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オーボエを吹いている学生の所属する部活動顧問の先生、またはお子様がオーボエを吹いている親御さんへ

仕事でオーボエを教えに学校に伺うと、どうしてもリードが無くて古いリードを何か月も使い続けているような生徒さんに出会う事が多いです。あくまで個人的な見解とはなりますが、リードの購入頻度について私見を述べさせていただきます。

一般的にリード1本の寿命は2週間だったり3週間だったり、ひと月と言われる事もあったりまちまちです。これはリードの個体差、練習頻度、リード調整の技術の有無などで大きく変化しますので、はっきりした日数を出すことは不可能です。
プロ奏者のリードサイクルに関してですが、仕事で1回使ったらもうおしまいという場合もありますが、2~3回は普通に使えて、4~5回は調整しながらなんとか、6回以上になるとさすがに音が良くないという状態になるので破棄、くらいでしょうか。もっと少ない回数での破棄も十分にありますが、吹きにくいという事より音が悪くなってきたから処分のほうが正しいかなと感じます。
プロであれば新しいリードを作れば良いのですが、学生の場合は金銭的な負担がのしかかり、買わずにずっと使い続けてしまう状況に陥りやすいです。つまり学生は1本のリードを使い続ける期間がプロより明らかに長くなる傾向になります。

1本のリードを長期間使い続けると、様々な問題を引き起こします。音が良くないというのは贅沢な悩みで、音を出すのに無駄なパワーを必要としたり、音程が取れなかったり、発音が失敗して音が出なかったりして周りとアンサンブルするのにハンデを負います。
他にも古いリードを使い続けてしまう事で、古いリードの吹き方に慣れてしまい良くない癖がついてしまい、新しいリードを買ったとしてもハリに対応できず、音程が取れなかったりすぐ疲れてしまったりという事も起こり得ます。

私は理想としては、毎日部活動をするような学生は月3本の購入を勧めたいです。一本のリードを使い続けるよりローテーションするほうが長持ちするので、月3本買い、その前の月に買った3本の計6本で新しいリード古いリード含めてローテーションしていくのが理想です。この方法であれば、古いリードの吹き方に慣れてしまうという事が無く、突然リードが1本ダメになってしまったような場合でもまだ5本あるのでローテーションが機能します。
ネックとしてはリードが1本3000円の場合、月9000円かかるということです。
また、これより多く買うメリットとしては、曲によって使い分けたり、本番用にとっておいたりなど、選択肢が増えるというメリットがあります。

ただ、私は古いリードも吹けるような技術を持っておくことは必要と考えています。リードを買う度に古いリードは都度処分して、常に新しいリードしか吹けないというのも、少しリードの状態が変わっただけで吹けなくなるようになってしまう可能性があり、あまりおすすめしません。古いリードと新しいリードを比較しながら、開きを調整したり息の入れ方を変えたりしてある程度どんなリードでも吹けるというのも重要な技術です。

リード購入の最低ラインとしては、私は月2本になるかと考えています。前の月の2本と合わせて計4本でかろうじてローテーションが機能します。この場合は突然1本リードがだめになった場合、3本でローテーションすることになりますが、毎日朝練もやって夕方もやってという場合3本は正直キツい印象があります。しかしこれでもリードが3000円の場合月6000円の出費となります。

そしてここからがお願いしたい事なのですが、お子様がオーボエを吹いている親御さんや、顧問の先生は最低月2本与えてあげるよう家庭内の予算や部費の予算を組んでいただきたいです。部によってリード購入に関する決まりがあったりなかったりしますので、まず部にルールが無い場合はルール作りが先決でしょう。部の予算から無制限が生徒や親御さんにとって理想ですが、ほとんどの団体はそれは非常に難しいです。月何本まで、それが全額か半額か他の割合か。規定本数以上が欲しい場合(コンクール、演奏会前などよくあります)どのくらいの割合まで出せるか、あるいは部負担は無しかのルールを策定していただきたいです。

ギリギリの予算で部の楽器のメンテナンス、外部講師への謝礼、ホール使用料などなどやりくりしないといけない大変さは親御さんも理解しているかと思います。部のルールが例えば月2本まで、半額は部で負担という場合、お子様の為にどうかその残り半額の負担を親御さんにはお願いしたいです。

金銭的負担をなるべく軽減するため、リード制作をやらせるという考えは出てくるかと思います。しかしリード制作はある程度楽器が吹けて、リードの吹きやすい状態吹きにくい状態、良い音悪い音の判断がしっかり身につけてないと使い物になるリードはまず作れません。そして膨大な時間と労力を費やしてようやく作れるようになる代物です。
私自身も音大1年生で作り始めましたが、入学直前まで購入していた先生からのリードの供給を絶ち、およそ2ヶ月でリードらしき物ができるようになりました。入学したにも関わらずろくに練習できず、アンサンブルや合奏の授業も当然あり、プレッシャーや危機感を強く感じながら集中してようやく作れるようになりましたが、今思うと2ヶ月は驚異的なスピードだったと自負しています。リードを作るための道具一式を用意し、材料を用意し、膨大な失敗を繰り返していくことを考えると、コストパフォーマンスはむしろ買うより悪いと言わざるを得ません。リード制作とは自分の音や表現を追求するため、金銭や時間を惜しまない場合、初めてチャレンジできると私は考えます。

長文となってしまいましたが、この記事を書いた一番の理由は、オーボエの部員の学生がリードを買う事ができず困っているにも関わらず、部や親御さんに実情を理解していただく機会がなかなかないパターンが多くあると感じたためです。
ぜひともリードの購入頻度についてお子さんやオーボエ部員に聞いてみて、月2本ペースが確保できてないようであれば、それに近づけるにはどうすればよいか話し合っていただけると嬉しいです。

日頃よりオーボエを演奏するのが大好きな部員、お子様の為に尽力されている顧問の先生や親御さんには感謝申しあげると共に敬意を表します。

ここまでお読みいただきありがとうございました。




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倉成 麦
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