【月はいつも見ている 〜兎〜 】第1章 ep.07
数分前に出てきたばかりの駅へ、逆戻り。忘れ物をした訳でもないのに、そんな気分でヒロミと共に足を進める。沢山の仕事を終えて脱力した面持ちをした人たちが乗る電車の中へ
身の上話は、ひとまず置いといて、満員電車手前の車内。向き合って互いの呼吸が触れ合いそうな近い位置で、私より10センチ近く高いヒロミの胸元からは何かいい匂いがした。
薄々と感じている。以前、恋人のことを彼氏ではなくパートナーと言っていたことに。心なしか彼女は‥
男に懲りてきている私にとって、ひょっとして女性をパ