読書⑥
そして、バトンは渡された 作者 瀬尾まいこさん
何を作ろうか。で始まるこの小説。
悩んでいるのは主人公の血のつながらない父親の森宮さん。
誰のために?
それは、主人公である娘の優子のために。
何のために?
それは、ラストから2ページめで判明します。
3人の父親、2人の母親。
家族の形態は17年間で7回も変わっている優子。
その継母の梨花。
3番目の父親の森宮さん。
一歩まちがえると、取り返しのつかない関係になりがちな
人間関係も、この物語では、どこか、温かみを感じます。
それは、登場人物が、私にとって、皆、魅力的だったからでしょう。
継母の梨花は身勝手ですが、憎めません。
理由があればいいというわけではありませんが、身勝手なりの
理由もあります。悲しい理由が……
本を読む前に映画(ツタヤでレンタル)を観ました。
なので、頭の中では、森宮さんは、ずっと、演じた田中圭さんの
イメージで読みすすめました。
ラストのページ。
本当に幸せなのは、誰かと共に喜びを紡いでいる時じゃない。
自分の知らない大きな未来へとバトンを渡す時だ。
あの日決めた覚悟が、ここへ連れてきてくれた。
とあります。
「覚悟を決める」それは、容易なことではありません。
それゆえ、決めた者が、どこかへ行けるのでしょう。
かけがえのない人と……
2019年 本屋大賞受賞
2021年 文庫部門 年間ベストセラー第1位の小説です。