グルテンは悪なのか
小麦、大麦、ライ麦などの穀物には「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質が含まれています。水を加えてこねることで絡み合って「グルテン」に変化します。
テニスプレーヤーのジョコビッチ選手がグルテンフリーを実践して劇的に体調が改善、3大グランドスラムを制したことで一気にグルテンフリーブームが訪れました。
ジョコビッチ選手は小麦と乳にアレルギーがあります。
体調不良の原因はアレルギーだったわけですが、ジョコビッチ選手の書籍がきっかけとなって、グルテンは体に悪いというイメージが広まることになります。
もともとグルテンフリーは、アレルギー症状が出る人や病気を患っている人のための食事療法でした。
以下の方にはグルテンフリーの食事療法が効果的です。
小麦アレルギー
小麦には、水に溶けるたんぱく質「アルブミン」と「グロブリン」、水に溶けないたんぱく質「グリアジン」と「グルテニン」があります。
小麦アレルギーの3割の方は前者に反応し、残りの7割は後者、または両方に反応しているという結果が出ています。前者の方であればグルテン添加の米粉パンは食べられる可能性が高いです。
腸に穴が開くことで様々な症状を引き起こすリーキーガット症候群は、遅延型アレルギーが関与している可能性があるとする研究もあります。
セリアック病
グルテンに対する遺伝性の不耐症です。粘膜炎症および絨毛萎縮が生じ、吸収不良をきたします。
欧州や欧米では150人に1人発症していると言われていますが、それ以外の地域で発症することはまれなようです(日本人における有病率は0.05%程度)。
調べていると、セリアック病も体の免疫がグルテンに過剰反応することが原因とありました。症状の出方が違うだけで基本はアレルギー反応ということのようです。
アレルギーはアレルゲンが悪いのではなく、過剰反応してしまう人体側の問題になります。花粉症の人は花粉を吸い込まなければ問題ない、というわけではありません。花粉を吸い込んでも反応しないよう、免疫機能を正常に維持する必要があります。
グルテンについても同様のことが言えます。グルテンを摂取しなければ問題ないというのは健康な状態とは言えません。
免疫機能が正常に働かない原因は個別に検討する話になりますが、グルテンを悪者にしても何も解決しないということは言えそうです。
近年、成長ホルモンが代謝調節や免疫機能、認知機能などに作用することがわかってきています。
アレルギーがある方は、成長ホルモンの分泌を阻害するような習慣がないかどうか考えてみると、解決の一助になるかもしれません。
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