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7月16日から7月30日の読書と映画と散歩の日記

※この半月間もほとんど、書くか働くか寝るかしかしていないので、エーマージェンシーデカレンジャー的にエッセイを書きおろしている日もあります。その日、何もなかったんです。見逃してください。


7月16日

 あまりの長さに読むことを躊躇っていた京極夏彦の「了巷説百物語」を再び読み始める。まだ「鵺の碑」の途中だというのに。ただ、読みやすさや没入感は、巷説シリーズが自分に合うのかも知れない。中学生の時に京極夏彦で読書を初めて、角川書店から妖怪雑誌「怪」が出た時は衝撃だった。京極夏彦の小説で生まれた好奇心をこんなに満たしてくれる雑誌があるのか、と驚愕したし、新しい小説まで読めるとは、と更に驚愕した。あんなワクワクする雑誌を作りたいなあ、と「怪」を初めて買った時の衝撃を思い出しながら思った。

7月17日

 小学4年生のときの話である。
 僕は、同じクラスの田中さんが好きだった。
 田中さんは当時、「学校の怪談」シリーズを図書館で借りるのが大好き。
 「うちの学校にも花子さんいるのかなあ」とか「口裂け女って本当にいると思う?」とか「イルカ島とか紫鏡って20歳までに忘れないと死ぬんだって」とかそういう都市伝説的なことを目をキラキラさせながら言う子だった。
 ある日の終わりの会の直前、彼女の気を引きたくて、僕は彼女の前でこんなことをつぶやいた。
「肩が重いんだよね…。こっくりさんがとり憑いたかもしれない」
 きっと、彼女はよろこんでくれるはずだ、そう思ってついた嘘だった。
 ところが、彼女は、驚いて僕から逃げた。
 それから彼女と仲良しの山本さんを連れてきた。
 山本さんは学年で1番マラソンが早く、顔がアナゴさんに似ていた。
「大変、栄くんがコックリさんに取りつかれたの!みて、目の下凄いクマ!!」
 残念なことに既に僕は小学4年生の頃から寝不足だった。
 目を閉じたら、目の奥にさっきまでの光が残っていて、その光はどこに消えていくんだろう、と考え始めたら、眠れなくなる。
 だから、とり憑かれたせいではないのだ。
 仕方ないから、泣いている時のように、顔を伏せていた。
 ちなみに、僕はすぐ泣くタイプの小学生だった。
 急に感情が動いてしまうのだ。
 だから、同級生たちは「また、栄が何かをきっかけに泣いたのか」
と思っていたそうだ。
 しかし、田中さんと山本さんが、騒ぐから僕はただのすぐ泣く小学生からとり憑かれた小学生にジョブチェンジした。ただ、演技の引き出しに取り憑かれた小学生は無い。だから、顔を伏せてやりすごそうと思っていたのだ。
 やがて、新任の寺岡先生がやってきた。
 新任で小学4年生の僕らから舐められまくっていた。
 今の僕にもなめられるんじゃないか、というぐらい学生風の先生だった。
 「栄、くん大丈夫か? すぐに保健室に行こう!!」
 そのまま、僕は寺岡先生におんぶされて、保健室へ運ばれていく。
 目を閉じたまま、僕は心の中でこう思っていた。
「まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい」
 寺岡先生に背負われて分からないが、複数の足音がついてきている。
 他のクラスの子も見ているのではないだろうか。
 この時、僕は生まれて初めて、自分の意志と関係なく、巨大な波のようなものが、自分を連れていく恐怖を味わった。
 それから、家に帰ると、母親に怒られた。
 僕のために買って帰ってきてくれたのだろう。
 「週刊 恐竜ザウルス」の第2号があった。
 第1号は100円でティラノサウルスの頭のパーツだった。
 第2号はどこだろう、と怒られながら考えていた。
 翌日、僕はクラス全員の前で嘘をついたことを謝った。
 田中さんも安心してくれた。
 この数ヶ月後、彼女は僕が初めて付き合った女性になる。
 人生何があるか分からない。
 しかし、それでも僕の嘘を信じる、という厄介な人物が登場する。
 川崎くんだ。
「いや、俺には分かってるよ、本当はキツネの力をまだ持ってるんだろ?」
 こいつ、少年ジャンプの読み過ぎだ。
 だが、彼とは親友になる。
 僕が中学生になる時に転校してしまった。
 あの頃、何か特別な力が欲しかった。
 何者でもないし、明日、起きても何者でもない。
 そんな時、嘘が必要だったんだと思う。
 大人になってから、嘘をつく機会が減ったかというと、そうではない。
 「キミには才能があるよ」とか「今がピークじゃなかっただけさ」。
 傷つかないために嘘をいくつもつく。
 それが悪いことだと思わない。
 でも、あれから、自分が楽をするための嘘はつかないようにしている。
 また、何か自分ではどうしょうもない大きなシステムのような波に飲み込まれないために。
 

7月18日

 「コブラ会」のシーズン6のためにネットフリックスに再加入する。北野武監督の「首」も来ていたので、観る。感想はこんな感じ。
 

「首」(2024年41本目)

 北野監督の「アウトレイジ」シリーズ大好き人間としては、やっと見ることが出来た1作。ただ、監督自身も「必殺仕事人」的にどうやって殺すのかな大喜利になっていたアウトレイジシリーズを閉じて、今度は戦国時代を舞台にした。黒澤明監督が、北野武に生前彼との対談で非常に北野監督の編集を評価していたそうだ。今回の「首」はいつもの北野映画よりも「間」の取り方が長いところもあれば、スパッといくところもある。ストーリー自体は、「本能寺の変」というゴールに向かって加速していく。ただ、注目すべきことは何なのか?
 秀吉が最後に言うセリフを意識して2回目をみると、この映画の軸が何なのか、意識させられる。

7月19日

 なんだか、推しがとんでもないことをポストする。

 これは、note創作大賞、やっぱ行きますよ、の態度表明だろうか。
 こっちは、もう今年は見送る予定だったので、かなり焦ってストックから行けそうなものを探す。でも、応募してない時点でストックなのだ。さあ、どうする?やる?でも、デビュー予定作もあるよ?思いつく?

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