ、できるんだろうな、と観ながら思っていました。
 そして、番組内ではteam BLUEとteam REDで分かれて披露されていたこの曲ですが、2月28日から配信開始されたバージョンでは、もともといらっしゃったお三方に、選ばれた5人を加えたバージョンになっています。
 以前、「because」について書いた時に、3人体制での楽曲を星座にたとえたことがありました。それは3つの星だけで十分、一つの形を構成していたと思います。これで既に完成形では?と思えるぐらいに。
 しかし、今回の「Rock this Party」は、「タイプロ」での披露を既に観ていたこともあり、星座というよりは、何色の絵の具で「Rock this Party」という絵を描いていくのかというイメージを抱きました。これまでは3色のとても鮮やかな色を使っていたのに対して、パレットから新しい色が5色増えて、その世界をより鮮やかにしていくのではと僕は思います。
 もちろん、うっかり混ぜる色を間違えると、もとあった色が台無しになることもあります。だからこそ、ゆっくり丁寧に、様々な楽曲と組み合わせながら、自分たちに合う新しい色を探していったのだと思います。
 しかし、彼らが選んだ配色を信じて早速、「Rock this Party」を聴いてみると、めちゃくちゃいい!
 
 さあ、この時間を盛り上げようという気持ちが伝わってくる歌詞には元気をもらえます。そして、時間を意識して聴いてみると、忘れたふりした夢のことが1番で登場し、2番では常に留まらずに過ぎていく時間が提示されます。そして、大サビ前では過去には戻れない、戻らないことが更に描かれ、リューズを巻き直して再出発して大サビに向かいます。
 曲の中で巧みに時間についての変化を描いているのが本当に素晴らしいと思います。時計のリューズを巻き直すというモチーフを出すことで再び動きだす感じもしますね。
 
 流れていく時間の流れに対して、曲の主人公である自分はどうなのか?
 ここでヒントになるのが、菊池さんのラップです。
 決して満足できる状況ではないけれど(なんなら辛い状況が続いているかも知れないけれど)、それでも胸を張って、言い換えればちょっとだけカッコつけて、前に進むことが示されます。
 カッコ悪い自分を認めつつも、それを映す水たまりを駆け出すワンステップ目にする歌詞も痛快です。笑われてもいいからこれからの未来のために今を楽しむ。そんな世界観を感じました。
 それは、新しい5色の色彩によって、より明確になったのではないかと思います。

物語が曲に強度を与える

 
 「タイプロ」を最後まで観終わったからこそ、僕にとってこの曲には特別な意味があります。この曲がまず仮歌として完成し、選考の過程でスケッチされた上に重ねる色を試行錯誤した物語を知っているからこそ、他の曲とは違った強度があります。他のグループがカバーしても出せない特別な「物語」をまとった曲だと思います。選考からもれてしまった候補者の方々の色も、そこに無いはずなのにふと浮かび上がることもあるかも知れません。でも、その配色されなかった透明な色のレイヤーも含めてこの曲の持つ「物語」なのだと思います。

 「タイプロ」を観てない方がどんな感想を持つのかも気になりますが、僕はこの曲に前向きな力をもらいました。そして、楽しみな未来を想像させる曲だとも思います。歌番組で披露する姿はもちろんですが、この曲はコンサートのセトリだと何番目にくるんだろう?
 そんな想像です。

 「Rock this Party」は、背中を強く叩かれるような励まし方の曲ではありません。もっと、優しいというか、ピースサインを横に動かすふりつけのように気負わずに日常の中に溶け込む感じなんですよね。カッコいい日ばかりではないですが、心の中ではいつでも自分にちょっとだけカッコつけて、人生というPartyを「タイプロ」を通じて出会えたtimeleszの皆さんやこの記事を読んでくださっている皆さんという最高のPartyにちゃかり僕も混じって楽しんでいきたいと思います。人生を前向きに変えてもらいながら。
 

※タイプロの過去回や「RIDE ON TIME」の感想はこちら!


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栄、覚えていてくれ
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