見出し画像

四苦八苦について

四苦とは生老病死(しょうろうびょうし)のことです。
生きることは苦しく、老いることも病を患うことも苦しい。
そして必ず死ぬという苦しみ。

何故そんなにも何でもかんでも苦しみだと言うのか。
釈迦は、この世の全てのものは一時的に成り立っているだけの現象にすぎないと言っています。そこにあるのは関係性だけであり実体はどこにもなく、そして常に変化している。そのことを指して苦しみだと言いました。

この世は全て無常であり無我である。
無常も無我も苦である。
よってこの世は全て苦である。

この真理に到達したからこそ釈迦は、苦しみから解放されるにはどうすればいいのかという問いに対して、唯一絶対的な解答を得ました。

いわば釈迦の教えは、苦しみの正体を知ること、そしていかにしてそこから解放されて生きるかについての実践的メソッドです。

生老病死に続いて以下の四つの苦しみがあります。

愛別離苦(あいべつりく)。
愛する人や物といつか離れてしまうという苦しみ。
怨憎会苦(おんぞうえく)。
憎い人やムカつく人と出会ってしまう苦しみ。
求不得苦(ぐふとくく)。
求めたものが得られないことの苦しみ。
五蘊盛苦(ごうんじょうく)。
心と体が思い通りにならないことで生まれる苦しみ。

個人的には、現代社会に生きる我々にとって怨憎会苦はそんなに特筆するほどの苦しみではなくなっている気がしています。

他人との関係性が希薄な現代、嫌いな人と関わり続けなければならないという状況はあまりないように思います。
あったとしても、所属する社会が増えることで、ひとつひとつにかかる負担はそこまで大きくなくなりました。依存先をたくさん持つことで精神的負担が軽減されているわけですね。

欲しいものが手に入らないことについても、物質的には我々はすでに十分快適な環境で生活しています。
物質的なことというよりは精神的なことで手に入らないことの方が多いかもしれません。人の気持ちはどうすることもできないですからね。

SNSの普及によって感じなくてもいい不幸を感じるようになりました。
足りているのに足りていないと思わされ、顔も知らない他人の不用意な言葉に精神的に追い詰められたりしています。

そういう意味では四苦八苦の後半はそろそろ改定が必要なのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?