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動注療法(超選択的動注化学療法)

5月15日(月)N大から連絡、病名確定

余命宣告を受けたフラン。緩和としての胃ろうなり軟口蓋切除をしなかったとして二カ月。後は緩和でどこまでのびるか。

フランは、そんな余命宣告とは関係なく元気いっぱいで、散歩もせがむし、リードもグイグイ引っ張る。違いといえば、舌の動きが悪いせいでご飯を食べるのが遅くなったぐらい。
この日も夕方散歩させ近所を軽く周っていました。フランには自分のお気に入りの散歩コースがあり、なんとかそちらに誘導しようとします。そちらに誘導されると合計で二時間程度の散歩になってしまいます。この日は人間の方が少し疲れていたので、フランの誘導に負けず近所で軽く済むコースに誘導しました。

ネットでナガミヒナゲシの記事を読みました。最近よく見かけるオレンジ色の花で地中海沿岸が原産の外来植物だそうです。繁殖力が異常に強く、在来種や他の植物の成長を抑える作用を持っていて、この10年で爆発的に増えているそうです。
なんだか爆発的に増えているというところが、フランの腫瘍と重なり
無性に腹が立ちました。
散歩の途中、道端でナガミヒナゲシを見かけるたびに足でねじ切りながら散歩しました。犬を連れていてもかなりの不審者です。不審者情報のメールが飛んでいないか少し心配でした。

散歩が終わり、フランの足を洗っているときに電話がかかってきました。N大からでした。
あれだけしつこく、月曜火曜でN大から電話がなかったら、水曜に我々から電話するようにと言われていたので、向こうからかかってくるとは思ってもいませんでした。
こちらからかけるのも面倒でしたが、病名を確定させるため、水曜になったら電話しようと考えていたところでした。

電話は研修医ではなくF先生からでした。
やはり生検の結果は扁平上皮癌。この時点でフランの病名が舌癌(扁平上皮癌)と確定しました。やはり、あてはまる症例や治療法はなく、前回話した通りできることはないとのこと。
もう用はないなと思って電話を切ろうとしたら、セカンドオピニオンとしては、とF先生は話し続けました。放射線治療と動注療法ができる可能性があるということでした。

放射線治療の設備はN大にはないので、K病院からどこか放射線治療が可能な大学病院に紹介してもらう必要があるとのことでした。
動注療法は、N大にいた先生がどこかの動物高度医療センターにいるそうで、その先生を紹介できるとのことでした。しかし動注療法は診断してみて、方法として当てはまらない可能性もあるとのこと。
いずれにしても、N大で出来ることがないのには変わりありませんでした。

セカンドオピニオンを提案してくるとは思っていませんでしたので、びっくりしました。まぁこの時点では時すでに遅しですが、少しだけN大を許す事にしました。
いずれにしても、ここから以降の紹介状の主体はK病院であるということでした。K病院が紹介状を作成するときに、N大も一緒に作成に関わる。という感じになるということでした。紹介状の作成に一体何日かかるのでしょう。

この時点で、明後日A大で放射線治療を受けることは決まっていましたが、何も出来ることはないと言われた相手に伝える義理はないなと思いましたので黙っていました。
他の病院に行ってA大を紹介してもらいましたが、N大のことはボロカスに言われてましたよ。予約も二週間待ちなんてことはなく、担当医と直ですぐに取れました。と伝える妄想を脳内でしましたが、わたしはそれを口に出すほど自信にあふれた人間ではありません。

放射線治療を第一に考えてみます。と伝えたところ、ではK病院の先生に放射線治療を希望していることを伝えておきますね。ということで電話を切りました。
K病院には、わたしが直接、A大で放射線治療を受けることになっていると、説明すればいいなと考えました。N大にもK病院にも、もう出来ることはないと言われているので、そこは少し図々しく考えました。

動注療法のことが気になったので調べてみました。
動注療法=超選択的動注化学療法。抗ガン剤は通常全身に投与するが、この療法は動脈にカテーテルを挿入し、血管造影をしながら、がんに酸素と栄養を供給している動脈まで通し、直接抗ガン剤を注入する。全身点滴の場合よりも高濃度の抗ガン剤を、直接腫瘍箇所に使うことができる。また、局所的なため副作用の軽減も期待できる療法とありました。

人間の症例ばかりが出てきて、まだ動物に普及している感じはしませんでした。確かにN大で過去に動注療法の論文を書いた先生がいましたが、関わった三名の内、二名が揃って静岡の動物高度医療センターへ転職していました。紹介出来ると言っていたのは、静岡のことだったのでしょうか。

人間の場合は、何年も前から実施されてはいるようですが、補助的な治療法だったり、高い効果が期待できる場合があるという程度の結果しか得られていない感じを受けました。ただ、人間の口腔内の腫瘍で高い効果を出した症例を発見することができました。
研究的な段階なのか、わかりやすい効果が出にくい療法なのかは微妙なところのように思いました。

放射線治療と並行して出来るならA大で放射線治療を行い、N大経由で紹介してもらったところで動注療法を受けられれば最高だなと考えました。
何も出来ることはないといわれてから、放射線治療の他に、もう一つフランにしてあげられそうな治療法が見つかりました。
たぶんわからないだろうなとは思いましたが、K病院で動注療法について確認してみることにしました。

5月16日(火)K病院へ報告

明日A大で放射線治療を受けることになっていると伝えにK病院に行きました。
K先生なりに調べてくれていたようで申し訳なかったのですが、放射線治療設備は、この辺りだと日大(藤沢)、東大、麻布大、日本獣医生命科学大ぐらいにしかないが、日獣のは現在壊れていて使えないとのこと。
放射線治療を希望するということで良いですねというところから話しが始まったので、これから予約するんだったら、またどれだけ待たされたことかと思いました。

実は、N大とK病院で何も出来ることはないと言われてから、別の病院に連れて行ったところ、すぐに放射線治療をしようということになり、明日A大で放射線治療をすることになっていると伝えました。

子宮蓄膿症で入院した時から、フランがお世話になっている看護師さんが、しきりにうなずいているのが見えました。彼女は我々のこれまでのやり取りをみていて、何を感じていたのでしょうか。わかっていたのなら教えてくれればよかったのにと思いました。

動注療法のことをK先生に聞いてみましたが、やはりあまり詳しくなさそうでした。なので、放射線治療と動注療法を同時にできることになるかもしれないので、その時は動注療法に関して紹介状を書いてもらうことになるのでよろしくお願いしますと言ってK病院を出ました。

動注療法に関してはA大で聞いてみることにしました。
ヨメと話していたのですが、これまで感じた<K病院+N大>と<D病院+A大>の治療技術の差からすると、動注療法なんかA大では普通にやっていて、なんなら放射線治療と同時にやっていますよ。
なんてことになるかもよ。などと言っていたら、それが本当にそうなるので驚きです。大学間でこれほどの技術差があるとは思いもしませんでした。

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