遊びを考え直す第6回「ボードゲームその3 WINGSPAN 『開く』ために一人になる」
ボードゲームをし始めてはや3か月。
先週の日曜日にも宇和島市で行われているホリバタボードゲームクラブに参加してきましてね。
今日、職場の方に「ボードゲームは面白かったですか?」と聞かれました。聞かれた方も最近ボードゲームを始めた方です。
「いや、面白いと思ったことはないですね」
「変わってますねえ」
多分、ネガティブな意味に受け取られた気がしますが、その時、明確に説明する言葉がなかったので、そのまま別の話題を始めました。
まだ「タペストリー」と「ブラス」ぐらいしかやったことが無いんですが、「面白い」とか「楽しい」という言葉で捕まえられている感じではないんですよね。「面白い」とか「楽しい」という要素も勿論あるんでしょうけど、その言葉が本質の範囲を狭める気もしています。
「面白さ」とか「楽しい」の中には多分、「好き」の量も関係している気もします。「嫌い」だけど「面白い」とか「楽しい」というのはなかなか難しい気がします。
僕はまだボードゲームを「好き」、というところまでは行っていないと思います。
抽象的に書くと、形容詞ではなく動詞に近い感じ、「開く」という感覚が一番近いです。
ボードゲームをプレイすることで、普段、使わない回路を使って考えて行く。
批評家で雑誌「モノノメ」を刊行したばかりの宇野常寛さんは、現代の社会において「物事を攻略するのにハマるとバカになるからやめなさい」ということを雑誌「サウナランド」を刊行した箕輪厚介さんとの「箕輪編集室」の定例会の対談で語っていました。箕輪さんは「アルゴリズムの奴隷なってる」と補足しますが、人間を動機付けさせる力は強いけれど、そのせいでバカになってしまう。
「攻略する」、つまり、「勝つ」ことの方にシフトしすぎると、どんどん物事へアクセスする視点がつまらなくなる。狭くなる。
僕がこのことを意識したのが、ボードゲームをしている時でした。
「攻略する」のとは違う価値観がゲームの中で「開く」んです。
勿論、勝ちたいなあという気持ちはあるんですが、プレイヤーとしての勝ち負けよりもゲームの奥行や自由度を感じられる気がするんです。
逆に、スマホのカードゲームである「Shadowverse」なんかもやっていますが、こちらは「攻略」の要素が強くて、youtube等でも毎回最強デッキを追い求める人々の動画や攻略サイトやまとめサイトなども沢山あります。まさに「勝つ」という目的のために頑張る感じが強くて、時々ゲームから離れることもあります。
自分の中でゲームの中に可能性の穴をみつけられる。言い換えるとハックする要素の穴を探す。そして、その穴を自分なりに「開く」、そうすることでゲームの領域が広がる気がする。これを感じられるゲームは今のところボードゲームだけではと思います。
前書きが長くなりましたが、今回遊んだボードゲーム、行ってみましょう!
今回遊んだボードゲームは「WINGSPAN」。
鳥さんが素敵なゲームですよ。
SKE48の卒業生で鳥好きの高柳明音さんに是非やって欲しいゲームです。
そういえば、最近、SKE48もボードゲームしに行ってましたね。
さてさて、結論から言うと、「あと100回はしたいボードゲーム」です。
箱の絵やサイコロを振る鳥箱も素敵。
前々から思ってますが、ボードゲームの箱って綺麗な柄が多いですよね。
さて、こちらのゲーム、詳しくはこちらのサイトを読むべし!
鳥さんたちが生息するボードも素敵です。
そして、ゲームの最後に得点課点の対象となるボーナスカードも職業や学者の名前が多くてコレクターや研究者にも色々いるんだなあ、と感心します。
そして、ゲームの中で登場する鳥さんたちの絵も素敵です。
実は、ゲームをしながら、他のプレイヤーがプレイしている時、僕は鳥の絵を見て下の説明書きを読みながら、コイツ、丁度全然日本にいないやつじゃん、とかこんなかわいいのに羽を広げた時の大きさは100m以上あるのか、とか「寄り道」を沢山していました。
こうして並べてみると、お気に入りの鳥さんがゲームの終わりまでに1羽ぐらい出てきます。毎回、ゲーム終わりにカードを戻していくのが勿体ないぐらいです。
卵の産卵もしますよう。新しい鳥さんを呼ぶ時に卵がコストとして必要な時があるんですが、卵が割れて新しい鳥さんが生まれるところをイメージして作ったルールなんですかね?
ちなみに、このゲーム、なんとアナログ版だけではなくデジタル版もありますよう。
カードやボーナス、お題の組み合わせを考えると100回プレイするごときじゃ足りない気もしてきました。
この野望を達成するには、アナログ版だといったい何回何人の方に集まってもらう必要があるんだ、という感じですが、デジタル版なら時間や場所に囚われずにプレイできますね。そもそも、僕アナログ版持ってないですしね。いつもプレイさせていただく側ですし。
なんとなく僕みたいな考えつつ自分のペースでやりたい人間は、これからはこっちの方が相性が良いのかな、とも感じましてね。
というのもボードゲームにおけるプレイヤー同士のコミュニケーションって思いのほか大事で、これがゲームを面白くさせることもあれば、とんでもなくつまらくするんじゃないか、ということに徐々に気が付き始めました。それは「このカードが強いからこれをどんどん手に入れて勝ちに行く」とか「ネットで攻略方法を勉強してきた」みたいな人たちとは、多分、合わないんじゃないか、と思いましてね。「勝つ」と「開く」のバランスで考えた時に、明らかに「勝つ」に傾き始めると僕は寂しくなります。それは、僕が1位になろうが最下位になろうが関係ありません。ただ、プレイスタイルというのは、強要するべきものではないです。それぞれの自由です。僕にも「勝つ」という意識は勿論あります。ゴール地点が無くなると、今度は「開く」ということの自由さが相対的に失われてしまいますしね。
ただ、僕は基本的に「気まずい空気を吸い続ける努力をしない」という信条で生きているので、「この場に居たくない」と思った時は、なるべく早くその場を離れるようにしています。
もしやデジタル版だとこのストレスが無くなるのでは、と思います。というのも人の要素が減るからです。
その反面、人とするからこその良さもあって、何気ないプレイから人柄が見えたり、誰かの考え抜いた一手を褒めたり称えたりできることは、人とするからだと思います。関係しない者同士がゲームという中間点を通して、知り合う開けた感じも素晴らしいです。
あとは、世界観を立体視させてくれるサイコロを振る場所やボード、カードたち。これはアナログ版だからこその楽しみかも知れません。
人が集まった時に生まれる熱、これは先日メタバース研究をしている方が、まだデータ化できないことの一つだと語っていました。
多分、「勝つ」とか「攻略する」という視点でやるなら、eスポーツの方がやりがいがありそうです。ただ、その文脈で比較したら、少しボードゲームは不利な気が僕はしています(考えながらプレイすることで、『開く』というのは似ている気もしますが)。
ゲームが与えるルールをハックして自分が設定したゴールを達成して、ちゃっかり勝つ。そんなことがボードゲームなら出来るんじゃないか、とウイングスパンをプレイして感じました。
多人数ボードゲームを楽しむ為に、デジタル版を一人でやるというのは本末転倒な気がしますが、なんとなくゲームの輪郭をきちんとおさえる為に、「ウイングスパン」を自分のやり方で遊び方を「開く」ために、僕は今、一人になりたいと思っています。
こんなことを本当は職場の同僚の方に「面白いと思ったことはない」の後に説明したかったんですが、さあ、どう伝えようか。
こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。