RADPLAT(超選択的動注化学療法併用放射線療法)
5月17日(水)A大続き
放射線治療と動注療法を同時に行う先進的治療法があるという話になり、フランがその治療を受けられる可能性が出てきました。
動注療法担当の先生が呼び出され、再度診察室へ案内されました。
その治療法は、RADPLAT(超選択的動注化学療法併用放射線療法)といい、ようするに放射線治療と動注療法を同時に実施することによって相乗効果を狙うものとのことでした。
人間の治療法として広まりつつある療法で、現時点では他療法との比較や、従来法との無作為比較を行った十分な検証結果が出ていないものの、口腔内癌を含む進行頭頸部癌に対して高い治療効果が報告され、臓器温存療法として期待できるものだそうです。
口腔内がんで手術できる物理的な範囲は拡がってきているが、予後は不良で、咀嚼、嚥下などの機能温存、外見の維持は充分でないそう。
RADPLATは、見た目も損なわず食事や会話の機能を温存することができる有効な治療法で、実施後、腫瘍の縮小によって手術が可能になる場合もあるようです。
動物に対して実施しているのは、世界でもA大だけではないかと先生は言っていました。明らかな結果検証が得られていないからかもしれないんですけどねと自虐的でしたが。
放射線担当の先生が言っていた通り、研究として行うため治療費はかからない。少し前までなら、全額負担なしだったが、これまで十数件やったので、今は、カテーテル代だけ払ってもらえば出来るとのことでした。
A大の症例としては、この一年半で十数件。そのうち口腔内腫瘍の症例は猫二件、犬一件の計三件。そのうち二件は実施後三か月生存し、そのうち一件は五か月たって、いまだ存命とのこと。
口腔内の症例三件ともに、舌の機能が無くなった状態での実施症例ということで、フランはまだ舌の機能は失っていないので、もっと生きられるのではないかと思いました。
実施の危険性としては、動注の際、鼠蹊部の動脈からカテーテルを挿入するので、カテーテルによって血管を破ってしまうリスク。カテーテルを血管内に挿入することによって血栓が出来て、それが原因で脳梗塞を起こす可能性があるというリスク等が考えられるとのことでした。
こういう先進的治療は、最初の方、特に一件目が実際に施術を受けるにあたってリスクが高いものだが、十数件の症例を経ているのでその点では心配ないとのことでした。
N大では最初は酷い失敗をしたらしいですよ、とここでもN大は軽くディスられてました。
リスクの説明を受けましたが、やはりメリットの方が大きいように感じましたので、RADPLATをお願いすることにしました。
カテーテルを用意するのに時間がかかるとのことで、翌週の火曜日に入院して実施することになりました。
火曜 放射線×2回
水曜 放射線×1回 動注療法
木曜 放射線×1回 動注療法
金曜 放射線×1回
という予定になりました。
↓段ボールを畳もうとすると、必ず中に入ってきて占拠するフラン。
3月18日に舌の異変に気づいてから、治療といえば舌に軟膏を塗ることのみ、本当はこの日一回目の放射線治療を行うつもりで連れてきましたが、ここで一週間さらに待ってもいいと思えるほど、先進的な治療に思えました。この一週間は、今までで唯一前向きに捉えられました。あとは、なんとかフランの舌が動く状態で治療を受けさせたい。そう思いました。
N大では動注は、いかにも特別な治療法として言っていましたが、A大では放射線治療と組み合わせて行う研究までされていました。
N大では放射線治療も動注療法も実施できないわけで、大学間でこれだけ実力の差があるというのには驚きでした。
ホームページ等を検索するだけでもわかる放射線治療設備の有無といった客観的事実も知らずに、N大の高度医療に期待したがために、一か月近く無駄に過ごしてしまったわけです。
ヨメと、N大では特別でもA大では普通かもよ、と冗談で言っていた通りだったわけです。
動注療法とRADPLATに関しては、人間の症例ならば結構ありましたが、ペットの症例はウェブ検索では出てきませんでした。
抗ガン剤治療についても、やはり北海道大学の動物医療センターのページのものが良くまとまっていて、何度も何度も読みました。
以下にリンクを貼っておきますので参考にどうぞ。(普通に検索すれば上位で出てくるものですが・・・)
<費用> A大 初診料 4320円、診察券 216円、合計 4536円