伊達と酔狂
ずっとカッコ悪いことをしたくなかった。人を妬むとかやきもちを焼くとか、見て見ぬ振りをするとか、偉い人におべっかを使うとか。
でも、カッコつけるのもカッコ悪いと思っていて、わざとバカなことをするのが好きだった。今もそうで、矜恃みたいなものは持っていたいのだけれど、出来るだけバカバカしく生きていたいと思っている。
男に未練がましい態度を取るのも、私の中ではとてもカッコ悪いことで、振られた時はサッと身を引くのが良いと思っていた。
でもいざ自分が別れ話を切り出されてると気づいた時、“いや、精一杯あがいてみよう”と思い、相手を説得したり泣いてみたり(もちろんワザとではないけど)してみたら、ますます酷い言葉を浴びせられた。
結局「出て行ってください」と言って、その背中を追いかけはしなかったのだけど、それで良かったのだと後々思えた。
出来る限りのことはしたのだ。私はとてもカッコ悪かった。でもそこであっさり「はい、分かりました別れましょう」と言っていたら、後悔して次の日に相手の部屋に押しかけて行ってたかもしれない。そっちの方がよっぽど見苦しいし、より恨まれていただろう。
血液型占いが嫌いだから死んでも血液型を調べないとか、トールとかグランデとか言いたくないからスタバには絶対行かないという人がいる。
カッコつけ過ぎてカッコ悪いスタイルである。しかし、バカバカしくておかしみがあるとも言える。
マツエクをつけ過ぎてかえって目が小さく見える人だっている。必死なのだ。
笑える?いや、笑えない。
伊達と酔狂で飯は食えない。私はカッコ悪くても生きていける。
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