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【オーボエ】リード調整でできること、各ステップ毎に解説

オーボエを長くやってる方は、そろそろリードの調整をやってみようと思う方も多くいらっしゃるかと思います。しかしながら、漠然とリード調整できるようになりたい、リード作れるようになりたいと思っても、何かやること多すぎて無理だな…と思ってしまい、なんとなくためらってしまう、そんなことが結構多いかと思います。

そこで今回の記事では、リード調整を4段階のステップに分けて、どの程度までできるとどういう事ができるのか、について解説します。

ご自身で、この段階までで出来るようになろうとか、このレベルだとこういうメリットがあるのかというのをなんとなく参考にしていただければ幸いです。


1.道具無しでの調整

この段階は全てのオーボエ奏者が挑戦でき、実際に試せることです。
主にできることは2つで、リードの開きの調整、リードの水分管理になります。ほとんどの方はもう経験則でわかるかと思いますが、実際に文章にするとこのようなことができます。

リードの開きを出す

リードをサイドから押さえる。息抜けが良くなる。やり過ぎると振動しなくなり、音程が下がる。水分が浸透していないと割れる可能性がある。

リードの開きを潰す

リードを上下に抑え潰す。開きが強すぎることによる振動開始の遅れを防ぐ。やりすぎると息が詰まる。音色が平べったくなる。水分が浸透していないと割れる可能性がある。

水分管理

乾いたリードは振動しなく、振動したとしても固い音になる。含ませすぎると柔らかくなり、開きが強くなり、音程が下がる。

基本的に、息抜けのコントロールのみしかできませんが、吹き心地はオーボエを吹く上で非常に重要ですので、この状態だと息抜けが良く気持ちよく吹けるとか、息が詰まるとか、息が素通りしてリードが振動しなくてダメだとか、その辺りの感覚をこの時点で学ぶと良いかと思います。


2.完成リード延命の為の調整

古くなったリードに起こることは、振動や水分の浸透と乾燥の繰り返しによって、葦の中の成分が抜けていきハリがなくなるのが主な変化になりますが、他には、材のハリがなくなり相対的にもともとついてるワイヤーやシールテープが強く効きすぎる状態となり振動を止めてしまっている、リードの開きが潰れ常に開きを出さないといけない、などの症状がでたりします。

この段階で狙うべきことは、失われたハリをある程度復活させる、削って振動しやすくさせることで延命させるなどです。(小羽根で掃除はここでは含めませんが、定期的にやるのをおすすめします)

早速道具が必要になります。以下に書くものを一度に全て用意する必要はありませんが、少しずつ用意していただくことで、できることが増えていきます。

道具としてはリードナイフ、プラーク、ラジオペンチ、リードカッター。
消耗品としてはワイヤー、シールテープ、フィッシュスキン(シールテープやフィッシュスキンを使う場合ハサミが必要になります)
以上がぜひ揃えていただきたい道具類です。

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失われたハリを復活させる方法

・ワイヤーを低い位置にずらし、ペンチで絞る。シールテープの下にワイヤーがあるタイプのリードはシールテープを剥し、ペンチで絞った後に巻きなおす。絞るとワイヤーが千切れることもあるので、ワイヤーをあらかじめ用意しておくと安心。

・完成リードのワイヤー部分をサイドからペンチではさみ、クックッと押して開きを出す。

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・リード先端をリードカッターでカットする。ただし音程が高くなる。

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※以上3つを全てやるのではなく、ハリを復活させるという目標のもと、選んでやってみてください。


プラークとナイフがある場合

背骨のサイドをほんの少し削る。

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リードの上下がズレている場合、プラスチック製のプラーク(リーガー等)を差し込み、左右に力を加えることで修正できます。

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この段階では、こういう音色を出したいとかそういう事も不可能ではありませんが、音色に関しては自作になってから挑戦することをお勧めします。


3.舟型から自作

この段階では糸巻きと削りを習得し、自分でリードを作る段階になります。自分でこういう音を出したいとか、こういう吹き心地にしたいとか、そのようなことをしたくなった場合はぜひここの段階に挑戦してみてください。
チューブに舟型を巻いただけの半完成リードなどもありますが、糸巻きができるようになるとチューブをリサイクルして使えますので、自作を決めた段階で糸巻きからやるのをお勧めします。

この段階になりますと、チューブの選択、削り方、材の種類など一気に選択肢が増えます。いきなり独学でやる方もいらっしゃいますが、まずはじめは道具をそろえ、講習会や先生のレッスンに行くことからスタートするのをお勧めします。

必要な道具は以下の通りです。

リードナイフ、プラーク、ラジオペンチ、ワイヤー、マンドレル(チューブに合うもの)、ライター、リードカッター、定規、カッターナイフ、チューブ、舟型、リード用糸、接着剤(ラッカー、マニキュア等)

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あると便利なもの

糸掛け、はさみ、耐水ペーパー(1000番と2000番)、ケーンガイド、しつけ糸or輪ゴム等(舟形固定用)

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また、削りの段階でメーキングマシンを使うこともできますが、当然手削りでもリードは作れますので、上記の道具をそろえれば、マシン類が無くてもリードの自作は可能です。


4.カマボコ型、丸材から自作

この段階では、舟型の形状を変えたり、ガウジングの厚さを変えたりができます。選択肢がさらに増え、カスタマイズ性がより増えます。個人的な意見になりますが、音色や吹き心地のためというのもありますが、この段階になると、削りの負担を減らす設定を模索するというような段階になっていきます。

カマボコ型から舟型

・シェーピングマシン、あるいはハンドシェイパー(ハンドシェイパーを使う場合イーゼルが必要になります)

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(シェーピングマシン:ヘルトナーゲル)

丸材からカマボコ型

・ケーンスプリッター(カッターナイフで代用可)
・プレガウジャー又はプレガウジングマシン(おすすめしませんがここも気合でカッターナイフで代用可)
・ガウジングマシン
・キャリパー
(ガウジングマシンにギロチン機構が付いてない場合)ギロチンカッター

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(プレガウジングマシン:リーズンスタッフ)

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(ガウジングマシン:ミヒェル、キャリパー:リーズンスタッフ)

以上の道具、マシン類が必要となり、必要経費が一気に増えます。また、マシン類のメンテナンスにも気を使わなければなりません。


最後に

今回4段階に分けて記事にさせていただきました。3段階目以降に関して詳しい話は膨大な量となってしまうため省略させていただきましたが、各段階はどういうことができ、どういう目的なのかがなんとなくイメージできれば嬉しいです。
リードの調整やリードメイキングは最初は大変ですが、必ず時間をかけた分自分にプラスになって帰ってきます。何か質問等ありましたらコメントをよろしくお願いします。

こんな動画も作ってますのでよろしければ参考にしてください

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