新公演の感想
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王道の更新
2023年7月15日 SKE48の新公演が始まりました。
皆さん、もうご覧になったでしょうか?
観終わった感想は、僕がSNSで確認した範囲では賛否でいえば賛の声が多かったように思います。
ちなみに僕の感想は、今までの新公演の中では一番平凡だと思いました。
でも、心がグッと動く公演でもある。
何故でしょう?
そこで、まずは自分が新公演に求めるものを考えてみました。
まず、僕が新公演に期待することは、「新しさ」です。SKE48という老舗のアイドルグループに新しい要素が生まれることです。
チームSの「愛を君に愛を僕に」公演では、「TKミュージック」と「懐かしさ」を。チームK2公演「時間がない」では、「クラブミュージック」と「アート」だったと僕は考えています。
それでは、チームEの「声出していこうぜ」公演はどうだったか?
企業が自社ブランドの「新しさ」を追い求めているうちに、自分のアイデンティティーがわからなくなることが時々あります。今回の公演では、コロナを挟んで忘れかけていた公演の風景のアップデートが行われた僕は考えています。ですので、刺激的なアップデートを求めていた僕のような人間には物足りなかったかも知れません。
前チーム2つのような違う世界に連れて来られたような刺激はありませんでした。それはそうです。「知っている」、僕らの「日常」を再構築する公演だったからです。そう、「平凡さ」というファーストインプレッションの正体は、「王道の更新」だったからです。
この公演が退屈だったかというと、そうではありません。「日常」の中に新しい発見を刺激する要素が沢山ありました。
今回はそれをじっくりと考えていきましょう。
林美澪という才能に圧倒される
まず、10期生の林美澪さんの持つチャンネルの多さに圧倒されました。
特にソロ曲の「星の雫」は彼女が持つ「澪」の感じを彷彿とさせ、今、アイドルをしている彼女自身の独白のようで、聴きながら心を動かされました。1番ではきらめきを拾い集めて星になるという内容だったのに、対して、2番では自分の光を届ける存在に変わっていきます。そして、ステージや芸能界では星の光は重なりあっている。だから、自分の光を見つけてくれた人に問いたくなります。自分はこの場所に今日も居ても良いですか、と。
「星の雫」はスターの涙か、汗か、いろいろと味わえそうな1曲が生まれたと思います。一つだけ言えるのは、心に染み込んでいく雫でした。
そして、ユニット明け1曲目の「Loose control」。
最初の感想は、「いや、これ櫻坂じゃん!」でした。
そりゃそうですよね。TAKAHIRO先生振り付けですし。
ちなみに、2022年12月に日本武道館で行われた櫻坂46の公演のMCで、TAKHIRO先生がいかに歌詞を深く読み取って、振り付けというビジュアライズ化をしているかがわかります。
「そっちの世界はどうですか?」とか「君のいないこの世界」という明らかにここまでの曲とは違う世界観が印象的です。そして、そこに佇む林美澪さんの姿が本当に絵になります。彼女の年齢でここまで陰陽の陰の表現を引き受けられるのは凄いと思います。ゆななやこっちゃんの陽の狂気も凄いと思うんですが、林美澪ちゃんの1番の静的な表現から2番の一気に動的な表現にシフトしていく過程が素晴らしいです。「不協和音」を一人でやった時は、「不協和音は一人でするもんじゃないよなあ」と欅坂ファンとして感じていたので、今回の「Loose control」は、SKE48オリジナルで、「こういうチャンネルの曲もやろうと思えばいつでも戦えますよ」というのを見せてくれたのが、本当に嬉しかったです。最近のSKE48にこういう世界観でステージを構築する曲がなかったので、嬉しいです。チームEはシングルのカップリングも歌詞が良いものが今回来ていましたが、秋元康は今、誰が歌うことを想定して歌詞を書いているんでしょうね。
いやあ、今更ですが、この人センターやってたんですよね。もう納得の脱帽で最敬礼ですよ。
圧倒的な表現力を見せつけられました。
そして、相手役に斉藤真木子というダンスを言語に出来る人を持ってくることで、銃を向き合うことから握手に変えられるというのを言葉ではなくダンスで表現できるのが良いですね。
果たして、「そっちの世界」はもう死後の世界なのか?
何故、曲の主人公は自分のコントロールができずに勝手に涙が出るのか?
歌詞を全部聞き取れていないので、まだはっきりとは書けませんが、SKE48に素晴らしい曲が来たのは間違いないと思います。
終わり方のメンバーと向き合う背中も良かったです。
そこに立ち続けていたもの達の凄み
公演が始まった瞬間の井田さんの笑顔が凄く印象的でした。
同じく6期の熊ちゃんの公演タイトル曲センターは、これまでの努力が認められた瞬間ですし、4曲目の「誰しもいつか止まる心臓を」のここぞというところで目をかっと開く鎌田さんの「まだこんな技を残して戦っていたのか!」と驚愕しました。
その顕著なものが「Revolver」と「ねえ 横浜のあの子を好きになっちゃったの?」です。
「Revolver」の方は残念ながら、曲の序盤にマイクが少し入ってなかったのか、歌詞が聞き取れなかったところもありましたが、それを補う3人のダンス!特に真木子はやっぱり何度も目を奪われました。
「ねえ 横浜のあの子を好きになっちゃったの?」という超飛び道具曲ですが、歌っているメンバーは、チームE公演をこれまで大事に守ってきてくれたメンバーなんですよね。歌詞の脳内会議みたいな部分も好きなんですが、黒髪になった谷真理佳の長い髪がなびく度に美しい!というか、今更ですが、今の谷の仕上がり具合って本当に素晴らしい!!
この曲の鎌田さんの読解をアメブロとかで今すぐ聞いてみたいです。
あと、はたごん、この曲も含めていろんな曲の歌詞の主人公になれそうな雰囲気を持っているのは、流石です。
他にも倉島杏実ちゃんのセンター曲が嬉しすぎる!とか、倉島杏実ちゃんの「いつでも全力前のめり」みたいな振り付けの曲があるのが嬉しいとか、
倉島杏実ちゃんが18歳になったのに驚いていたりと語りたいことはまだまだありますが、再び総論へ。
ファンも一緒に育てる公演
劇場公演なんて、何年も同じことをしていてナンセンスだという方もいるかも知れませんが、多分、そういう方はブロードウェイのショーが繰り返し同じ演目を何日も同じところでして、しかも知っている曲が多いことに無関心なのかも知れません。
今回の「声出していこーぜ」公演は、ブロードウェイで言えばデイビット・バーンの「アメリカンユートピア」に近いかも知れません。ステージ上は楽器と演者だけにして、観客の声や拍手にも協力してもらってショーを成立させていく。その為には「知っている」トーキングヘッズの曲と「繰り返し」同じセットリストで上演することは重要です。
そう、「日常」のように「平凡」に感じるかも知れません。
でも、今日の公演の5曲目の「声だしていこーぜ!」のファンの方のコールを思い出してください。あれは「知っている」から出来たと思うんですね。「繰り返し」聴いてコールを頭に入れてるからこそ、あの曲だけは他の曲よりも劇場の一体感が生まれていました。
これから、メンバー、演出家陣、そして、我々ファンも含めてみんなで公演を創造していくことになるではと僕は思います。それは、AIで製作するイラストや楽曲のような速さはありません。まるで、花を育てる時のように、みんなで水をあげて育てていく。そんな独自の時間を楽しめるのが公演だと僕は思います。
そんな時間を生み出せる劇場もSKE48も僕はやっぱり好きです。
少し気が早いけれど
あとは、チームE最後の1ピース浅井裕華たんが、どこの曲に入るのかも凄く気になりますね。僕は彼女が歌う「横浜」とか超みたいですよ。絶対にあの曲の世界観を体現できると思います。あの曲が最後に冬で終わりますが、どんな最後を表現するんだろうとワクワクします。
そして、3つの公演が揃ったということは、研究生たちがどこのチームに昇格するのと面白いだろうと考えるのも楽しいかも知れません。今、アンダーで出てるメンバーたちは、全く違うチャンネルの表現を獲得していけるのではないかと思います。
気が早いですが、2年後ぐらいにどんなフォーメーションになっているのかも考えてみるのも楽しいかも知れませんね。
あと、4曲目からの水色と淡い紫色の衣装が個人的ベスト衣装で、これは色んなメンバーに着てほしいなと思っております。
取り戻した日常を愛せ
僕らの日常の時間は時々、止まる。
ある時は大きな自然災害、ある時は疫病、ある時は戦争。
日常の時間は失って初めて貴重さがわかる。
病気になって初めて健康の素晴らしさがわかる。
でも、僕らはすぐに忘れてまた脂っこいラーメンを求めるし、運動も3日ぐらいでやめてしまう。当たり前に感じる。
だから、時々、この平凡な日常を嚙み締めよう。
声が出せる日常を。
アイドルシーンの王道曲たちを。
そして、そこで止まらずに解像度をあげよう。
目を凝らすとそのモニターの中では、メンバーたちが劇場に訪れたファンたちが大事に公演を育てています。
いつか、僕もこの公演を育てる一人に加わりたいなと思いながら、この記事を終えます。
こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。