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放射線治療

5月17日(水)A大へ放射線治療

A大附属動物病院へ、予約の時間は13時。
今度はちょっと遠い。電車を乗り換え、大学の最寄駅から歩いて10分程度。家からだと一時間ちょっと。なんとか通えるギリギリの距離といったところ。
病状が悪化してフランが歩けなくなったり、夏の暑い時期はどうやって連れて行ったらよいのだろうか不安になりました。駅からタクシーを使うには近すぎるし。そもそもキャリーバッグに入れなくなった時はどうすればよいのだろうか。

予約時間が午後だったので電車も空いていて楽でした、結局早めに着いてしまいました。
最寄駅からフランを歩かせて大学へ向かいます。天気も涼しく、その日は何の心配もなかったです。
キャンパス内の休憩所で時間をつぶしました。リードを引っ掛けるフックが設置されていたり、犬用のトイレや水道設備までありました。獣医学部の大学とはいえ驚きました。そこそこ広めのドッグランもありました。

今回聞きたいことをあらかじめ三つ決めていました。
まずは、動注療法のこと。放射線療法と併用できるならしたい。
次に、フランの唇にピンク色の腫瘍と思われる部分が出来ていたこと。もし、それが切除可能なのであれば切除してほしい。
あとは、実際、放射線治療をしたところで予後はどれくらいなのかということ。

予約時間が近づいたので動物病院へ。予約が簡単に取れたので、患者が少ないかと思いましたが、そんなことはなく沢山の患者が待っていました。受付の対応も事務的な感じはせず、巷の動物病院寄りの丁寧さを感じました。

しばらく待って診察室に呼ばれ、放射線治療担当の先生との診療が始まりました。
まず、最初にはっきり言われたのは、外科手術が出来ない場合、根治をめざす考えで治療は行っておらず、今回の放射線治療はあくまで緩和であるということ。

D病院で、多分に営業要素が強いとは言え、4回できれいに無くなった事例もあると聞いてきたので少し肩すかしをくらった気分でしたが、外科手術が出来ない場合は、あくまで根治を目指す人間のがん治療とは違って、QOL(quality of life:生活の質)をどれだけ維持することが出来るかに治療の主目的が置かれるということでした。予後はこれによって何週間か延ばすということができればという程度。実際に腫瘍がきれいに消えることはない。と断言されました。

過度の期待を抱かせないためとも思われますが、N大とK病院では緩和として、胃ろうと呼吸確保のための軟口蓋切除で腫瘍自体には何もしないと言われました。
一方、A大では緩和として腫瘍の進行を遅らせたり、縮小を目指すということ。これだけでも全然違うなと思いました。
何より選んだ病院によって緩和の内容がこれだけ違うということがショックでしたが。

わずかな望みを持っていたので、根治が望めないと言われてがっかりしましたが、逆に親切で丁寧な感じを受けました。
説明も、紋切り型で研修医をなじりながら話すN大「家畜病院」での診察とは違い、飼い主の気持ちを考えて丁寧に話してくれている感じを受けました。

放射線治療は、患犬が被ばく可能な線量から、照射する線量をあらかじめ決め、それを何回かに分けて照射するとのことでした。基本的には五回が一般的。
放射線は腫瘍のように新しく分裂している組織にダメージを与えるものですが、人間の体の中でも新しく分裂を繰り返している皮膚や粘膜といった、正常な細胞にもダメージを与えてしまいます。トータルで照射する線量は変わらなくても、回数を細かく分け、一回辺りの線量を小さくすることによって、正常な細胞への影響は少なくなるそうです。

少ない回数にして何日か入院して、集中的にあててしまうか、通院して小線量を回数多くあてるかの選択肢がある。
毎回、麻酔をかけるので麻酔のリスクと費用がかかるので、回数を分けることによって、費用が変わってくるとのことでした。

良心的なことに、待合室に治療料金表が貼ってありました。

放射線量計算      32400円
照射料 1-4回    43200円
照射料 5回以降 21600円
※麻酔料は別。

麻酔料は、
10-20キロ 30分まで  18900円
10-20キロ 1時間まで 24300円

入院費は、
5-15キロ                    4860円

とありました。

五回で照射するパターンでざっと計算してみました。
放射線治療は、火水木金に行っているので、
火水木と入院して、五回の照射を行う。

線量計算                            32400円
照射料 1-4回 43200円×4回 172800円
照射料 5回目 21600円×1回   21600円
麻酔料 18900円×5回      94500円
入院費 火水木 4860円×3日  14580円

これに、CT検査21600円や、レントゲン検査、血液検査等を加えて、ざっと40万ぐらいかなと考えました。
先生の説明では、多めに見積もって40~50万かかると考えてくれれば大丈夫ですとのことでした。

通えるか、入院するのか、色々考えて何回で放射線治療を行うか考えてみてください。今日、一回分の放射線をあててしまって、二回目の照射までに回数を決めておいてくれれば、残りをその回数で割ることもできますよと先生はおっしゃってくれました。それから先生は席をはずしてくれ、我々に照射回数を考える時間をつくってくれました。

ヨメと診察室で話し合いました。少しでも治るかもという望みを持っていたので、根治をめざす治療ではなく、あくまで緩和であるという話はショックではありましたが、丁寧に説明してくれたので納得はしていました。
回数に関しても、細かい線量に分けて、週に二度三度と通える体制、距離ではないので、基本的と言われた五回でお願いしてみようかということに一応の方針を決めました。先生に戻っていただき、一応基本の5回でお願いしますとのことをお願いしました。

放射線治療に関しては、北海道大学の動物医療センターの説明が非常に分かりやすかったので下にリンクを挙げておきます。検索すれば上位にでてくるものですが、本当に分かりやすいです。

放射線治療とは?(北海道大学動物医療センター)

気になっていた唇のピンクの腫瘍部分の事も聞いてみました。
放射線をあてるときに、範囲を広げてあてますから大丈夫ですよとのことでした。唇に小さな腫瘍の転移があったら、外科手術で先にとってしまった方が、予後心配が消えると考えましたが、やはり根治を目指す治療ではないので、ここで外科手術をしても意味がないというか、放射線をあてるときにあてておきましょう。という感じになるようです。やはり人間が、がん治療で根治を目指す感覚とは違うようです。

そして、動注療法のことも聞いてみました。先生は、動注がありましたね、私は担当ではないのですっかり忘れてました。確かに同時に動注を行うのはありですね。と言いました。同時?、併用して動注療法も出来れば最高だなと考えましたが、同時に行う選択肢があるということに驚きました。

ヨメと、A大だったら動注療法なんて普通にやってることで、それこそ同時にやってるかもよ。と冗談で言っていたことが現実に行われていたようです。N大が言っていたのは単独で動注療法を行う話で、しかもN大では出来ないので、別の高度医療センターを紹介するということでした。

しかも、この療法は研究中の療法なので、研究症例として治療料金はかからないので、さらにいいかもしれませんね。研究機関としての大学の使命と言うか貢献になりますから、と先生は言いました。
費用はかからないということですかと聞くと40~50万ぐらいですねとおっしゃるので、さらに40~50万掛かるということですよね。と確認しましたが放射線治療分の40~50万分だけですよ。とのことでさらに驚きました。

動注の担当の先生を呼ぶので、そちらの先生とも話しましょうとのことで、一旦待合室で待つことになりました。
緩和として基本的な回数の放射線治療を受けようと決めたところが、動注療法の話がでた途端、放射線治療と動注療法を同時に行うという研究中の治療を受けられるかもしれない可能性が出てきました。

待合室で待っていると、おそらく担当と思われる先生が構内放送で呼び出されるのが聞こえました。

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