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ハローハリネズミ第8話

誰かが語る「高倉健」が好きだ。

子供の頃、映画「幸せの黄色いハンカチ」が大好きだった。当時、大人の俳優には興味が無く、出演者していた高倉健のことは意識してなかったけれど「幸せの黄色いハンカチ」が好きだということは彼が好きということとニアリーイコールだと思う。

そして何故「ハローハリネズミ」なのかというと、3年前にこの漫画を原作にしたドラマが放映されていて、第8話が「幸せの黄色いハンカチ」へのオマージュだったのだ。

私は人を見る目が無いのか、それまで森田剛の事を全く評価していなかった。その森田剛がハローハリネズミの木暮(通称グレ)役を演じていた。

探偵事務所への依頼人、栗田精二は名優、國村隼。グレからは「オッサン」と呼ばれていた。

元極道だったオッサンは早くに妻に先立たれ、ラーメン屋を営みながら二人の子どもを育てていた。

が、極道だった頃の仲間に嫌がらせを受け、カッとなり殺してしまう。まだ小学生だった兄妹を残し、彼は網走刑務所に収監される。

そして出所してから10年、自分の命が病気でもう長くないことを知り、子どもに謝罪したいと居場所を探す。グレはオッサンのために娘の知り合いに嘘をついたり土下座したり、泥臭いやり方でようやく娘の住む所まで辿り着く。

そして昔よく作ってあげたチャーハンを振る舞う。かたくなだった娘も心を開き、兄に連絡を取ってくれる。「お父さんを待っていてくれるなら、ベランダに黄色い何かを吊るしておいて」と高倉健が大好きなグレが頼む。しかしオッサンはもう発作を起こし、息も絶え絶え、目もほとんど見えなくなっている。

ようやく息子の住む所にたどり着いたが、ベランダには何もない。目が見えなくなったオッサンがグレに聞く。「どうだった?あったか?」と。グレは答える「黄色いハンカチがいっぱいあったよ。良かったな〜。息子さんに会いに行こうよ」と、もう歩けないだろうオッサンに優しい嘘をつく。

「不器用だな、兄さんも。…息子には会えなかったけど、兄さんに会えて良かったよ」

そしてオッサンは○○し、グレは○○する。(ここまで書いておきながら一応ネタバレ回避)

グレとオッサンが語る高倉健がいい。高倉健を語る男を見るのが好きだ。あの、多くを語らず背中で語る、絶滅してしまった男に皆畏怖の念と「そんな奴ぜったいいない…」の念を持っている。

「醤油ラーメンと、カツ丼下さい」

グレが真似をするのだが、全然似ていない。その似てなさ具合がかわいくってちょっとバカでいいのだ。

森田剛に色気を感じるこのご時世。健さんはますます遠くなった。



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