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「純情川」

 秋元康が川というモチーフを使う時、勝負曲であることが多いです。いくつか挙げてみましょう。
 美空ひばり「川の流れのように」、AKB48「RIVER」、前田敦子「夢の河」、ゆいちゃんず「渋谷川」などなど、いずれも名曲です。
 今回のSKE48のティーンズユニットであるミミフィーユの表題曲名が発表された時、僕は秋元康が勝負をしかけてきたのか?とざわざわしました。美空ひばりの「川の流れのように」は人生を川の流れにたとえ、昭和という時代を肯定するもの、そして、AKB48の「RIVER」は自分たちを阻み、乗り越えるべき大きな川という平成時代とのギャップ。「夢の河」は次のステップに旅立つ前の最後のステップという感じがします。そして、「渋谷川」は「サイレントマジョリティー」のMVの変わり続ける東京に対して、ずっと変わらずに東京を流れているものと君への変わらない思いとして書かれていました。
 それでは、今回の「純情川」という曲はどうだったんでしょうか?
 「川」というモチーフと「純情」という言葉をくっつけることで何が起こるでしょうか?
 まずは公式サイトを確認してみましょう。

 いかがでしたでしょうか?
 MVを見ていると僕は何故か、NⅯB48の「ドガとバレリーナ」を思い出しました。
 それでは、歌詞の世界から見ていきましょう。
 1番で提示されるのは、片思いの世界です。
 本当は伝えたい思いがあるけれど、きっとあなたは優しく否定するだろうと考える曲の主人公。主人公の前に登場する川は「純情」の象徴として登場します。愛をまだ知らないからこそのドキドキ。片思いの切なさや悲しさが1番の歌詞からは読み取れます。
 2番では、言葉にするとやさしく否定される他にも他人の瞳を気にしていたり、正直な自分になれずに愛想が悪く見えるのではという心配をしたりしています。ここでも何を語ればいい、と言葉に出来ない気持ちを語ります。いますぐ「大声ダイヤモンド」を聴いて!と叫びたくなりますが、主人公は動けません。2番のサビを聴く限り、このまま言葉にしないことにも悔いが残るし、何を捨てればいいのか、と純情川を見ます。
 いったい何を捨ててこの川を渡ればいいのか?
 脳内で「あなた」に愛されたらということを考えますが、自分は動けないと考えます。「愛」をまだ遠くから眺めているのがいいと曲の主人公は考えます。川の彼岸と此岸の関係のようにも見えます。まだ大人になれないまま、「愛」の意味を考えます。
 最後は1番のサビをはさんで、もし、純情を渡ってしまったら、ということが想像され、それは2番の何を捨てればいいのか、とつながる感じがします。この川には悲しみが流れていることが明かされ、その純情な思いから生まれる涙は心の清らかさから生まれるものだと思われます。その涙を水と呼び、その水が流れる川が純情川だとしたら、その川を渡ったら本当に幸せになれるんだろうか?それとも、その川を越えても美しい涙が流せるんだろうか?と色々なことを考えさせられました。「心は清らかで」とわざわざ「心は」と主語を固めているところも色々と連想させられます。

 さて、秋元康がプロデュースした曲をよく聴かれる方なら秋元康の作品によくある特徴が今回の曲には欠けていると思われたのではないかと思います。そう、風景描写が全く無いんです。男子と女子の間に流れる川として架空の川としての「純情川」が提示されているだけで、ほぼ、独白のような世界観が提示されます。かなり珍しいタイプの歌詞だと思います。
 センターである倉島杏実さんを想定した歌詞ではないか、と思いますが、歌詞だけを読むと「なんか、昔のSKE48のカップリング曲だと赤組に来そうな歌詞だな」と思いました。切ない曲調もそうですが、MVを見ていると、言葉に出さずに表情だけで切ない気持ちが伝わってくる感じがとても紅組的だと思いました。じゃあ、白組はどこなのか?となりますが、曲調的に「プリマステラ」はどうでしょう?両者とも8期センターというのが面白いですね。
 かつて赤組は、松井玲奈さんがセンターを務めることが多かったです。
 ある曲ではため込んだ怒りを、ある時は青春のちょっとクスりと笑ってしまう恥ずかしさなど、色々な表現を求められる曲があります。今回の「純情川」のMVでは「喜怒哀楽」の様々な表現を楽しめますが、2番で倉島杏実さんが窓の外に矢をかまえているシーンが特に印象的でしてね。ダニエル・クレイグ版007「カジノロワイヤル」でポーカーかなんかで戦っていたはずのボンドが急に「関係ねえ、ぶっ殺す」と町田康みたいなテンションでターゲットをふいに殺そうとするところを思い出しまし、うおお、バイオレンス!と深夜に叫びそうになりました。中ちゃん、よくぞ止めてくれた。話を戻すと、コンサートで松井玲奈さんポジションを担当する時の喜びも素敵ですが、彼女のような表現力を求められる曲の歌詞もビジュアライズ化できる部分も受け継いでいるのが本当に素晴らしいと思います。
 最後の涙から笑顔で眠るところは、天使というか矢神久美さんにも通じる猫的な可愛さを感じました。

 ちなみに、昨日、チームSに関する記事を書いて、そこでも触れたんですが、大村杏さん。いったい何者なんですが、止め絵でアップになった時のフォトの綺麗に収まる感じがただものではないですね。ちょっと大人な雰囲気を感じる杉本りいなさん、安定感さえ感じられる中坂美祐さんも素敵でした。
 篠原京香さんはポニーテールが印象的で振り付けのターンで毎回目がいきました。めっちゃクールビューティーになっていきそうな予感です。山村さくらさんは、まさに天使という衣装が似合う雰囲気で「時間がない」公演の時とは違った魅力を感じました。
 そして、森本くるみさん、階段の辺りでの佇まいがとても印象的でした。この人、もしや役者さんとしても色々な役がハマり役になるのでは、とMVを観ながら思いました。歌えて演じれる役者さんになれそうな感じがしました。
 未来のスタープレイヤーが揃っていますね。

 まだMVしか観ていないので、これからどんな曲を歌ったり、単独コンサートではどんなセットリストになるのか、楽しみですが、このメンバーだからこその楽曲との幸福なかけ算が生まれたらいいなと僕は思います。
 次はどんな衣装で曲全体がどんな振り付けなのかを楽しみに待ちましょう。 
 
 
 

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栄、覚えていてくれ
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