おばたよう
令和3年11月中旬から下旬にかけての詩集です。
Amazonで電子書籍(Kindle版)として販売中の『いきものビート』の目次を紹介します。 全48作品の短編があります。 短い詩やものがたり、俳句などの形です。 リズムを楽しむ言葉遊びにもなっています。 ぜひ、気になるタイトルを探してみて下さい。 目次『いきものビート』オープニング コケッコ ぶんぶんだぞ わんわんだぞ こころいき その1 シロツメクサ なのはな なのかな アネモネ ゾウガメくん やあ、ウォンバット きまぐれコアラ けのものなんだ
みんなで外を歩いた 僕には僕の歩幅がある 彼には彼の歩幅がある 人それぞれの歩幅がある みんなで農道を歩いた 僕には僕の速さがある 彼女には彼女の速さがある 人それぞれの速さがある みんなで川沿いを歩いた 僕には僕の視線がある 彼には彼の視線がある 人それぞれの視線がある みんなで歩道を歩いた 僕には僕のペースがある 彼女には彼女のペースがある 人それぞれのペースがある
力を入れる 収縮する 冷たくなる 力を入れる 硬くなる 窮屈になる 力を入れる 強くなる 脆弱になる 力を入れる 痛くなる 苦しくなる 力を抜く 広くなる 温かくなる 力を抜く 緩くなる おおらかになる 力を抜く 柔くなる 折れなくなる 力を抜く 大きくなる 強くなる 力を入れる きつくなる 厳しくなる 力を入れる 固くなる 頑なになる 力を入れる 重くなる 抵抗する 力を入れる 辛くなる 逃げようとする 力を抜く 楽に
僕はいつでも貰ってばかりだ お菓子やコーヒーに飴も 「ありがとう」だけで 済ませてしまう 僕は返すことができていない お菓子やコーヒーや飴も 「ありがとう」だけで 終わってしまう 僕には何ができるだろう お菓子やコーヒーや飴を返すこと 「ありがとう」と言うこと 僕ができることをすること 僕が貰って嬉しかった気持ちを お菓子やコーヒーや飴で返したり 「ありがとう」で返したり 僕ができることで返していこう
どこへ進んでいるのだろう。 目的地もわからないまま、 この列車は進んでゆく。 どこへ向かっているのだろう。 行く先も見えないまま、 この列車を運転している。 私がこの列車の運転手で、 私がこの列車を進めてゆく。 私の両手で動かしてゆく。 向かう先が分からなくても、 行く先が見えなくても、 私はこの列車を動かしてゆく。
空に浮かぶ雲に憧れた ふわふわとした大きな雲 いつからか追いかけていた 遠く離れるだけだった 空を漂う雲に憧れた ゆっくり流れる白い雲 いつかは手にしたかった 静かに消えるだけだった 空を行く雲に憧れた ふわふわと進む大きな雲 おなじ道を行きたかった 別の道を進むだけだった 空の上の雲に憧れた 届くはずない白い雲 いつも一緒に居たかった 自分の道はそこには無かった
あれにしようか これにしようか たくさんあって 迷ってしまう 選べる嬉しさ 分かっているけど どれにしようと 迷ってしまう あれにしようか これにしようか いっぱいあって 困ってしまう 選べる楽しさ 分かっているけど どれにしようか 困ってしまう あれにしようと これにしようと たくさんあって 悩んでしまう 悩める喜び 分かっているけど どれにしようと 悩んでしまう あれにしようと これにしようと いっぱいあって 疲れてしまう 疲れることは
雲のすき間から 朝陽がもれている 一条、二条、三条、四条、五条ほどか 大地に広がるように 放射状に伸びている こんな私にも 光を届けてくれるのだ 塊であった雲が ばらばらに分かれている どっしりとしていた雲が ゆっくり行進している 風に乗って北へ北へ 悠々と行進している こんな私にも 希望を届けてくれるのだ
渡したいものがある この手で君に渡したい ずっと仕舞ったままだった 消せないままの想い 渡したいものがある ただ渡したいだけなんだ 大切に選んだものなんだ 喜んでくれると嬉しいな 渡したいものがある 月日が巡ってしまったけど 今も変わることのない想い ただ受け取ってほしい 渡せないものがある 渡したいのに渡せない 想いばかりが積もっていく ただ渡したいだけなのに
いつもの窓から 朝日を眺めた いつもの風景が 照らされていた ふと、小さな光が 目に飛び込んだ 遠くの山で 白く光っていた 灯台が照らす 灯りだろうか ゆっくり光ったり 消えたりしている それまで気づくことが なかったものだ それまで光ることが なかったのだろうか 呼んでいるかのように 何度も光る 思わずそこへ 走りたくなる 僕のための 光だろうか 僕が求める 光だろうか きれいなきれいな 光だけど 僕の行くべき場所は そこじゃない 僕の求め
どこかで色を 間違えた 自分の色は こんな感じ? なりたい色に 染まっていた 自分の色を なくしていた どこかで色を 迷っていた 自分の色は どんな感じ? 周りの色に 染まっていた 自分の色を 忘れていた 見せたい色に なっていた 自分の色とは 別の色? 本当の色が 分からない 自分の色を 探していた 塗りたい色を 塗っていた 自分の色は こんな色? 本当の色に なっていった 自分の色を 見つけていた
カワイイから 甘やかす 人のことより 自分のこと 理由をつけて 甘やかす 自分のことを 守りぬく カワイイから 休ませる 先のことより 自分のこと 前を見ないで 休ませる 自分のことを 怠けさせる カワイイから 暖める 周りのことより 自分のこと 気にすることなく 暖める 自分のことを 大事にする カワイイから ゆっくりいく 先のことより 自分のこと 力を抜いて ゆっくりいく 自分のことを かわいがる
今、できることを さきに送る やればいいこと 置いておく おんなじことを 繰りかえす そこから前に 進まない 今、できるのに さきに送る やればいいこと 手にしない おんなじことを 繰りかえす またもや前に 進まない 今、できるなら やればいい 頭の中では 分かっている だけど何度も 繰りかえす やっぱり前に 進まない 今、できるなら 今やろう 分かっているなら すぐやろう 今、できることを やっていこう ひとつ、ひとつと 進めていこう
あれは何だろうか… 魚だろうか。 あれは何だろうか… 鳥だろうか。 あれは何だろうか… 亀だろうか。 分からないけど行ってみよう。 この両足で歩いていこう。
私だけがどうして そう思って生きてきた 周りの人たちが ずっと羨ましかった 私だけが被害者で 戦っていると思っていた 周りの人たちが 気楽そうに見えた 私だけではないことが ようやく分かってきた 周りの人たちも ずっと戦っていた 私だけが苦しんでいた 訳ではないと気がついた 周りの人たちも ずっと苦しんでいた
分ける 分ける あなたと分ける 分ける 分ける なかよく分ける ぼくと あなたと おんなじもの 分ける 分ける えがおを分ける 分ける 分ける あなたと分ける 分ける 分ける いっしょに分ける ぼくと あなたと おんなじもの 分ける 分ける なみだを分ける 分ける 分ける あなたと分ける 分ける 分ける なかよく分ける ぼくと あなたで にじゅうまる 分ける 分ける しあわせ分ける 分ける 分ける あなたと分ける 分け